神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

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「武装神姫 零」  完結!

CIMG0549.jpg

ただいま「武装神姫 零」の二巻を読み終えたところです。

一巻の発売からかなり間が空き、二巻はでないのか? などと思っていましたが、ようやくの発売。

感想としては、トーナメントの行方、零の過去、そしてゼロリンクと前オーナー鈴との因果関係。少ないページ数のなかで、これらの伏線をきちんと処理し、晶と零はまた騒々しくもいつもの生活に戻っていくという、私好みのラストで幕を下ろしました。

作中での、与えられた武装で戦い抜くという零のスタイルは、本SSの主人公トロンの設定においても影響を受けており、そういった意味でも本作が連載終了となったのは、少々さみしくもありますが、作者様の次回作を楽しみにしています。



あっ、作者と言えば、井原裕士様。ご出産おめでとうございます。

PNからてっきり男性だと思っていた井原さんが、まさか女性だったとは……。
ある意味、「武装神姫 零」最大のどんでん返しでした(笑)。



あっ、もうひとつ書かねばならぬ事がありました(汗)。

昨日、過去の記事を見ていたら、いつの間にか複数の記事が拍手されておりました。
(もっとも、前の記事は私が間違ってボタン押しちゃったためと思いますが……)。
わざわざ拍手してくださった方(方々?)、本当にありがとうございました!















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なんか移り気な日々……

あいかわらず寒暖の激しい日々が続いておりますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
私はいまごろになって風邪気味ですが、何とか生きております。

体調はイマイチですが、神姫熱は上昇する一方! ですが、ここで少々問題が……。

もともとこのブログ、SSをメインにその登場人物を立体化していこうなどという、曖昧なプランで始めたのですが、ここで私の悪い癖がでてしまいました。

前回「嘲笑うもの」を作ってから、SSと関係のない神姫のアイディアばかりが浮かぶ毎日。
現在は、以前作った神姫を補修しながら複数の神姫の改造に勤しむ日々を送っています。

私自身は現状を楽しんでますが、このままでは、ただでさえ影が薄いSSが消滅の危機(笑)。


というわけで、今回はSS関係の画像を。

258 - コピー

画像は、本SSの主人公トロン(お目覚めver)と、専用装備“ソウルテイカー”です。
実際、トロンがこの装備を使うのはかなり後になるのですが、SS関係の神姫の画像を一枚もUPしてないのもどうかと思い、フライング的な掲載と相成りました。



さぁて、己の欲求のままに今の作業を終えたら、SS関係の神姫も作らないと。
……まあ、まだ時間はかかりそうですけどね(笑)。

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わんだふる神姫ライフ 第12話

「よっ、はっ、と、とっと」
 ともすれば、左右に大きくバランスを崩れそうになるのを、リズムをとりながら一気に階
段を駆け上がり自分の部屋へと飛び込むと、あたしは両手に持った紙袋を机の上に投げ
出した。
『うワッ? ……あ痛たたタ。 なんだヨ、もォ……ン、ナニこの荷物?』
 思った以上に重量があったのか、紙袋を置いた衝撃で爆睡中だったトロンは、クレイド
ルから投げ出され、お尻をさすりながら眉をひそめて文句を言う。
「あ、ごめん、ちょっと買い物をしてきてね」
 紙袋から出した大小様々な本を机の上に、それこそ文字通り山の様に積み上げられて
いくのをトロンは寝ぼけ顔で見上げていた。
『本? え~ト、「武装神姫マスターブック」、「神姫マガジン」、「三日でなれるA級マスタ
ー」、エトセトラ etc、……それ二「ネクロノミコン」ト「無名祭祀書」あとハ「エイボ
ンの書」カ。うン、ここらへんハ、いいチョイスなんじゃなイ?』
「ん? そんな変なタイトルの本なんて買ったっけ……っていうか何なのソレ?」
『まァ、全人類を幸せに導くための本かなァ、それよりどうしたノ? こんなに本なんか
買いこんデ』
 買った覚えも無いタイトルに首を傾ていたあたしは、トロンの声で我に返った。
「決まってんでしょ? レスティーアよ!」
『レスP? レスPとこの本の山に、ナンの関係があるワケ?』
 大きなあくびをしながら、今度はトロンが納得いかんと首を傾ける。
「なに言ってんのよ! 『レスPに勝ちたい』そう言ってたのはあんたでしょう? こう
なったら、あんたと力をあわせて《打倒 レスティーア!》よッ!」
 語気荒く、部屋の真ん中でこぶしを突き上げ一気にまくし立てるあたしを、しばらく見
上げていたトロンだが、背後の本の山にチラリと目をやると特大のため息をひとつ吐き、
なぜか小さく頭を振るとクレイドルに寝転がり、ポツリと言った。
『ぱス!』
  
         ヲイ! あたしは振り上げたこの拳を、どうすりゃいいのよ?
 
                    わんだふる神姫ライフ
 
               第12話    「武器」
 
『……痛ったいなァ。ボクたち神姫はデリケートなんだヨ? もう少しテーネーにあつか
ってヨ!』
 あまりの態度に、カチンときたあたしはトロンの頭を軽くひっぱたくと、トロンのヤツ
は自分のことを棚にあげて、あたしに食ってかかってきた。
「うるさい! ウチじゃ調子の悪くなった家電は、まず、ひっぱたいてみる事にしてんの
よ! 文句ある?」
 一ノ瀬家に代々伝わる、由緒正しい家電の修理法にトロンは不満そうな顔をする。
『そんなのオーボーだッ! だいたいボクはテレビじゃナイッ! お役所にうったえてや
ル!』
 しきりに頭をさすり、顔を真っ赤にして文句を言うトロンを見ていたあたしは、ふいに
脱力感に襲われた。
「ねぇ、トロン。あんたひょっとして、またあたしの事をからかってたの?」
 机の端に両手をかけ、トロンまであと数ミリというところまで顔を近づけ、あたしは静
かに尋ねた。
『ど、どうしたのさァ、急二?』
 おどろいたトロンが、クレイドルからずり落ちそうになるのを必死にこらえながら聞い
てきた。
 でもあたしは何も答えなかった、答えてほしかったのはあたしのほうだったから。
 
『レスティーアに 勝ちたい!』あの言葉は嘘だったのだろうか? あたしはまた、ト
ロンにからかわれていただけなの?
 
              そう考えると無性に悲しくなった。

『……ふゥ、そんなんじゃないヨ、リン』
 しばらくの間、声もなく、ただ見つめ合ってたいたあたしたちだったが、不意にトロン
は小さく息をはきながらつぶやいた。
『リンがその本の山をぜんぶ読んだとしテ……それでボクのナニがわかるノ?』
まるで、我が子に言い聞かせる母親のような口調で、トロンは静かに話し始めた。
「それって、どういう意味なの?」
『……つまりね。確かにその本には、バトルでの勝ち方とか、ボクたち神姫のデータや、
いろんな情報が載ってるかもしれない……でも、どのページを捲っても“ボク自身”の事
は、何ひとつ書いてないんだよ?』
「あっ!」
『ボクはまず、リンにもっと知って欲しいんだ、“ボク自身”を!』
 あたしは、ハンマーで頭を殴られたような衝撃を受けていた。トロンの言うとおりだっ
た。自分の神姫の長所も短所も知らないで、あたしは何をやろうとしてたんだろう?
 あまりに考えの無い自分に、あたしは自己嫌悪におちいってしまった。
『わかってくれた、リン?』
「うん、ごめんトロン。あたしが間違っ……あれっ?」 
 ションボリとうな垂れて、トロンに謝ったあたしは、そこでいつの間にかトロンの声が
いつもの間延びした物から、凛とした覇気のある声に変わっていることに気がついた。
 慌てて顔をあげたあたしを、あの金色の瞳が見つめていた。
「トロン、あんた……」
『じゃあ、レッスン1から始めようか?』
 トロンはあたしの顔を見上げながらウィンクすると、笑顔をみせてそう言った。
                        ※
『……と言うわけで、ボク自身の基本データの説明は、こんな感じかな』
 クレイドルの上で胡坐をかきながら腕を組み、ストラーフの特徴などを延々と話し続け
たトロンはそこで一端話しを終えると、あたしが理解したかを確認するかのように、あた
しの顔をのぞきこんでいた。
 正直、理解したのか? と問われれば、かなり怪しいところだったので、あたしはさも
わかったように小さくうなずくと、もう一度、頭の中でおさらいを始めた。
 まず、ストラーフの特徴についてだが、これはあたしもトロンを買う前から色々と調べ
ていたので大体のところは知っていたんだけど、トロンが自分はあまり銃を使った戦いが
好きではないと言ったのには少しおどろいた。
 確かにストラーフは、接近戦を得意とするとは聞いていたけど、基本セットの中にも銃
は入っているし、第一トロンは、レスティーアとの戦いであんなに見事に命中(まぁ、確
かにほめられる方法ではなかったけどね)させたはずなのに。
 不思議に思ったあたしがその事を尋ねてみると。
『まぁ、あれは距離が近かったのと、レスPが油断しまくってたからね』
 トロンはそう言うと、苦笑いを浮かべて肩をすくめた。
 そして、もうひとつ意外だったのは、ストラーフを象徴する装備である強化腕チーグル
などの操作が苦手だと、トロンが言った事だった。
 あれほどレスティーアの猛攻を防いだのにそんなバカな? と思ったのだが、トロンに
言わせれば、まだ扱いなれてなかったせいでチーグルの制御に気が散って、戦いに集中
できなかったそうだ。
『ボク自身がまだ未熟だったもんで、チーグルに頼らざるをえなかったけど、きちんとし
た防御法をマスターできれば、守りに関してはボクの自前の腕だけで充分だと思うんだ』
「自前って、二本の腕で四本以上の働きができるっていうの?」
『わざわざ強化腕を使うぐらいなら、って言う意味でね。それにボクをこんな風に設定し
たのは、リン自身のはずでしょ?』
「う、それは……」
 あまりにしれっと答えるトロンに驚いたあたしの問いは、トロンのみごとなカウンター
気味のツッコミに粉砕される。
 それにCSCの事を言われると、いまさらながら何も言えなくなってしまうあたしだっ
た。
 まさか、エメラルドの持つ特性が搭載された神姫の回避能力をUPさせるものであり、
ただ色が好きだったという理由だけで、CSCをすべてエメラルドで統一されてしまった
トロンは、元々もっていた“ゆがみ”による特性もあいまって極端に回避能力が高い神姫
として眼を覚ます事になったのだ。
 自分の神姫をこんな偏った存在にしてしまったのが、あたし自身の無知と、いい加減さ
が原因なのだから返す言葉もないありさまだった。
『そんなに気にする事ないよ、リン。 それにボクがどんなCSCをセットされたとして
も、必ずしも銃の扱いが巧かったり自分の装備の制御が上手とは限らないんだからね』
 自分の無知っぷりにガックリと肩を落とし、落ち込んでいると、さすがに哀れに思った
のかトロンが意外な事を口にした。
「そ、そういうものなの?」
 にわかに信じられない事だったが、トロンが言うには、けっこう神姫はこういった得手
不得手がはっきりとしているそうだ。
 たとえば、ストラーフと同じ時期に発売された、アーンヴァルと呼ばれる人気の高い天
使型の神姫がいる。このアーンヴァルは本来、高い空戦能力と距離をおいての射撃戦が
得意なのだが、まれにそんなアーンヴァルのなかに射撃が苦手な子や、ときには高所恐
怖症(?)のため、まったく飛ぶ事ができない者までいるという話だった。
 単純に考えてそれは不良品なのでは? などと一瞬考えもしたが、あたしは以前、店長
さんの言った「神姫とは初めから不完全な存在として生み出されたのではないか?」とい
う言葉を思い出していた。
 
そして、そんな神姫たちを導くために、あたしたちがいる……
 
『まぁ、それにボクは今の自分に満足してるし、それに戦いは短所で決まるもんじゃない、
ボクにしかない長所をつかって戦うものだからね』
「……長所って、あの“傷”のこと?」
『へぇ~、これはびっくりだ。 リン、気づいてたんだ?』
 トロンは、さも驚いたといった様子であたしを見上げた。
 でも、そんなトロンのおどけたしぐさを見ていても、不思議と腹は立たなかった。それ
はトロンの顔の浮かんだ表情が、いつものあたしをからかうものではなく、自分を理解さ
れたことへの喜びに感じられたからだった。
 トロンの顔を見ながらあたしの脳裏にはあの時の、レスティーアとの一戦が終わりDO 
ITでのメンテナンスルームでの光景が浮かんでいた。
 それは店長さんが、トロンの身体に刻み付けられた剣による切り傷のほとんどが、内部
まで達していない、と不思議そうにつぶやいたのが発端だった。
 トロンが戦っている最中はパニック状態になっていたあたしだが、今は店長さんの言葉
の意味を考える余裕ができていた。
 確かにトロンは、レスティーアの最初の一撃で片腕が動かなくなるほどの傷を受けたが
それ以外はチーグルやサバーカに比べればトロン自身のダメージは、はるかに軽かった。
 最初はトロンに怒りを燃やしていたレスティーアが、ワザとトロンを嬲るような戦い方
をしてるのでは? などと勘繰ってみたが、すぐに彼女の性格を考えるとそれは有り得な
いと気がついた。レスティーアなら自分が忌み嫌う相手との戦いなど、さっさと終わらせ
ようと考えるのではないんだろうか? なにより全身傷だらけになってもなお戦い続ける
トロンに対して、レスティーアが時折見せた、あの、いらだちの表情の意味していたのは
きっと……
 
「トロン、あんたひょっとしてレスティーアの攻撃パターンがわかってたの?」
『まぁ、途中からだけどね』
 あたしがDO ITで思っていたことを口にすると、トロンはあたしの顔を見てニヤリ
と笑った。その眼は話を続けろと、あたしを促していた。
「やっぱり! あんたはレスティーアの攻撃パターンを把握した時点で、受けに徹したの
ね? 致命傷にならないようにダメージを調整しながら彼女の隙を伺っていた……そして
もうひとつ!」
『ん?』
 ひとりで部屋を歩き回りながら呟くように話していたあたしは、いきなりトロンの方に
向き直ると、机の上のトロンを指差した。
 トロンの瞳に微かな光が灯った。
「あんたが終止レスティーアをおちょくるような態度をとってたのは、生真面目な彼女の
性格を逆手に取ったのね? 確実に隙をつくるために……かなり戦いの終わりのほうで
イラついてたもんね、レスティーア」
『はて? 何のことやら』
 ニヤニヤと笑いながらそっぽを向くトロンを見て、ようやくあたしにも合点がいった。

つまりトロンにとって最大の武器とは、最小限の攻撃で相手のパターンを把握し、その
対応を瞬時に実行に移せる反射速度の高さ。
 そして、もうひとつは、相手の心理の裏を突くことのできる老獪さと言ってもいい程の
悪知恵……ううん、機転の速さ。このふたつというわけか。
 
 ひとり考えにひたっていたあたしは、トロンが目を閉じたまま口元に微かな笑みを浮か
べているのに、この時になって気がついた。
 それは、自分を理解された事を喜んでいるような、そんな風にあたしには思えた。
『もう、ここまで言えばボクのことは理解してくれたよね? あの戦いでは戦闘経験の全
くないボクでも、ボク自身の“武器”のおかげでなんとかレスPと渡り合う事ができた。
でも、ボクも気づいたんだ、それだけじゃレスPには勝てない……絶対に!』
 静かに話し始めたトロンだったが、みるみる言葉に力がなくなり、最後は唇をかみしめ
たまま黙ってしまった。
「ほらっ、元気だしなって! そんなのトロンらしくないよ? あたしにできることなら
なんでもするからさ」
 トロンの落ち込んだ姿に驚いたあたしは、やさしく語りかけた。しばらく俯いていたト
ロンだったが、すがる様な眼であたしを見上げた。
『本当に?』
「うん!」
『じゃあ……リン、ボクに武術を教えて!』
「へ? ぶ、武術?」
 トロンに話しかけながら、自分に何ができるのか思案していたあたしは、まるで思いも
しなかったトロンの言葉にあいた口がふさがらなかった。
『リンは前に学校で、みさキチを投げ飛ばしてたよね。あれは柔道とかいう武術の技でし
ょう?』
「そうだけど。でもトロン、あたしのは正式の武術じゃないのよ? おじいちゃんの我流
だし……そりゃあ、柔術や空手の技も少しは混じってるけど、基本は合気道だからとても
あんたの役に立つとは思えないんだけど……」
『構わない。リン自身の“武器”が、ボクにはどうしても必要なんだ! レスPに勝つた
めに!』
 
 トロンの言葉の真意がわからず、途方にくれるあたしを、机の上からトロンがあの金色
の瞳に不退転の決意を宿し見つめていた。

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千里の道も一歩から……のハズ

何気に武装神姫と出会って、5年近くが過ぎようとしています。

この間、無駄に歳月を費やしていたわけでもなく、我が家には(レベルはともかく)10体以上の改造神姫がおりますが、私の保存の仕方がいい加減だったため、大半が塗装剥げやらなんらかの損傷を負っているありさま。

ただいま、後悔の涙を流しながら補修している最中だったりします。


で、現在は、とある神姫の武装を改修中。

CIMG0522.jpg

画像は先日、秋葉原に行ったさい購入したコトブキヤのウェポンユニット、「フリースタイル・バズーカ」。

CIMG0524.jpg

けっこう息の長いこのシリーズ、何気に稼働ギミックもあり(画像のギミックが、なんの役に立つかは不明)、お気に入りだったりします。

CIMG0523.jpg

デザインなども私好みですが、今回ほしいのはビーム砲なので、そこらへんをプチ改造。

CIMG0531.jpg

砲身部を取り外し、プラ板で形を作ります。

CIMG0526.jpg

それっぽく見えるでしょうか?

CIMG0527.jpg

せっかく可動部もあるので、下の部分を削り込み、ディティールアップパーツから放熱用のダクトをチョイス、貼りつけます。

CIMG0529.jpg

また、砲身基部に市販のジョイントが仕込んであり、砲身が開きます。

“なんちゃって、バーストモード!!”

CIMG0530.jpg

斜め前から。
とりあえず、これで完成ですが……あと、もうひとつ同じものがいるんですよねぇ。

さて、作業にもどるか……。



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蓮華とプロキシマと私…あとメリエンダも

フフフ、「Moon Angel」売り切れなんデスネ……。


こんなことなら、前回コナスタで買い物した時、予約しとけばよかった(涙)。



と、少々ヘコんでいる私ですが、このまま愚痴るとタイトルに偽り有り! みたいになるのでここらで本題に。


本日、花粉舞い散るなか、鼻をかみながら秋葉原の某所に行ってきました。
目的は神姫のお迎え!

最近は、神姫自体を取り扱う店も少なくなってきましたが、なぜかこの店はリル&ヴェル以降のラインナップはもちろん、それ以前に発売された神姫も多少取り扱っていたりします。

CIMG0539.jpg

で、上の画像の神姫たちをお迎えしました(金銭&輸送が大変なので、数回に分けて購入したんですが)。

私としては、手に入れ損ねたプロキシマを買えただけでも幸運でしたが、この他にも、ガブリーヌ、ブライトフェザー、グラップラップや、コナスタ限定の神姫も扱っており、これからこの店には、けっこう入りびたりそうな予感が(笑)。

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わんだふる神姫ライフ 第11話

 
                        ◆
 ほんの少し前までしんと静まり返っていた店内も、今はザワザワとした空気に包まれて
いる。
 私はそっと天井に設置された大型の電光掲示板へと視線を移した。
 
              ─── WINNER レスティーア ───
 
 私は掲示板にきざまれた文字を、ただ、じっと見ていた。
 どれくらいそうしていただろうか、アクセスポッドの開閉用モーターの駆動音が、私を
現実へと引き戻した。
「おつかれさま、レスティーア」
『姫? あ、いえ……』
 アクセスポッドから出てきたレスティーアは、私の声に驚き、一瞬身体を震わせるが、
すぐに一言答えると、うつむき黙ってしまった。
 つねにゆるぎない信念と誇りが、自身の行動の指針だと言っていたレスティーアが
こんなに狼狽するのはめずらしかった。
 
               こんな態度をとる彼女を見るのは……
 
 一瞬、脳裏をよぎった半年前の出来事を、かるく頭をふって記憶のすみに追いやると
私は何も言わずにレスティーアを見つめた。
レスティーアは、鎧の胸の部分についた真新しいキズをゆっくりと指でなぞっていた。
 
この戦いが終わったら、レスティーアに伝えたいこと、聞いてほしかったことがたくさ
んあったけど、もう必要はないかな?
 
 私はそう思いながら、一ノ瀬さんたちの方へ視線を移した。
 レスティーアも、私と同じ方を黙って見ていた。
                         ◆
 
                   わんだふる神姫ライフ
 
              第11話    「トロン」
 
「もう、何やってんのよ? 早く開いて!」
 もの言わぬ機械に文句を言っても、どうにもならないことは百も承知だが、それでも今
のあたしには、アクセスポッドの開く時間がたまらなくもどかしかった。
「トロン、トロン大丈夫なの? お願い返事して!」
 ようやく開いたアクセスポッドに顔をつっこむようにしてトロンに呼びかけるが、アク
セスポッドの奥のほうは暗くて何も見えず、あたしの声になんの返事もない。
「ど、どうしよう、まさか中で死んでなんかいないよね? え~と、こういう時は……そ
うだっ、JAFに電話すれば!」
『……あのねェ、そんなとこに電話しテ、どうするつもりなノ?』
「きゃっ!?」
 すっかり舞い上がり、携帯を取り出そうとしていたあたしは、いきなり後ろから聞こえ
たトロンの声に飛び上がらんばかりに驚き、アクセスポッドの方をふり向いた。
 そこには、重苦しいモーターの音とともに、フィールドから上昇してくるリフトの上に
足を投げ出し、座り込んだトロンの姿があった。
「トロン!」
 あたしはリフトに駆け寄ると、そっとトロンを抱き上げた。ボロボロだった……傷の無
い場所をさがすのが大変なくらい。
「ねぇ、トロン、本当に大丈夫なの? 身体、痛くない?」
『ダイジョーブだっテ…それよりリン……』
「ん、何?」
 とりあえず、トロンの状態に胸をなでおろしたあたしは、ようやくトロンがあたしの顔
をじっと見つめている事に気がついた。
 その顔はあたしがよく知っている、いつものねむそうな顔をしたトロンだった。
あたしはトロンの頬についた油を拭こうとハンカチを持って近づくと、トロンはふいに
あたしから視線を外しうつむいてしまった。
『ごめン、リン。 ボク……負けちゃったヨ』
「トロン」
 
 そう。あの時、トロンの渾身の攻撃はレスティーアに命中した。でも、その衝撃にレス
ティーアは大きくバランスをくずしたが、それだけではまだ彼女の鎧を貫くことはできな
かった。
 だがそれでもトロンは諦めなかった。さらに一撃をくわえようと身をひねるが、今まで
の戦闘でのダメージの蓄積に加え、限界を超えた動きを強いられたトロンの右脚のサ
バーカが悲鳴を上げ、膝関節から折れ千切れてしまったのだ。
 それでも、金色の瞳でレスティーアを睨みつけていたトロンは、体勢をくずしながらも
残った左脚で大地を蹴るとレスティーアめがけて突き進んだ。
 だけど、トロンの起死回生の攻撃がレスティーアに届くことはなかった。
 おどろくことに、レスティーアは残っていた鞘で(あとで、姫宮先輩に聞いたのだが、
レスティーアの剣は特注の品で鞘まで総て金属製なんだそうだ)トロンの決死の攻撃を
受け止めると、返す刀(いや、鞘か)でトロンに一撃を与え、残念だけどトロンのLPは、
そこでゼロになってしまった。
                   
「そんなの関係ないよ。それよりも……ありがとう、トロン」
『エッ、なんのコト?』
 あたしはじっとトロンを見つめた。開いてるんだかわからない目、しまりのない半開き
の口、それはまぎれもない、いつものトロンだった。
 
      そう、あたしの知っている……じゃあ、さっきのトロンはいったい?
 
『どうしたノ? リン』
 眉をひそめ、心配そうにあたしの顔をのぞきこむトロンと目が合ったとき、なぜかあた
しは笑いがこみ上げてきた。
 
どうでもいいことよね、そんなこと。トロンはトロンなんだから。
 
「ううん、なんでもない。 ねぇ、トロン。さっきはあたしがバカにされたと思ったから
怒ったんでしょう? だからあんなに一生懸命に戦ってくれたんだよね?」
『エッ? いヤ、ボクはさァ、たダ、ちょっとムッとしただけデ……』 
 めずらしく慌てふためくトロンは、口の中でなにかごにょごにょと言っていたが、プイ
ッと横を向くと、あたしの胸のなかに顔をうずめてしまった。
『……一ノ瀬どの』
「レスティーア?」
 いきなり名前を呼ばれ、おどろいたあたしが声のほうを向くと、いつのまにあたしの座
っていたコンソールの上にレスティーアが立っていた。
「どうしたの? レスティーア」
 あたしの問いに答えることもなく、ただじっとあたしを見つめていたレスティーアは、
いきなりあたしの前に片ひざをつくと、深々と頭を下げた。
『一ノ瀬どの、先程の非礼の数々、どうかお許しいただきたい』
「レスティーア。もういいよ。元をただせば、あたしたちの方に原因があったわけだし、
だからもう頭を上げて、ね?」
 いきなり謝りだしたレスティーアに驚いたあたしは、なんとか止めさせようとしたが、
彼女はなかなか頭を上げようとはしなかった。
「ほら、いいかげんにしなさい! もう、この件は、お・わ・り! OK?」
『一ノ瀬どの』
 歯を見せながら笑いかけるあたしに、ようやくレスティーアは頭を上げた。
 あたしを見つめるレスティーアの澄んだ蒼い瞳には、ついさきほどまで宿していた、怒
りや嘲りの色が嘘のように消えていた。
「本当にごめんなさいね、一ノ瀬さん」
 いつの間にかレスティーアの後ろに立っていた姫宮先輩はそう言うと、あたしに向かっ
て頭を下げた。
「え? ちょっと待って下さい。 な、なんで先輩が謝るんですか?」
『そ、そうです、今回の件は全て私の責任! 姫が謝罪せねばならぬ理由など……』
 先輩の突然の行動に、慌てふためくあたしたちをだまって見ていたが、やがて先輩はそ
っと首を横にふった。
「レスティーア、あなたはさっき一ノ瀬さんに、こう言ったわね。“自分の神姫をあるべ
く道に導くのがオーナーの努めだ”と……だから私は謝るの、だって私はあなたのオーナ
ー。そして、レスティーアは私にとって大切なパートナーだから」
『……姫』
 優しく微笑む姫宮先輩に、絶句して立ち尽くすレスティーア。そんな二人をだまって見
ていたあたしは、姫宮先輩の言葉を心の中でつぶやいた。

                     パートナー、か。
 
「あ、あの、一ノ瀬さん。それとトロンをなるべく早く、メンテナンスルームに連れて行
ったほうがいいと思うんだけど……」
「あ!」
 ぼ~っと、突っ立っていたあたしは、遠慮がちな先輩の言葉で我に返った。
『……あのさァ~。ボクには一言も無いワケ、レスP?』
 慌ててメンテナンスルームに向かおうとしたあたしの胸ポケットから、つまらなそうに
トロンがつぶやいた。
 思わず足を止め、胸ポケットに目をやると、トロンは眉間にシワを寄せ、ふて腐った顔
をしている。
『ふん、勝負は私の勝ちだ! きさまに頭を下げねばならぬ理由など無いわ!』
「ちょっと、レスティーア!」
 ふたたび炎を宿した碧眼でトロンを睨みつけ、憮然と言い放つレスティーアに、慌てる
姫宮先輩。
 
      一件落着かと思いきや、こちらはいまだに冷戦の真っ最中デスカ?
 
『……だが、きさまの主を想う今日の戦いは、賞賛に値する』
 あきれ果てたあたしの特大のため息は、思いもしないレスティーアの一言に引っ込んで
しまった。姫宮先輩はおろか、トロンですら呆気にとられた顔をしている。
『再び、きさまと相見える時を楽しみにしているぞ……トロン!』
 あたしたちに背を向けていたレスティーアは、初めてトロンの名を呼ぶと、きらめくブ
ロンドの髪をなびかせながら、姫宮先輩のほうに歩み去っていった。
                          ※
「これで、良しっと!」
「ふぅ」
 店長さんの明るい声に、息を呑んでいたあたしは、ようやく大きく息をはきだした。
 メンテナンスルームの中にある、神姫用の作業台の上で横たわるトロンの全身はテーピ
ングだらけだった。さすがに左腕に受けたダメージは大きく、修理にけっこう時間がかか
ったが、不思議なことにトロンの受けた剣による切りキズはほとんどが内部までは達して
はおらず、神姫の修理用につくられた特殊パテでの応急修理でいいとのことだった。
「後はパテの後処理と素体の塗装なんだが、これは一ノ瀬くんの都合のいい時に店に来て
くれればいいだろう」
「ほんとうに、ありがとうございました、店長さん」
 ぺこりと頭を下げるあたしに、馴れた手つきで工具を片付けながら店長さんは、はにか
んだような笑みを浮かべた。
「いやいや、これも私の仕事だからね……それにしても、ここまでトロンくんが善戦する
とは以外だったな」
「え?」
 ポツリともらした店長さんの言葉の意味がわからず、あたしは怪訝な顔をした。
「いや、正直な話。レスティーアくんの実力と、起動したばかりのトロンくんの状態を考
た場合、もっと短時間で決着がつくかと思ったのでね……それがここまで戦えたという事
は、やはりトロンくんの“ゆがみ”と、一ノ瀬くんの選んだCSCの相乗効果か……おも
しろい」
「あの、それってどういう意味なんですか?」
 ひとりであごに手を当てブツブツとつぶやく店長さんは、あたしの問いかけに、ハッと
してこちらを向いた。
 あたしのほうを向いた店長さんは、何故かあたしを見つめたまま口を開かなかった。
でもあたしには、不思議と店長さんの言おうとした事が、わかったような気がした。
 
君の神姫だ、君自身で考えるんだ。自分の神姫の“特性”を、と。
 
                           ※
「はぁ~」 
 人気の無くなったDO ITの店内の一角にあるソファーの上で、あたしは自販機で買
ったお茶を飲みながら一息ついていた。
「はぁ。今日は長い一日だったわねぇ。でも、やっとあんたとレスティーアの決着もつい
たことだし、これで……」
『ついてないヨ』
「え? それってどういう事? だって……」
何気なく言った一言を遮るトロンに、おどろいたあたしはテーブルの上へと目をやった。
『あのときリンは言ったよネ? 「レスティーアなんか、やっつけちゃえ!」っテ、でも
ボクはまだレスPに勝ってナイ!』
 あたしは、声も無くただ唖然としてトロンを見つめていた、あのトロンがこんなことを
考えていたなんて。
『確か二、レスPにリンをバカにされたのがガマンできなくテ、ボクは戦っタ。そしテ、
レスPはそんなボクの気持ちに気づいてくれたかラ、ボクが負けたのにリンにちゃんとあ
やまったんダ。でモ、戦いは終わったハズなの二、ボクのなかで何かがくすぶってル』
「…………」
『ボクはレスPに勝ちたイ! ……おかしいかナ、ボク?』
 そこまで一気にまくしたてたトロンだったが、あたしが笑っているのに気づくと、急に
口調が尻つぼみになっていく。
「ばかね、そんなんじゃないわ。でも以外だったなぁ~、あんたの口からそんなセリフを
聞くなんて、あんたもやっぱり神姫だったんだ?」
『……リン』
「でもね、トロン、これだけは言っとく。あたしは中途半端なヤツが大っ嫌いなの! あ
んたもそこまで言い切ったからには、最後までキッチリやり遂げなさいよ?」
『うン!』
 元気そうにうなずくトロンを見ながら、結局はまたトロンに戦いを強いるということに
あたしは複雑な気持ちだった。でもトロンはあたしのために、あんなにキズだらけになっ
て戦ってくれた。だったら今度は、あたしがトロンのために何かをしてあげる番だ。
 
              トロンはあたしのパートナーなのだから……
 
 
 あたしをじっと見上げる、トロンのねむそうな顔の瞼の奥で、あの金色の瞳があたしを
見つめているのを感じた瞬間、あたしの心は決まっていた。
 

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我が家の神姫たち その4

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□ メーカー 
  ヤマト・コーポレーション

□ MMSタイプ
  重防御型

□ 名称
  防楯


機体解説
最初期に開発された武装神姫のうちの一体。
黎明期ともいえるこの時代、各メーカーは未だ神姫に対して明確なスタンスをうち出せずにいたため、同社の「防楯」も一般販売されたとはいえ、実際には評価試験的な意味合いがかなり強い。

本機の特徴としては、その名が示す通り過剰なまでの防御能力に特化したことがあげられる。
対実弾、対光学用防楯を二基ずつ装備した本機の能力は、後に発売された種型神姫のそれに匹敵する。

演算処理、機体制御に優れた性能をもつ本機だが、広域にわたり可動する防御システムに干渉するため、大型の火器を装備できず、基本的に武装はハンドガンを二丁のみという貧弱さであり、本機をいっそう防御専門の神姫として偏らす結果となった。

また、専守防衛に徹するために、基本AIは極力感情を抑えるように設定されており、「防楯」はほとんど感情の起伏を見せることが無く、「防楯」を購入したユーザーからの抗議が同社に殺到した。
『神姫とは人と同じ“心”と“感情”を持つ存在』。これらを最大のセールスポイントとしていたはずがこれでは当然の結果であり、ヤマト・コーポレーションは、発売からわずか半年で「防楯」の販売を中止してしまった。


追記、
「不良品」としてのレッテルを貼られた「防楯」だが、2040年代の現在でもわずかに稼働しており、その内の何体かは、神姫バトルの全国ランキングに名を連ねる者もいる。
思うに、武装神姫発売当初、多くのユーザーはアグレッシブルなバトルを好み、地味な戦闘スタイルをとる「防楯」は不評を得た。
だが時が流れ、神姫の戦い方も多様化し、戦術、戦略を重視した戦い方を好む神姫オーナーも増えてきた現在、ようやく「防楯」は正当な評価を受けられるようになったのかもしれない……。




と、長々と房設定にお付き合いいただき、ありがとうございます。
画像は、重防御型MMS、「防楯」のリグリットといいます。

思えば我が家の神姫たちを紹介するこのコーナー。ネタ系→ネタ系→サイコ系と、「お前ンとこは、まともな神姫はおらんのか?」と天の声が聞こえてきそうでしたが、ようやくまともな神姫の紹介となりました(笑)。
では、さっそく続きを。

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解説でも書きましたが、この神姫の特徴は過剰なまでのディフェンス能力にあります。
リア・ユニット側面に見えるのが、対実弾兵器用防楯。

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同じく背面に見えるのが、対光学兵器用のフィールド発生器です。

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四基の防楯はかなりフレキシブルに動き、これらを広域に展開し攻撃を防ぎます。

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敵の放つビームを拡散させ……。

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唸りをあげて襲いくる砲撃も、悠然と受け止めます。

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また、本来は白兵戦を苦手とする「防楯」ですが、このリグリットのように少々毛色の変わったのもいます。
リグリットの対実弾用防楯は大型のクローを内蔵しており、展開することによって強化腕としても使用できます。

CIMG0474.jpg

ひたすら敵の攻撃を防ぎ切り、焦れた対戦相手が不用意に近づいてきたところを、ハンドガンorクローで仕留める! これがリグリットの必勝パターンだったりします。


それにしても、このリグリット、当時頭に浮かんでいた脳内SSの主人公として、私が初めて改造した神姫だったりします。
けっきょくSS自体はボツになってしまいましたが、私にとって思い入れの強い存在であることに変わりはありません(そのためか、今回はやけに画像も多かったような……)。

それでは、今日はここらでお開きにしたいと思います。

ではっ!

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わんだふる神姫ライフ 第10話

 
          それは嵐だった。 蒼い……蒼い嵐。
 
            ─── 一瞬の閃光 ───
 
      その嵐が巻き起こす風は、幾十、幾百もの刃の形をとっていた。
   
           ─── 鋼が鋼に食い込む音 ───
 
    そして、その嵐のなかで轟く雷鳴は、まるで嘲りの声のように聞こえた。
 
      ─── かつて形なしていたモノが、力なく宙を舞う ─── 
 
 
「もうイヤだ! こんなのってないよ! あたし……あたし、もう……」
 あたしは思わずインカムを投げ捨てると、腰掛けていたシートの上で両手で耳をふさぎ
目をかたく閉じていた。
 そんな事をしたからといって、何も変わらないのはわかっていた。
 
             でも、今のあたしには、それしかできなかった。
 
                    わんだふる神姫ライフ
 
              第10話   「がんばれ!」
 
 それは、“戦い”などと呼べるようなものではなかった。
 トロンは自らの両手に、複雑なラインで形成されたアングルブレードを、そして背部か
ら伸びた長大な強化腕チーグルには、それぞれ巨大なこうもりの翼を連想させるフルス
トゥグフロートゥが握られていた。
 対するレスティーアの武器は一振りの長剣のみ、いくらトロンにとって初めての戦いと
はいっても、これならなんとかなるのでは? などという都合のいい考えがあたしの脳裏
をよぎったが、それがどれだけ虫のいい考えだと思い知らされるのに、さしたる時間はか
からなかった。
 まるで滑るような足取りで接近してくるレスティーアに、トロンは大きく振りかぶった
フルストゥグフロートゥを上段から加速をつけて振り下ろした。
 レスティーアは長剣を頭上にかざし受けの体勢をとった。本来ならば、フルストゥグフ
ロートゥの重量とそこから生み出されるスピードを考えた場合、レスティーアのとった行
動は自殺行為といっても言い過ぎではなかったろう。だが実際には、トロンの一撃はレ
スティーアの剣を打ち砕くことはなかった。
 フルストゥグフロートゥがレスティーアの剣に触れた瞬間、鋼の壁の如き剛の力で応え
るかと思った剣は、とたんに人知れず流れる小川のような柔の流れとなって、その強烈な
剣戟を受け流し軌道を変えてしまった。
 驚愕に彩られたトロンの表情とは対照的に、レスティーアの薄いが形のよい唇に笑みが
浮かぶ。
 そして、レスティーアの剣をもつ右手が大きくブレたように見えた。
『くっ』
 それをかわせたのは、偶然だったのか? トロンの胸元めがけて突き出された剣の切っ
先を、アングルブレードでかろうじて受け止めたトロンだったが、ブレードの刃を滑るよ
うに迫る剣の勢いを止めることはできず、そのままトロンの鎖骨のあたりを貫通する。
 トロンは激痛に顔を歪ませながら地を蹴ると、そのまま後方へとジャンプし、その反動
を利用して自身を貫いた剣をむりやり抜いてしまった。
 そして、トロンを刺し貫いたままの格好で冷たく微笑むレスティーア目掛けて、猛然と
突き進んだ。
 唸りをあげ、レスティーアめがけて同時に繰り出されたフルストゥグフロートゥを、レ
スティーアは刀身で流れを変えてしまい、アングルブレードの一撃をわずかに身体を
動かし剣の柄頭ではじき返してしまった。
 そして、銀線と化したレスティーアの剣戟がトロンに襲いかかった。とっさにチーグル
を目の前で交差させ防御するが、神速といっても過言ではないその突きの鋭さの前で
はまったく無力だった。交差させたチーグルと防御しきれなかったトロンの身体が、み
るみる無数の切り傷に覆われていく。
 トロンは全身を襲う激痛に耐え、歯を食いしばりながら目の前のレスティーアを睨みつ
けていた。
 だが、トロンの四本の腕から繰り出す攻撃はことごとく空を切り、レスティーアの攻撃
は、確実にトロンの身体を傷つけていった。
 必死になってレスティーアの攻撃を受け続けるトロンの表情には、さきほどまでレステ
ィーアをからかっていた時にみせていた余裕は微塵も感じられなかった。
 
       悲しかった。こんなにボロボロに傷ついたトロンを見るのが……
 
     悔しかった。トロンがこんなにがんばっているのに、何もできない自分が……
 
 でも、いくら耳をふさぎ、目を閉じたところで目の前の現実から逃げられるはずもなか
った。
 あたしのすぐそばで、いきなりものすごい音が聞こえた。その音の大きさにおどろいた
あたしは思わず目を開け、がくぜんとしてしまった。
「ト、トロン」
 あたしは、自分の殻へと閉じこもっていたほんの数十秒のあいだに、状況がさらに悪化
していたことにやっと気がついた。
 いつのまにかフィールドの端、つまりあたしのすぐ目の前に、レスティーアが毅然と立
っていた。
 そして彼女が無言で見下ろす先には、荒々しく息をしながら、ようやく片ひざをついて
起きあがろうとする満身創痍のトロンの姿があった。
 だが、トロンを見つめるレスティーアの瞳になぜか戸惑いのようなものが浮かんでいた
のを、全身を無数のキズにおおわれ、とっさに元の姿が思い出せないほど変わり果てた
トロンの姿に目を奪われ、あたしは気づかなかった。
 左右両方のチーグルに握られていたフルストゥグフロートゥは影も形もなく、左腕のチー
グルにいたっては、根元から無くなっていた。その鋭利な切断面からは、絶えずスパー
クが走り、内部からはトロンの荒い息づかいに合わせて、潤滑油や冷却剤らしきものが絶
え間なく噴き出している。
 そして唯一残った右のチーグルも、元の形状がわからないほど切り刻まれていた。それ
は、レスティーアの猛攻を防ぎきった代償でもあった。
 さらに、トロンの大腿部から換装された大型の脚部パーツ、サバーカも無傷では済まな
かった。関節からは白煙を吹き上げ、チーグル同様に引き裂かれ、ささくれ立ったサバー
カの装甲がレスティーアの剣技の凄まじさを物語っていた。
 そしてトロン自身も、全身に受けた傷の数はチーグルやサバーカに比べればはるかに少
なかったが、左腕は完全に機能が停止してしまったのか、だらりと下がったままピクリとも
動かない。
「トロン、大丈夫なの?」
『はぁ、はぁ。 まぁ、何とか……ね』
 大丈夫じゃないのはわかりきっているのに、こんな質問しかできないに自分に腹が立っ
たが、トロンは荒い息をはきながらも律儀にあたしの問いに答えてくれた。
「トロン……もう、やめよう」
『…………』
「もういいよ。トロンは一生懸命戦ったじゃない、充分だよ! それにあたし……これ以
上トロンが傷つくのを見たくないよ!」
 必死に語りかけるあたしに、ただ黙って耳をかたむけていたトロンの表情は、うつむき
見えなかった。
『はぁ、はぁ、まいったな。ボクとしてはこういう時は「がんばれ」って言ってくれるほ
うが、うれしいんだけど……ねッ!』
 乱れる呼吸のなか、トロンは軽く頭をふりながら自嘲気味につぶやき、最後の一言
を発すると同時にレスティーアめがけて飛びかかった。
『ふん、おろかな!』
 レスティーアは、かるく鼻をならすと、ボロボロになったチーグルとトロンの右手に握
られたアングルブレードから繰り出される攻撃を軽々とかわしてしまった。
 そして返す刀で、いとも簡単にサバーカの装甲を刺し貫いた。レスティーアの容赦ない
一撃にサバーカは機能の大半を失い、トロンはバランスを崩し転倒してしまった。
『痛っ~』
『もはや万策つき、満身創痍のきさまには万に一つの勝機もないはず。いいかげんに
観念しろ、ストラーフ!』
 転倒した拍子に、顔から倒れ込んでしまい、なみだ目で鼻を押さえるトロンにレスティ
ーアは剣を突きつけ冷たく言い放つ。
 その表情は、何度倒しても立ち上がり向かってくるトロンに対する激しい苛立ちを隠せ
ないようだった。
『……レスPがボクの立場だったら、あんな思いをして降参なんてするの?』
『なんだと?』
 あいかわらず鼻を押さえながら、金色の瞳を自分に向けて尋ねるトロンにレスティーア
が怪訝な顔をする。
『するわけないよね? だってリンは、ボクの“マスター”なんだから』
『ストラーフ……きさまは……』
 唖然とした表情でトロンを見つめるレスティーア。そして、あたしの頭に突然、あの時
トロンがつぶやいた言葉が甦った。
 
    ─── ボクにも、ガマンできる事とできない事がある。それだけの事さ ───
 
        あたしのため? あたしがバカにされたから、トロンは怒ったの?
 
 信じられなかった。自分勝手でわがままで、いつもあたしの事をバカにして、あたしの
ことなんかこれっぽっちも考えてないと思ってたのに。
 
「はは、 ほんとうにバカだな、あたしって……」
 トロンはあたしのために必死になって戦っていたのに、あたしときたら逃げることばか
り考えていた。トロンは自分を信じてって言ったのに……
 
            ホント、こんなんじゃ、トロンのマスター失格よね。
 
 あたしが自分のアホさかげんにあきれ果てたとき、トロンのつぶやいた、もう一つの言
葉が脳裏をよぎった。
 
  ── こういう時は「がんばれ」って言ってくれるほうがうれしいんだけどね ──
 
 全身に受けたダメージに、悲鳴をあげる身体に鞭を打ち、なおも立ち上がろうとするト
ロンを見たとき、コンソールの上に投げ出していたインカムを手に取ると、あたしは静か
にマイクを口元に引きよせていた。
 
「……トロン、聞こえる?」
『くっ、 どうしたの、リン? ボク、今ちょっと立て込んでてね、さっきの話しだったら
家に帰ってからゆっくりと……』
「……がんばれ……」
『え?』
 また、あたしが止めにはいると思ったのか、ぶっきらぼうに答えたトロンは、あたしの
言葉に驚きの表情で振り返った。
 あたしは大きく息を吸い込むと、今のあたしにできるたった一つのことを、精一杯のエ
ールをトロンに送った。
「がんばれトロン! レスティーアなんか……やっつけちゃえ!!」
 ほんの数秒だったけど、驚愕の色をうかべた金色の瞳が、あたしを見すえていた。
そして、口元にかすかな笑みをうかべ小さくうなずくと、トロンは踵を返した。
『と、言うわけなんだ、レスP。マスターのご命令ってやつでね、悪いんだけどもう少し
ボクにつきあってよ』
『……それがきさまの答えか? ストラーフ』
 おどけたような口調で話しかけるトロンに、レスティーアは静かに問いかけた。
『あったりまえだろ? なんてったってボクは、“リンの神姫”なんだからねッ!』
 トロンは大きな声でそう吼えると、レスティーアめがけて一直線に突き進んだ。
『よかろう、ならばこれで……最後だッ!』
 残った力のすべてを右のチーグルへとそそぎこんだトロンの渾身の一撃を、再び一条
の銀光と化したレスティーアの剣が横一文字に迎え撃つ。
 本来ならば、いくらレスティーアの技量をもってしても、あの鋭いカギ爪を供えたチー
グルの貫手の一撃を止められるはずがないと思っていた。
 だが、レスティーアの剣がチーグルの爪の先端に接触しておきた一瞬の閃光のあと、
レスティーアの剣はやすやすとチーグルを両断し始めた。
 大きく弧を描きながらチーグルを上下に分断し、必殺の刃がトロンに襲いかかる。
「だめ、トロンにげて!」
 あたしの悲痛なさけびに応じたのは、一発の打撃音だった。
 それはトロンが自らの右手で、両断されたチーグルのなかほどに下から強烈な掌底突き
を放った音だった。
 この一撃でレスティーアの剣は、自ら両断していたチーグルに、逆に上下から挟み込ま
れる形になり、わずかだが刃の進むスピードが落ちてしまう。
『くっ。だ、だが、この程度では、まだ!』
 自身の剣を食い止めようとする、予想外の力に思わずレスティーアの顔が歪む。
『じゃあ、こんなのはどうかな、レスP?』
『何? ……う、うおっ!?』
 いたずらっ子が浮かべるような無邪気な顔で、自分を見つめるトロンに怪訝なまなざし
を向けた時、レスティーアの剣をにぎる両腕に猛烈な衝撃が襲う。
 それはトロンの背後でおこった小さな閃光が原因だった。
 
                    ── 強制排除 ──
 
 トロンは背部ユニットとチーグルの接続を自ら絶つと、これを意図的に廃棄してしまっ
たのだ。
『そ、そんな……馬鹿な……』
 レスティーアの剣を食い込ませたまま、猛烈ないきおいで上空へと吹き飛ばされたトロ
ンのチーグルは大きな弧を描き、くるくると回転を続けていく。
  
              『うおおぉぉおァァああアアア─────ッ!』
 
 そして、唖然としながら視線を宙へと彷徨わせるレスティーアめがけて、唯一のこった
トロンのアングルブレードが一刃の黒い風となって襲いかかった。
 
                トロンの絶叫にも似た咆哮とともに……
 

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わんだふる神姫ライフ 第9話

 
                     ── 変だ ──
 
 目の前にある神姫の待機スペースでは、トロンが黙々とバトルの準備をしている。
「それにしてもさぁ、レスティーアにも困ったモンだよね。なにもあんなにムキになる必
用なんてないのにさぁ」
『…………』
 つとめて明るくふるまうあたしを迎えるのは無言の間。
 
                    ── 何か変だ ──
 
 さっきのレスティーアとのやり取りの後、なぜかトロンはあたしと一言も口をきこうと
しない。それどころか、さっきからあたしを見ようともしなかった。
「まあ、アレよ。レスティーアも本気で怒ったわけじゃなくて、きっとあんたを軽く懲ら
しめようとして……」
『…………』
 
 何度目かの無言の返答にどうしたものかと思案するあたしの前を、装備をつけ終えた
トロンが足早に通り過ぎる。
「ちょっと待って、トロン!」
 あたしの座るコンソールの横にある、神姫とバトルフィールドとの出入り口の役目を果
たすアクセスポッドの開閉スイッチの前で、トロンの動きが止まった。
「本当にどうしちゃったの? 今日のトロン変だよ! そんなにレスティーアに馬鹿にさ
れたのが悔しかったの?」
『……そんなんじゃないよ。ただ、ボクにもガマンできる事とできない事がある。それだ
けの事さ。じゃあ、行ってくるよ、リン』
 身をかがめ、アクセスポッドに入りながら、トロンはそう答えた。
 そしてこの時、あたしはトロンの口調がいつもとは別人のようになっていることに、よ
うやく気がついた。
 慌ててトロンに問いかけようとした時、あたしは初めて知った。一瞬あたしの方をふり
向き、かすかに微笑んだトロンの瞳が“金色”だということを……
 
                    わんだふる神姫ライフ
 
               第9話     「対峙」
 
 そこは廃墟だった。ひび割れ欠けた壁、崩れ落ち原型を留めぬ建物の窓という窓は全
て割れ、わずかに残ったガラスはポッカリと開いた窓枠を縁取り、まるで怪物の口のよう
に見えた。
 そんな廃墟に、ふたつの人影があった。
 ひとつは、深い蒼色の鎧を身に纏った騎士だった。優美な装飾のほどこされた長剣を
地に突き立て、その上に両手を乗せたまま微動だに動かない。
 廃墟の中を吹きすさぶ風ですら、この蒼穹の騎士の前では恐れをなし、ふたつに割れ
ながら道を譲っているかのような、そんな錯覚を覚えた。
 そして、もうひとつの人影は異形の体躯をもつ者であった。
 スラリとしたフォルムを持ちながら、触れた物すべてを切り裂く鋭角なパーツで構成さ
れた巨大な脚。そのプロポーションを著しく人外のものへと見せる長大な腕、そして、そ
の先に生えた禍々しいまでの白銀の光を宿す巨大な爪。
 背後にセットされた、こうもりの翼を連想させる一対の巨大なブレードを持つ姿は、あ
たしに彼女達のモチーフとなった、ある名前を思い起こさせた。
 
                      曰く、“悪魔”と。
 
 烈風吹きすさぶバトルフィールドの中、いずれ鳴り響くであろう試合開始の合図を前に
トロンとレスティーアは微動だにせず、互いを睨みつけていた。
「トロン」
 あたしはさっきから胸の中に湧き上がってくる、モヤモヤとした気持ちを自分の神姫の
名とともに静かに吐き出した。
 どうしてこんな事になってしまったのだろうか? いくら答えを求めてもだれも教えて
はくれない。
 ただ一つだけ、ほんの一瞬だったけどトロンの瞳を垣間見た時、あたしにもわかった事
がある。それはトロンが“怒っている”という事だった。
 でも、だからこそわからなかった。何故トロンがあそこまで怒りをあらわにしたのか。
いつもは、自分がからかわれたり、怒られたりしても平然としているくせに……
                  
目の前に立つトロンを見たとき、レスティーアの切れ長の眼がわずかに細まった。たぶ
ん、レスティーアにもわかったのだろう。眼前に立つトロンとさっきまで自分が罵声を浴
びせていたトロンとは何かが違うと、だが、レスティーアは己の内に生じた疑問を一瞬で
振り払ったようだった。
『ふん、臆しもせずに私の前に立つとはな……それだけは褒めてやろう、ストラーフ』
 自身をも上回る巨躯を持つトロンを前にしても、少しも動揺することもなく、レスティ
ーアは言い切った。
 きっとレスティーアは、トロンのような姿をしたストラーフと、ううん、もっと強大な
力を持った神姫たちと戦い、自らの力でそれらを打ち破ってきたのだろう。それは、トロ
ンを見つめる透き通るような蒼い瞳と、口元に浮かんだ不適な笑みが証明していた。
「レスティーア」
『心配は無用です、姫。この程度の輩などすぐに処断いたしま……ぐっ!?』
 悲しそうな顔をした姫宮先輩の声は、先輩の方に首だけ向け、話し始めたレスティーア
によって遮られた。
 だが、自身にあふれたレスティーアの声も、一発の銃声によって遮られてしまう。
「レ、レスティーア!」
 驚き叫ぶ先輩の声につられ、レスティーアのほうに視線を移したあたしは唖然とした。
 レスティーアは首から上を大量の白煙に包まれ、大きくバランスを崩すところだった。
何が起こったのかさっぱりわからないあたしは、とっさにトロンの方を向くと、思わず息
をのむ。
 あの金色の瞳で、トロンはレスティーアを見つめていた。そしてもうひとつ、レスティ
ーアを見ている物があった。
 それは、トロンの手に握られた銃。ひと筋の硝煙をたなびかせ、レスティーアまで目に
みえぬ不動の直線で結ばれた銃口だった。
「トロン……あんた何やってんのよ! まだ試合は始まってないのよ?」
『大丈夫、よく見てみなよ、リン。レスPは傷ひとつ負っちゃいないよ』
「え?」
 事態がさっぱりわからず、パニックを起こしかけたあたしは、トロンとの通信用に頭に
つけていたインカムの存在も忘れて、声も限りに叫んでいた。
 あたしのあまりの大声に思わず肩をすくめ耳をふさいでいたトロンは、苦笑しながらこ
っちを向くと、あたしを優しくあやすように話し始めたが、あたしはにわかにその言葉を
信じられなかった。
 だって、トロンの手に握られていたのは、あたしがテレビや映画でよくみかける拳銃と
呼ばれる物とは、似ても似つかない代物だったから。
シュラム・リボルビンググレネードランチャー。
それはトロンを買った時にベーシックセットの中に入っていた、ストラーフ専用の武装
の中でも最大の火力を持つ武器のはずだった。
「大丈夫って、だってそんなのまともに当たったら、いくらレスティーアだって……」
 さすがにトロンの言葉を鵜呑みにはできず、首をふるあたしだったが、口元に笑みを浮
かべ一点を指差しているトロンに気づき、視線を移したあたしは大きく目を見開いた。
 てっきりその身体を地面に横たえていたと思ったレスティーアは、右膝こそ地につけな
がらも、まだ倒れてはいなかった。
「そんな、どうして?」
 あたしの問いに答えてくれたのは、一陣の風だった。
 レスティーアの周りを去りたげに纏わりついていた白煙を吹き飛ばし、その下からでて
きたものは……
「け、剣?」
 それはレスティーアが、唯一このフィールドに持ち込んだ武器だった。信じられないこ
とだけど、レスティーアはとっさに剣をかざしてグレネードの直撃を防いだんだ。
 ゆっくりと長剣を降ろすレスティーア。その刀身の中程からは、いく筋もの硝煙が立ち
昇っている。
「レスティーア、大丈夫? ケガは無い?」
『ハッ。無様なところをお見せして、申し訳ありませんでした、姫』
 心配そうに話しかける姫宮先輩だったが、レスティーアの声を聞くと、ホッと安堵の表
情を浮かべている。
 そんな先輩に背を向けながら、レスティーアはゆっくりと立ち上がった。
『……やってくれたな、ストラーフ』
 一語づつ噛み締めるようにつぶやくレスティーア。目の前のトロンをキッとみすえる蒼
い瞳のなかに揺らいでいるものは、“怒り”と“驚き”だった。
『ケガはしなかった、レスP?』
『なん……だと?』
 真っ向から自分を睨みつけるレスティーアに、ニヤニヤとしながら問いかけるトロン。
意味がわからず眉をひそめていたレスティーアもすぐにトロンの真意に気づき、みるみ
る険しい顔になる。
『あんまりカッカしないで、ボクの思う壺だよ? 今のはボクからの、決闘の前の白手袋
だとでも思ってよ』
 怒りの臨界点に達しようとしているのか、レスティーアの身体が小刻みに震え始めた。
噛みしめられた唇からは、いまにも血が滲みそうだ。
 
                思う壺って、ふつう自分で言うか? 
 
 トロンが何を考えているのか、まったく理解できないあたしは、あいた口が塞がらなか
った。ふつうに考えれば、こんなことをしたらレスティーアの怒りに、そう、火に油を注
ぐような……
「あっ?」
 そこまで考えて、あたしの頭の中で、ひとつの可能性が浮かび上がった。
 
                    ひょっとして、トロンは……
 
 あたしがフィールドに視線を向けると、そこには、まるで悪びれた様子もみせないトロ
ンの姿があった。
 すると、突然アラーム音が鳴り響き、トロンの頭上に反則を意味する赤い光点がひとつ
灯った。
『それにしても、レスPって意外と甘ちゃんなんだね?』
『何?』
 頭上の光点をつまらなそうに見上げていたトロンは、おもむろにレスティーアに視線を
戻すと、そう言った。
『フィールドに立ったその瞬間から、戦いは始まっているんだよ。闘る気あるの?』
『……きさまぁ!』
 レスティーアの瞳に炎が燃え上がった。だがそれは、凍てつくような氷の炎だった。
 あたしにも、レスティーアが本気になったのがはっきりとわかった。
 鬼気迫るレスティーアの形相に、思わずそらしたあたしの眼に映ったトロンは笑ってい
た。その口元に嘲りの笑みを浮かべながら。
『リン、頼みがあるんだけど、聞いてくれる?』
「ど、どうしたのよ、急に?」
 レスティーアの方を向いたまま、トロンは妙に静かな口調であたしに話しかけてきた。
『アドバイスはしないでほしいんだ。この戦いはボクの闘りたいように闘らせてほしい』
「それって、どういう意味な……」
 乾いた唇をようやく開き、絞りだすようにつぶやいたあたしの言葉を、トロンはそっと
遮った。
『それともうひとつ……何があっても信じてほしい……ボクを』
「トロン」
 わけがわからず、混乱していたあたしの口から紡がれた声は、試合開始の電子音に掻き
消されトロンに届く事はなかった。
 
                   そして、ふたつの影は交錯した。
 

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我が家の神姫たち その3

 深夜……人々はまどろみ、夢の中で第二の生活を営む時刻。

 昼日中ですら、ほとんど往来のない細い小道に、まばらに設置された常夜灯が己の責務を果たそうと辺りを照らすが、仰ぎ見る夜空は厚い雲に覆われ月はおろか星ひとつ見えず、その努力を笑うかのように暗闇ですべてを包み込もうとしていた。

 闇に覆われその先は見えず、まるで冥府へと続いているのでは、と錯覚させる路地の奥。

              人影ひとつない……いや、“それ”はいた。

 あまりにも小さな、それでいて、完璧なまでに人の姿をそなえた小さな影が。

『くっ』
 小さな人影が、苦鳴にも似た声をもらす。

 それは、オールベルンと呼ばれる神姫だった。
 スラリとした体躯に纏った甲冑は月光を浴び、それ自体がまばゆい光を放っているかのような幻想的な姿だった。
 だが、わずかな月明かりのなか、舞台のはじまりを待つプリマのように佇む彼女の端正な顔は、不釣り合いなほどに険しさをにじませていた。

『くくくっ』

 闇の奥から聞こえた微かな含み笑いに、オールベルンは我に返ると、華奢な腕で細剣をかまえ、前方の闇をにらみつける。

 路上に転がる小石ひとつ判断できない闇が、さらに濃密な影を生み出した。

 影は両手を大きく広げ、すべるような動きで進み出ると片手を胸に当て、深々と頭をさげる。
 その態度に、オールベルンの表情が険しさを増す。

 その姿からオールベルンを“剣姫”と例えるなら、眼前の黒影はまさに“道化師”だった。

 道化師は数か月前に、オールベルンの住む街に突如姿をあらわし、夜な夜な“神姫狩り”をはじめた。
 この蛮行に、街に住む神姫やオーナーたちは敢然と立ち向かった。だが、道化師に挑んだ神姫は、誰一人戻ってはこなかった。
 そのなかには、オールベルンにとって親友とも呼べる存在の名もあった。
 だが、彼女は数日前に変わり果てた姿で発見された。

 この一件のあと、道化師に挑む者はいなくなった。
 オールベルンのマスターも、道化師に接することを厳しく禁じた。

                    だが…… 

 『くそっ!』
 何度目であろうか? むなしく空を切る細剣を握りなおすと、オールベルンは射るような視線を道化師に向ける。彼女の攻撃はことごとく防がれてしまう。いや、道化師はただの一度も彼女の剣を受け止めてはいなかった。
 風に身を任せる羽毛のような動きで、剣姫の斬撃を受け流すだけだ。

 一方的に体力を消耗するオールベルン。肩で息をしだした彼女を無言で見つめていた道化師は、突然ほこりを払うかのように、片手で胸元をはたく仕草をはじめる。
 それが挑発を意味するものと理解した瞬間、彼女は一直線に突き進んだ。
 道化師は黙ってそれを見つめていたが、ついと両手を胸元に持ちあげる。
 そこには、どこから取り出したのか、数本のナイフが握りしめられていた。一瞬の間もおかず、投擲されたナイフが唸りをあげてオールベルンに迫る。

               それを迎え撃つは、一条の銀光のみ!

 四方から襲いかかるナイフは、細剣の一振りでことごとく弾き返されてしまったのだ。その剣技に動揺したかのように道化師の動きが止まり、剣姫の口元に会心の笑みが浮かぶ。

 オールベルンは剣の柄を両手で握りしめると、渾身の一撃を道化師に向かって叩きつける。
 だが、突如背中を襲った激痛に、硬直したように動きを止めてしまう。背後を擬視したオールベルンの瞳に、柄までめり込んだナイフが映り込む。
『そ、そんな……な…ぜ……!?』
 信じられぬといわんばかりに弱々しく首を振るが、すぐそばに気配を感じ、オールベルンは慌てて前を向く。
 目と鼻の先、肌が触れ合うほどにすぐそばに、道化師が立っていた。オールベルンは話しかけようとするが、いきなり道化師は首をかしげてしまう。

 道化師の背後から音も無く飛来したそれを、自身が弾き返したナイフと剣姫は気づいただろうか?

『くくくっ』

 最後のナイフが深々と額に突き刺さり、ゆっくりと背後に倒れこむオールベルンの耳にあの笑い声が木霊する。

        そう、何か喉にからまったような、聞く者を不快な気分にさせるあの笑い声。

 深い闇に落ちていくような感覚のなか、オールベルンは今回の一件に関わった人たちの間でささやかれた、眼前の道化師に与えられた名前をつぶやいていた。


             
                  『あざ……笑う…もの…』






というわけで、ようやく完成した「嘲笑うもの」、以前ASUR・AさんがやっていたSS風味で紹介してみました。

 今回は自分のブログよりも、メンテナンスの関係でしばらく活動を休止するfgの方に先に投稿するという掟破りなことをしてしまいました(汗)。


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長文ばかりでは紹介にならないので、さっそく画像を。

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道化師ならば、やはりナイフを使った芸は外せないだろうと選んだ武器ですが、やはり少々インパクトに欠けますかねぇ(笑)。

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とはいっても、ただ投げるだけでは芸がないので、〇ットのように遠隔攻撃が可能としました。これによって、中距離から短距離ぐらいのレンジをカバーできるでしょう。

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リアビュー。fgの方でも書きましたが、頭部の球とテールブースターのおかげで、とんでもなくバランス悪いです。

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当初は、アダルティなお姉様フェイスでも移植しようと思いましたが、脳内設定を優先してマスクのみとしました。その仮面の下にあるもの……それは彼女が狂気に走る原因そのものなのです……。

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考えてみると、「武装神姫」という存在に出会ってもう五年近くが過ぎようとしていますが、なぜか私は悪役やラスボスといったポジションの神姫を作ったことがありませんでした。

ようやく完成した「嘲笑うもの」。当初目指していたものとはまるで違ったものができてしまいましたが、この道化師を模した神姫は完全なダークサイドの存在であり、私にとって大きな意味があるのかもしれません。


それでは、今回の神姫の紹介はここらでお開きとしたいと思います。

ではっ!



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