神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

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ナインプロジェクト ドル・ドナ編 その1

……いやぁ、暑いですねェ。
もともと夏は苦手なのですが、今年は特に堪えます(歳かな?)。

この数週間というもの、この暑さ+ほとんど休みが取れない状態で、すっかりバテてました。
なんとかこのブログのメインでものある、SSだけは続けてましたが、立体モノはさっぱりというありさま。

ようやく、すこし時間がとれてきたので「このままではイカン!」と一念発起、とりあえずナインの残りのメンバーの製作を決意しました。
といっても、けっこうブランクが長いので、備品から始めたいと思います(笑)。


CIMG0627.jpg

画像は、以前さらした「名状しがたいライフル銃のようなモノ(仮)」です。
もともとは、「魔法少女 まどか☆マギカ」にでてきた、巴マミさんの愛用のマスケット銃をイメージしたものですが、
これをナインのメンバー、ドル・ドナの使用する専用装備「ケルヴィム」の武装に使おうとコツコツと手を入れました。

CIMG0646.jpg

で、完成したものがコレです。
多少の形状変更と、市販のディテールアップパーツを加えたものですが……なんだかパッとしませんね(笑)。

CIMG0649.jpg

とりあえず、ドル・ドナさん(仮)に構えてもらいましたが、やはりデカい!
しかも、グリップ(?)が太すぎて握ることもできゃしないありさま。
泣く泣く銃本体と、握り手の内側を削り込んでようやく銃を握らせることができました。
ホント、あいかわらずの無計画っぷりに呆れます……。

CIMG0650.jpg

狙い撃つぜぇ!!

CIMG0648.jpg

CIMG0652.jpg

CIMG0651.jpg

長い方がハッタリきくかと思いましたが、さすがにヤリすぎましたか……。

CIMG0653.jpg

モトネタになったマスケット銃ですが、劇中では魔法の力でフヨフヨ浮いてましたが、さすがに神姫の世界でソレは無理があります。
というわけで、ディテールアップパーツからバーニアやらスラスターっぽいものをチョイス。
通常の射撃の他にドル・ドナが遠隔操作し、ビッ〇のように敵を攻撃します。

えっ? こんな形状のモノが飛べるわけない? 非科学的だ?
いえいえ、神姫に科学など必要ありません!


神姫に必要なのは ロマン ですッ!

CIMG0647.jpg

それにしても、このままではさすがにバランスが悪いですから、やはり武装脚は必須ですねぇ。
まあ、そこらへんはおいおい考えるとして、問題はあとどれぐらい数を増やすか……。
ここはやはり、figmaのマミさんに敬意を表して(?)六丁ぐらいが妥当!

CIMG0655.jpg

というわけで、さっそく量産開始(笑)。



クククッ、この「名状しがたいライフル銃のようなモノ(仮)」が量産のあかつきには、連邦などあっという間に叩いてみせるわっ!!

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わんだふる神姫ライフ 第29話

『リン、ちょっと聞きたい事があるんだけど』
 路地を疾走するトロンが、規則正しいリズムで呼吸を続けながら、あたしに話しかけて
きた。
「狐姫の防御について?」
『うん。やっぱりあれも、何かの武術なのかな?』
 あたしはとっさに即答できなかった。少なくともあたしが今まで出会ってきた武術のそ
れとは、何かが本質的に違っているような気がしたからだった。
「あたしにもわからない……でも狐姫の使っていたあの受けは、たぶん武術とかそういう
のじゃないと思う」
『え? それってどういう意味?』
 あたしの回答に驚いたトロンが、一瞬スピードをゆるめながら聞いてくる。
 トロンはまだ気づいてないみたいだけど、最後にトロンの頬を叩いた時意外に、狐姫は
一切両手を使っていなかった。トロンの攻撃をかわしていたのは独特な動きを持つ足捌
きだけだった。
「確証はないけれど、あれは……」
 それでもひとつだけ思い当たる節があったが、それを口にしようとした時、モニター越
しに目に飛び込んできた光を受け、次の言葉を失ってしまった。
 薄暗い路地を抜け、トロンが狐姫の待つ大通りに出たためだった。
 
                   わんだふる神姫ライフ
 
             第29話    「玉面公主」
 
『む~、もういやじゃ! 退屈なのじゃ! わらわは帰るのじゃ───!!』
「落ち着けよ、狐姫! もうすぐ連中も戻ってくるって」
『「…………」』
 ようやく戦場に戻ったあたしたちを待ち受けていたものは、通りの真ん中で大の字にな
って寝転がり、手足をバタつかせながら泣き叫ぶ狐姫と、困り果てた様子で彼女をなだめ
る桜庭さんであった。
「あっ! ほら見てみろ狐姫、連中戻ってきたぞ! おい、対戦相手ほっぽりだして随分
じゃないかよ。一ノ瀬ちゃん!」
 トロンの姿に気づいた桜庭さんが、こっちの方を指差しながら、ホッとしたような、少し怒
ったような複雑な声であたしたちに文句を言ってきた。
「あははは、ご、ごめんなさい。ちょっと作戦タイムを取ってまして……」
 あたしは胸の前で両手を組み合わせ、Tの字を作りながら、ごまかす様な照れ笑いを浮
かべ、桜庭さんたちに謝った。
『ごめんごめん、ボクからも謝るよ。少し冷却期間がほしくてね。ホラッ、後でアメでも買っ
てあげるから機嫌なおしてよ、狐姫』
『バ、バカにするでない。わらわは大人じゃ! アメなど要らぬわ!』
 苦笑いを浮かべながらトロンがそう言うと、狐姫はピョンと立ち上がり、顔を真っ赤に
してトロンに詰め寄った。
「もういいじゃあねえか狐姫。こんな事してたって時間の無駄だぜ。さっさとバトル再開
といこうや」
『む~、わかったのじゃ』
 いい加減うんざりしたといった感じの桜庭さんの声に、渋々とうなずく狐姫。
 あたしたちに背を向け、距離をとるためにテクテクと歩き始めた狐姫だったが、何故か
すぐに歩みを止めると、くるりとこちらを向きながらトロンを指差した。
『よいか、ストラーフよ! わらわはハッカ味はキライじゃ!』
『「…………」』
                        ※
「……という感じなんだけど、どう、やれそう?」
『うん、なんとかやってみるよ』
 あたしはバトルが再会するまでのわずかの合間に、対狐姫用の作戦を手短にトロンに
説明していた。如何せん時間がないうえに、あたしの勘が違っていたら何の役にも立た
ないという代物だったけど、考えられる対策としてはこれ以外にはなく、トロンにもそれは
わかっているのだろう。あたしを見る目は真剣そのものだった。
『む~、いい加減にするのじゃ! ストラーフよ』
『ハイハイ、今行くよ』
 まだペチャクチャとやっているあたしたちに、狐姫の怒声が浴びせかけられる。
 ヤレヤレといった顔で狐姫に向かうトロンの背中を、あたしは黙って見送った。
『さて、と、第二ラウンドの開始だね』
 小さくつぶやくと、トロンは狐姫との距離を詰めるため動き出す。それを見て薄笑いを浮
かべる狐姫だったが、自分に近づくトロンの姿を見ているうちに、口元に浮かんだ笑みが
みるみると消えていく。
 ふたりの距離は確実に縮まっていった。ただし、それに要した時間はさっきとは比べ物
にならないほど長かった。
 トロンは歩いていた。まるで、近所の公園を散策するかのようにスローペースで、一歩
一歩ゆったりとした動きで狐姫に近づいていく。
 狐姫はそんなトロンに驚いた表情のまま、なぜかピクリとも動かなった。そしてトロンは
狐姫にあと数歩というところまで歩み寄ると、いきなり大きく身体を反らし、自分より小柄
な体躯の狐姫にグイッと自分の顔を近づけ満面の笑みを浮かべてみせる。
『な、なんじゃ、お主は? 』
 いきなり自分の鼻面に顔を寄せ微笑むトロンに、怯んだ狐姫がたまらず数歩後ろに退が
る。
トロンは無言のまま数歩前進して、狐姫との距離を詰める。
『や、止めい! 気色の悪い』
 相変わらず一言も言葉を発せず、目の前で天使の笑みを浮かべるトロンに、あきらかに
動揺する狐姫。今度は横に移動しようとするが、素早く回り込むトロンに阻まれ逃げること
ができない。
『ひっ!』
 
                         やっぱり!
 
 狐姫の瞳に浮かんだものが、動揺から恐怖に変わった時、あたしは自分の予想が当たっ
ていたことに確信を持った。
 それは、狐姫がさっき見せた防御は完全に相手の攻撃を避けるだけの物であり、恐らく
直接的に攻撃へと繋がるような類のものではないというのがあたしの考えだった。
 最初は、そんなバカな? という顔をしていたトロンだったが、話を聞いていく内に自分
でも思い当たる節があったのだろう。最後には、あごに手を当てたまま考え込んでいた。
 そして、あたしが対狐姫用の作戦としてトロンに指示したのが、一切の攻撃をせず、狐
姫に肉迫するというものだった。あたしの予想が外れていたら自殺行為ものだったけど、
なんとか最悪の事態は回避できたようだった。
 
 そして、ここからが本番だった。狐姫は一見すると大人びて見えるが、実際はわがまま
な子供そのもののような性格だから、このままの状態を維持できればきっと……
 
『い、い、いい加減にせい! この不埒ものめ!!』
 いくら逃げようとしてもすぐに目の前に現れるトロンに、とうとう我慢の限界がきたのか、
狐姫は手にした扇でいきなりトロンに殴りかかった。
 だが、相変わらず微笑み続けるトロンの顔を強襲するはずの狐姫の扇は、下から突き上
げるように出されたトロンの手刀によって、いとも簡単にその軌道を変えられてしまった。
 右手の甲を滑るように通過する扇が、それを握る狐姫の右手へと変わった時、トロンは
狐姫の手首をつかむと一気にねじり上げた。 
 突然の激痛に顔を歪めた狐姫は、少しでも痛みを和らげようと無意識に身体を浮かすが、
トロンはその一瞬の隙を見逃さなかった。
 大きく体勢の崩れた狐姫の足を払うと、極められた手首を中心に狐姫の身体は真円を描
きながらアスファルトの道路へと叩きつけられる。
 すかさずトロンは狐姫をうつぶせにすると肩関節に手をそえ、そのまま握っていた手首を
力まかせに捻りあげた。
『!? 痛い! 痛い! 痛いのじゃ~~~ッ!』 
 道路に打ち付けられた衝撃で気を失っていた狐姫が、自分の身体を襲った痛みで目を覚
まし、大粒の涙をポロポロと流しながら地面をバンバン叩いて泣き叫んだ。
 こういったリアクションを起こすとは思っていたけど、実際目の前で幼さの残る狐姫の
悲痛な叫びを聞くのは胸が痛んだ。
 さすがにトロンも気まずいらしく、困ったような表情であたしを見ている。
 でもあたしは、トロンに攻めるのを止めさせることができなかった。それは、さっきからあた
しの頭のなかを渦巻いていたもうひとつの疑問が、明確な形をとったからだった。
 狐姫が使っていた体捌きが防御専門のものだったとしたら、一体狐姫は今までどうやって
バトルで勝ってきたのだろうか? 桜庭さんの口ぶりからも狐姫の実力がこんなものとは思
えなかった。
 
 狐姫はトロンを甘く見ていただけで、まだ全力をだしきってはいない! ならば、狐姫が
奥の手を出す前に勝負を決めるべきだ。
 
 理屈としてはわかっていても、眼前の狐姫を見ていると躊躇してしまい、あたしはトロンに
攻撃の指示を出す事ができなかった。
『う~、わらわに対するこの仕打ち。許せん! 許せんのじゃ!! 美雪、すぐに“玉面”の
用意をせいっ!』
 
                        ぎょくめん?
 
 痛みと悔しさからか、顔を真っ赤にしながら叫ぶ狐姫の言葉を、どこかで耳にしたこと
があったような気がしたあたしは眉をひそめた。
「……まったくよ~、だから俺が言ったろ? 最初っから“玉面”を着けてりゃあ、こんな
目にあわずに済んだのによ~。 待ってな、今そっちに送るからよ」
 苦笑いを浮かべながら、自分のコンソールでなにやら桜庭さんがゴソゴソとやっている。
 あたしとトロンがそろって怪訝な表情を浮かべていると、桜庭さんサイドが用意した追
加アイテムの使用を知らせるメッセージが、フィールド上に表示される。
 トロンとは違い、フィールド内に武器や装備を持ち込まなかった狐姫が、とうとう全力
を出す気になったようだった。
 そして、トロンに押さえ込まれていた狐姫が、突然光につつまれる。目を細めて光から
顔を背けていたトロンだったが、輝く光が再構築され本来の姿に変わっていくのを見ると、
狐姫の戒めを解き後方へと飛び退った。
『ほほほ、これがわらわの“玉面”じゃ! 覚悟せい、ストラーフよ』
 不敵な笑みを浮かべながら、ムクリと起き上がる狐姫。その立ち上がった姿は以前とな
んら変わらない感じだったが、背部に複数のパーツが追加されているのが見てとれた。
 それは一見すると、複数の剣を束ねた蓮華の基本武装のようにみえたが、刀身にあたる
部分に刃が見当たらなかった。
 それが狐姫の背後から、左右各四本づつ装備されていた。そして、ブレード状のパーツ
の間からは、それらよりもさらに大型な箱状のパーツがひとつ見えていた。
 合計九本にも及ぶそのパーツは、すべて薄い黄金色に塗装されており、かすかに振動し
ているようだった。
「う~ん、ぎょくめん、ギョクメンねぇ……玉……あっ、思い出した!“玉面公主”ね」
『うわっ!? 何、そのギョクメンなんとかって?』
 さっきから頭の片隅にひっかかっていた事をようやく思い出したあたしは、両手を打ち鳴
らし、大声を上げてしまった。
 インカムを通してあたしの大音量を拾ってしまったトロンが、苦痛に顔をゆがめ、耳をふさ
ぎながら問いかけてくる。
「あ、ごめん。 玉面公主っていうのはね、西遊記にでてきた悪役、牛魔王の奥さんの名前
で……確か第二夫人だったかな? それで一説にはその玉面公主には九つの尾があった
という話なのよ。つまり“九尾の狐”ね」
『ふ~ん、九尾の狐ねぇ。それにしても、よくそんなこと知ってるね、リン』
「ま、まぁね」
『ふつうは、そんなマニアックな名前を知ってる人なんていないと思うんだけど。リンがマニ
アックなのは外見だけで充分だとボクは思うんだけどねぇ』
「山盛りでっけぇ、お世話よっ!!」
 めずらしく感心したような素振りをみせるトロンに、内心鼻高々になっていたあたしだった
が、意地の悪そうな笑みを浮かべながら毒を放つトロン。
 あたしは歯を剥きだして、噛み付かんばかりの勢いで威嚇した。 
『それにしても、九尾の狐も結構なんだけど、あんなんで戦えるのかな?』
「……うん」
 しげしげと狐姫を見るトロンの呆れたようなつぶやきに、思わずあたしもうなずいてしまっ
た。目の前の狐姫は、大きく後方に展開している玉面を背部に装備しているためにバラン
スが悪く、妙にヨロヨロとしているのだ。
 あれでは狐姫の長所である、足捌きを使ったディフェンスも役に立たないだろう。
『狐姫が何を考えてるのかわからないけど、こうなったら先手必勝!』
「あっ、トロン!」
 あたしが止める間もなく、わずかに身を屈めると、トロンは一気に狐姫めがけて走り始
めた。確かにトロンの考えは間違ってはいないだろうけど、この時、あたしの胸を言いよ
うのない不安がよぎった。
『ほほほ、このうつけ者が!』
 ニンマリと小悪魔のような笑みを口元に浮かべ、狐姫の両目がわずかに細まると、背中
の玉面が孔雀の羽根のように左右に大きく広がった。
『わらわを傷つけたその罪、死をもって償うがよいぞよ。ストラーフ!』
 これ以上近づくのは危険と判断したのか、トロンはその場で立ち止まり、身構える。
 狐姫の背後で展開した玉面が閃光に包まれると、白煙を噴き上げながら射出される。
『な、ガン・ポッド? しまった!』
 中空高く飛翔する玉面を見て、その正体をいち早く察したトロンが慌てて身を隠そうと
するが、いつの間にかトロンを包囲するように四方八方に飛び散ったポッドが、一斉にそ
の砲口から目も眩むようなビームの斉射を開始した。
「トロンッ!」
 
 ビームの輝きに包まれその姿が見えなくなったトロンに、あたしは背後のシートを跳ね
飛ばすように立ち上がり、声の限りに叫んでいた。
 

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わんだふる神姫ライフ 第28話

『ん? なんじゃ美雪よ。この目つきの悪いストラーフが、わらわの相手かや?』
 はるか高みにある桜庭さんの胸ポケットからあたしたちを見下ろしながら、目に突き刺
さりそうな派手な色彩の扇を取り出しトロンを観察していた狐姫だったが、それにもあき
たのか、あたしの方に首を回した。
『これっ、そこの子供! そちがこのストラーフのオーナーかや?』
「こ、子供って……し、失礼ね! あたしはこれでも17歳よっ!!」
『17?』
 怪訝そうに眉をしかめると、狐姫はあたしの身体を上から下まで無遠慮に眺め回しなが
ら、扇で口元を隠すと哀むようにこう言った。
『ストラーフ同様、目つきが悪いうえになんとも貧相な身体つきのおなごじゃのぅ、まるで
トリガラじゃ。きちんと親に食事は与えられておるのかや? ガラ女よ』
「な? なななななっ!」
『……ガラ女?』
 あまりの罵詈雑言に二の句が告げなくなったあたしの耳に、まるで地の底から響いてく
るような押し殺した声が聞こえてきた。
 
                        あ、ヤバッ!
 
 あたしは自分の怒りも忘れて、トロンに視線を移した。
 
                     わんだふる神姫ライフ
 
                第28話     「本心」
 
『OK、ボクでよければ相手になるよ。ただし、戦場はボクが選んでもいいかな? それ
と……』
 トロンはそこでいったん話を区切ると、チラリとあたしの方を向き、すぐに視線を狐姫
に戻すと話を続けた。
『バトルはヴァーチャルバトルで闘りたいんだけどね』
『よかろう。それぐらいのハンデはくれてやろうぞ』
『……そりゃあ、どうも』
 胸を張りながら尊大な態度で答える狐姫を一瞥しながら、トロンはコンソールのキーを
いくつか叩き戦場を設定すると、アクセスポッドの方に足早に向かって行く。
「ちょ、ちょっとトロン……」
 あれよあれよという間に進んでいく話に蚊帳の外状態だったあたしが口を開くと、トロ
ンはポッドに腰掛けながらにっこりと微笑む。
『大丈夫だって、ボクはいたって冷静なんだからさ』
 重苦しい音をたてて閉まるアクセスポッドにトロンの姿が見えなくなっても、あたしの
不安は消えなかった。
                         ※
トロンと狐姫が転送されたフィールドは、つい少し前にミーアとの戦いが行われた市外
地ではなかった。高層ビルのような建築物は無く、せいぜい2、3階立ての高さの建物や
小さな店舗が一本の大通りをはさんで軒を連ねている、こじんまりとした商店街のような
フィールドだった。
「あれっ? これってあたしが住んでる町?」
 眼前に広がる光景に、なにか懐かしさを感じていたあたしがよく町並みを観察すると、
フィールドの中によく利用するコンビニやスーパーがあった。
 
そういえば店長さんが新しいバトルフィールドを追加したって言ってたけど、これの事
だったんだ。
 
「それにしても、何もこんな地味なフィールドを追加しなくってもいいのに……」
『あはははははっ、リン! これ見てよ。コレッ!』
 店長さんの趣味に首を捻っていたあたしは、能天気なトロンの声に我に返り、モニター
を覗き込む。
「わっ! な、何よ、ソレっ?」
そこには、張りつけたような不気味な笑みを浮かべた人形が、あたしを見つめていた。
『本当! 変な顔だよね~』 
 画面いっぱいに広がっていた人形の顔が少し後ろに下がると、その間からトロンの顔が
ひょいと現れ、おもしろそうにぺチぺチと人形の頭を叩いている。
 少し距離が開いたことによって全体の姿が見え、あたしはトロンが抱きかかえている人
形が、最近この町にできたファーストフード店「コンバット・フライドチキン」のマスコット、
サンダース軍曹の人形である事に気がついた。
「な、何やってんのよあんたは? もうバトルが始まるわよ。それとその人形はちゃんと元
の場所に戻しておきなさいよね!」
『ちぇっ、は~い』
 姿こそ見えないが、もう狐姫だってフィールドには着いているはずなのに、ぶつぶつ言
いながら自分の背丈ほどある人形を店先に引きずっていくトロンを目で追うと、あたしは
呆れ果ててしまった。
『よっこいしょっ、と。ふう、……ねぇ、リン』
 人形を元あった場所に置くと、トロンは両手をはたきながらあたしに背を向けたまま、
ポツリとつぶやいた。
「どうしたのよ? 急に」
『……ボク、この戦いが終わったら結婚したい人がいるんだ』
「こんなところで死亡フラグを立てるなっ!」
『やれやれ。せっかくボクが少しでも緊張をほぐしてあげようと思ったのにさぁ、本当に
リンって心に余裕のない子だよねぇ~』
「余計なお世話よ! あたしに言わせりゃあ、あんたのほうが緊張感無さす……」
 たまりませんな~こりゃあ、と言わんばかりに肩をすくめ、ため息をはくトロンに一言
言ってやろうとしたあたしの声は、試合開始を告げる電子音にかき消されてしまった。
『さて、そろそろ行くかな。じゃあね、リン』
 トロンは好き勝手ほざくと、風のように動き出した。
「やれやれ、なにが『じゃあね、リン』よ! でもトロンのやつもいつも通りみたいだし、こ
れなら問題はなさそうね」
 ようやく安心しながらモニターに目をやったが、もうどこにもトロンの姿は映っていなか
った。
                          ※
 あたしは、フィールドの各所に設置されたカメラが映し出す映像をコンソールパネルに
設置されたモニターに映し出していく。
 そのなかにメインストリート(というほどの物でもないけどね)で狐姫と対峙するトロン
の姿があった。
『まったく、待ちくたびれたではないか。まあよい。遠慮はいらんぞ、かかってまいれ、
ストラーフよ』
『ボクの名前はトロンだよ。それよりかかってこいって、丸腰で闘るつもりなのキミ?』
 道のど真ん中で腰に手をあて、仁王立ちの状態の狐姫に苦笑しながらトロンが尋ねる。
 それに関しては、トロン同様あたしも疑問に感じていた。確かにトロンも人のことは言え
ないくらいに武装は少ないが、狐姫に至っては、蓮華の特徴ともいえる武装を何ひとつ
身に着けていなかった。
『ふむ、心配には及ばぬぞストラーフ。そちの相手なぞこのままで充分じゃ』
 狐姫は手にした扇をパチンとたたむと、静かにトロンを手招きし始めた。
 トロンは微かに目を細めると、猛然と狐姫に向かってダッシュした。そしてあっという間
に距離を詰めると、狐姫の顔めがけてストレートを叩き込む。
 唸りを上げて放たれたその一発は、なぜか狐姫の身体をすり抜けてしまった。トロンの
瞳に動揺の色が浮かぶ。
 だがトロンは驚きの表情を浮かべたまま体勢を立て直すと、薄笑いを浮かべている狐姫
に息つく暇も与えないほどの連撃を繰り出す。
 一発、二発、三発。だが、それらの攻撃は虚しく空を切るだけだった。
「おかしい……」
 あたしはモニターに映し出される映像を見ながらつぶやいた。あたしの脳裏に生じた疑
門はトロンの攻撃をことごとくかわす狐姫の動きにではなく、トロン自身に対してだった。
 あまりにもトロンの攻撃が単調すぎる。最初は狐姫の隙を誘うためとワザとやっている
のかとも思ったけど、どうもそうではないみたいだった。
『ほほほ、どうしたのじゃストラーフ? さっきからまるで当たらぬではないか。そんなこと
では、あのガラ女も悲しむぞよ』
『くっ、お前!』
 狐姫の挑発にトロンの顔色が変わる。血が出るほど唇を噛み締めると、トロンはガムシ
ャラに狐姫に殴りかかったが、それはもはや子供のケンカと同じレベルのものであり攻撃
などと呼べるものではなかった。
「やっぱり、トロンのヤツ……」
 あたしはようやくトロンの本心に気がついた。
『ふん、つまらん!』
 狐姫は不満そうに鼻をならすと、強烈な蹴りをかわしながら、手にした扇でトロンの頬
を張り飛ばした。
 それほど力はこもっていなかったろうけど、狐姫の一発は蹴りをかわされバランスが崩
れていたトロンを背後の建物に叩きつけるのに充分だった。
『く、くっそう!』
 背中をしたたかに打ちつけたトロンだったけど、素早く身を起こすと口元をぬぐいなが
ら、狐姫を激しく睨みつけていた。
「トロン聞こえる? いったん狐姫と距離をとるの。あんたの後ろにある店に入って!」
『どうしてさ、リン。ボクはまだ……』
「いいから早く!」
『くっ』
 不満気な顔をみせるトロンを一喝すると、トロンは渋々と店の中に飛び込んだ。
『あっ、逃げるとは卑怯じゃぞ、ストラーフ』
 慌ててトロンを追いかける狐姫。ふたりが入った建物は、ここら辺では一番大きなスー
パーだった。
「トロン! とりあえずそこら辺にある棚でも製品でもいいから倒しちゃえ!」
 理由がわからず複雑な表情であたしの方をチラリと見たトロンだったが、店の奥に向か
って走りながら積んであった缶詰やお菓子の箱をなぎ倒し、近くの棚に体当たりを始める。
『な、なんじゃあああああ?』
 ただの時間稼ぎのつもりで指示したんだけど、狐姫はこんな子供だましの手に引っかか
ってくれた。
 転がってきた缶詰に足をとられて転倒すると、その上から崩れてきた棚の下敷きになっ
てしまったのだ。
『ラッキー。この隙にとどめを~』
「だめっ! 今は距離を離してって言ったでしょう? もう少し行くと右手にドアがあるはず
だから、そこから外に出て」
『で、でも』
「急いで!」
『くそっ』
 狐姫が棚に挟まれ身動きできなくなったことに気づくと、トロンは嬉々として後戻りしよ
うとしたが、あたしの強い口調に不満そうな表情をみせながらも、すぐにドアに向かって
走り出した。                 
 店の外に出るとトロンは叩きつける様にドアを閉める。背後で不当な扱いを受けたドア
が不平の声を上げる。
『はあ、はあ、ふう……リン、なんでボクを止めたの?』
 まだ肩で息をしていたトロンは、乱れた呼吸を直そうともせず、激しい剣幕であたしに
食って掛かってきた。
 いつものあたしだったら、売り言葉に買い言葉でトロンと舌戦を始めていただろう。で
もトロンの本心に気づいた今のあたしは、とてもそんな気分にはなれなかった。
「随分とご機嫌ななめね。 ねぇ、トロン。今トロンが怒っているのは、攻撃を中止させた
あたしに対して? それとも、そんなあたしをバカにした狐姫に怒っているの?」
『…………』
 どこからこんな声が出てるのか? と自分でも驚くような優しさを含んだ口調で、あた
しはトロンに問いかけていた。
 あたしのリアクションはトロンとっても意外だったらしく、拍子抜けしたような表情を
みせている。でも、いつもと違って、そんなあたしに茶々を入れようともしない。
「トロン、あんたがあたしのことを思って本気で腹を立ててくれることは、すごく嬉しい
わ。でもね、それも時と場合によりけりなの」
 そう、トロンはずっと怒っていたんだ。バトルが始まった直後に、妙にハイに見えたの
は、その怒りをあたしに悟られないためにわざとおどけて見せていただけだった。
 カメラ越しに射るような視線であたしを睨んでいたトロンも、今はうつむきその表情は
見えない。でも、少し前までトロンの全身から放出していた怒気は嘘のように消えていた。
「怒りは冷静な判断と思考を阻害するだけで何も生み出さない。そして、それは合気道に
とって最も大切な、自然体であるという事と対極に位置する物なの。トロン、あんたが今
より強くなりたいと思っているなら、まず自分の中の怒りに勝つことね」
 あたしはここまで一気にまくしたてると、ニヤリと笑った。
「極楽トンボのあんたなら、そんなに難しいことじゃないでしょう? まずは大きく深呼
吸でもして、クールビズよ!」
『……それを言うならクールダウンでしょ? やれやれ、やっぱりリンにはボケはまかせ
られないね』
 ドアにもたれ掛かりながらポツリとつぶやくと、トロンは大きく息を吸い込み、いきなり
自分の頬をパンッと叩いた。
 トロンはしばらくそのままの格好だったが、やがて小さく息を吐き出すとあたしの方に
向き直った。その金色の瞳には、今度こそ怒りの色は見えなかった。
『……ありがとう、リン』
「お礼だったら、あんたが勝ってからにしてほしいわね」
 あたしの声にトロンはしっかりとうなずくと、踵を返し、狐姫の待つ大通りめざして狭
い路地を走りはじめる。
 
 狐姫、桜庭さん、覚悟しておいてくださいね。ここからが第二ラウンド、ううん、本当
の戦いの始まりなんだから!
 
   あたしはトロンの背を目で追いかけながら、新たな激戦の予感を感じていた。
 

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わんだふる神姫ライフ 第27話

「トロン、危ない!」
『くっ』
 ひねるように身体をよじると、一瞬前までトロンの頭があった場所が無数の弾痕で抉ら
れる。無残にも崩れ落ちるビルの壁面を横目で見ながらトロンは身をひるがえすと、一目
散に背中をみせ、ビルの裏側へと逃げていく。
『ちっ、ちょこまかと!』
 顔につけたマスクのせいでくぐもった声で舌打ちする対戦相手の神姫はヴァッフェバニ
ー。軽量のアーマーと射程を問わない豊富な銃器類を持つ神姫だ。対するトロンも入り組
んだ地形のほうが相手との接触を容易とするはずだが、元々ヴァッフェバニーも市街戦な
どを得意としているために、トロンも容易には接近できないようだった。
 ましてトロンも同じヴァッフェバニーの装備しているとはいっても、こっちはジャンク品を
かき集めた物のため全てのパーツがそろっておらず、武器にいたってはトロンが用意した
サバイバルナイフをブーツのケースに、そして小型の拳銃を一丁、腰のホルスターに収め
ているだけだった。
「これじゃ不利を通り越して絶望的じゃない。何を考えてるの、トロンのやつ?」
 あたしのつぶやきは断続的な銃声に遮られ、トロンには届かなかった。
 
                  わんだふる神姫ライフ
 
             第27話    「連戦」
 
「せめてあの時、ヴァッフェバニーに逃げられなかったら……」
 いまさらいっても始まらないが、トロンは一度だけヴァッフェバニーに肉迫することに
成功していた。
 けれど相手も戦いなれているらしく、接近戦の得意なトロンとの無駄な戦闘を避け、リ
アブースターを使い上空へと逃げてしまい、ブースターを装備していないトロンは黙って
それを見ているしかできなかった。
『まぁ、済んでしまった事をとやかく言っても始まらないんじゃない?』
 くやしそうなあたしの独り言が聞こえたのか、緊迫感のかけらもないトロンがインカム
を通して話しかけてきた。
「そ、それはそうだけど」
『それよりも入り組んだ地形に入ったみたいで、あの黒ウサギさんを見失っちゃったみた
いなんだ。そっちのレーダーで調べてくれない?』
「うん、わかった…………あれっ?」
 トロンに促され、コンソール上のレーダーパネルを覗き込んだあたしは、点滅を繰り返
す二つの光点がほぼ重なっているのに驚きの声を上げる。
『どうしたの、リン?』
「トロン、そこから逃げて! あいつ、上にいる!!」
 訝しげに尋ねてくるトロンの声を遮るようにインカムのマイクを口元に引き寄せると、
あたしは大声で叫んでいた。
『うえ?』
 あたしの声に上を見ていたら、トロンはおそらく蜂の巣になっていただろう。しかしトロ
ンは小さくつぶやくと全力で前方へ走り始めた。トロンの立っていた路面が突然砕け散
る。空を見上げるあたしの目に、空中でホバーリングを続けながら地上のトロンめがけ
て手にした小型ガトリングガン、STR6を猛烈な勢いで掃射するヴァッフェバニーの姿が
映った。
 全速力で逃げるトロンのすぐ後ろを、アスファルトの破片を撒き散らしながら無数の銃
弾が追いすがっていく。
『うわっ!』
 背後から迫る死のシャワーに気をとられたのか、トロンは足元の瓦礫につまずき転倒し
てしまう。
「トロン!」
 あたしはトロンを襲う光景を想像して思わず目を閉じてしまったが、なぜか銃撃の音は
ピタリと止んでしまった。
「?」
 そっと片目を開けてみると、トロンは仰向けになったまま上を見ていた。いままでの戦
闘で受けたダメージ以外に、とりたて傷は負っていないようだった。
 あたしが視線を空へと向けると、ヴァッフェバニーは何度かSTR6のトリガーをいじって
いたようだが、短く舌打ちすると、慌てた様に背後に手を回す。
「弾切れ?」
『ふ~、ラッキ~』
 呆気にとられたあたしの声に、トロンの安堵の声が重なる。
 トロンは一瞬の間も見せず、腰のホルスターから拳銃を抜き放つとヴァッフェヴァ二ー
に狙いを定めた。
「ミーア! いつまでもその武器にこだわるな!」
 マスクのせいで表情はわからなかったけど間違いなく動揺しただろう彼女、ミーアにマ
スターの叱責が飛ぶ。
『イ、イエッサー!』
 このままでは間に合わないと彼女も判断したのか、背後の予備弾倉に手を掛けていた
ミーアは手にしたSTR6を投げ捨てると、リアユニットに装着していた確かカロッテとかいう
名前のマシンガンを手にした。
『「「なっ?」」』
 だが、トロンに狙いを定めようとした電光石火の動きは途中で止まってしまった。いや、
ただ動きが止まったというだけなら、あたしたちも同じだった。
 仰向けになったまま上空のミーアに狙いを定めていたトロンは、なにを考えているのか
突然銃口を真上に上げ(つまり頭の方ってことね)発砲したのだ。
 だがトロンが手にした銃から打ち出された物はあたしたちが想像していた弾丸などでは
なかった。
『ワ、ワイヤーだと?』
 最初はあまりの細さに肉眼ではよく見えなかったけど、フィールドに設置された照明の
明りに反射して輝くそれは、ミーアが言うように確かにワイヤーのようだった。
 強力なガス圧によってものすごい勢いで突き進むワイヤーは、先端のアンカーをビルの
壁面に食い込ませ動きを止める。
『くそっ、フェイクだったのか!』
 てっきり狙い撃たれると勘違いし、自分の主力武器を捨ててしまったミーアは、トロン
の策略にはまったことに気づくと怒りもあらわに苛烈な射撃を開始する。
 けれど、ミーアの攻撃がトロンに届く事はなかった。トロンは手にしたアンカーガンの
モーターを逆回転させると、トロンの身体がワイヤーを巻き込む反動を利用して急加速を
始めたのだ。
『痛だだだだだッ!』
 背中をアスファルトで削りながら、トロンは両手で必死にアンカーガンにしがみついてい
た。それをミーアの放つ銃撃が追随する。
 リズミカルな音を立てながらミーアのマシンガンから吐き出される死の使いが、トロン
の足元に迫る。
 目の前にアンカーを打ち込んだビルが近づくと、トロンは足で地を蹴り、その勢いで半
回転しながら身を起こすと、ビルの壁面の窓のひとつに頭から飛び込んでいった。
トロンが飛び込んだ窓のすぐ下で、主を失ったアンカーガンが虚しい音を立てて壁にぶ
つかる音がする。
『な、なんなんだアイツは! 戦う気があるのか?』
 ミーアの方を見向きもせず、またビルの中へと姿を隠してしまったトロンを見て忌々しげ
につぶやくと、ミーアは地面に降り立ちトロンが潜り込んだビルへと一気に走り寄る。
 ビルまであとわずかというところで、トロンが飛び込んだ窓から、こぶし大の物が放り投
げられミーアの足元に転がってきた。あたしの位置からではそれが何かはよくわからなか
ったけど、ミーアがソレを目にした途端、いきなり彼女はものすごい勢いで地を蹴り、後ろ
へと跳躍した。
 その直後に耳を覆わんばかりの轟音がとどろき、激しく地面を揺するとモニターが黒煙
で覆われ何も見えなくなってしまった。
「なっ、ば、爆弾?」
『まぁ、厳密に言えば手榴弾かな』
 唖然としながらつぶやくあたしのインカムにトロンの声が響く。
「し、手榴弾って、あんたそんな武器もってたの?」
『借りたんだよ。あの黒ウサギさんからね』
「か、借りたって……あっ!」
 確かにあたしの記憶ではトロンは手榴弾などフィールドに持ち込んではいなかったが、
戦いの初めの方でトロンがミーアに接触し、一瞬ふたりがもつれ合ったのを思い出した。
 
             あの時、ミーアから手榴弾を盗んだってこと?
 
「ミーア! 相手はレスティーアやガーネットを手玉に取るほど悪知恵の働くヤツだ。い
ったん距離をおいて仕切りなおすんだ!」
 ミーアのマスターの核心を突く発言にあたしは反論も出来ず、思わずうつむいてしまっ
た。
『ゴホッゴホッ。イエス、マスター!』
 かなり薄くなったといえ、いまだに視界をさえぎる黒煙を必死に手で払いのけながらミ
ーアは移動を開始するが、トロンが飛び込んだのとは別の窓が突然割れ、何かが飛び
出してきた。
 反射的に音の方にカロッテを向けたミーアの動きが止まる。大量のガラスの欠片をまと
わりつかせてミーアの眼前を転がっていくのは、ただのコンクリートの塊だった。
『これはまた、随分と古典的な手にひっかかるんだね、キミって』
 カロッテを構えたまま身体を硬直させたミーアの背後で、トロンの人を小馬鹿にしたよ
うな声が聞こえる。
『……まったくだ。自分のアホさ加減に涙がでる。だが、このままキサマを楽に勝たせる
つもりはないぞ』
『へぇ~。この状態で、どんな奇跡の逆転劇をみせてくれるのか……楽しみだね』
 押し殺すような声で話すミーアに対して、トロンの声はどこまでも脳天気だ。だが、あ
たしにはわかった。ふたりの間に流れるピンと張り詰めた空気を。
 トロンに背後を取られたミーアが、いきなり手にしたカロッテを空に向かって放り投げ
た。反射的にトロンの視線も後を追う。
「トロン! それはフェイント!!」
 思わずシートから腰を浮かせながら叫ぶあたしに、小さく舌打ちしながら振り返るミー
ア。その手には大振りなナイフが握られていた。
 トロンの胸元、CSCがある当たりめがけて銀線が走る。
 たとえ、あたしの指示があったとしてもタイミングとしては完璧だと考えたんだろう。
だけどトロンだって、ライドシステムを使ったあたしとの地獄のような特訓に耐えてきた
んだ。
『……バカな』
 ミーアの口元に浮かんだ勝利を確信した笑みが凍りつき、彼女を見つめるトロンの口元
に会心の笑みが浮かぶ。
 必殺の闘志を込めたミーアのナイフは、そっとかざしたトロンの手刀(てがたな)によって
その流れを逸らされ、まるで見当違いの空間を貫いていた。
「今よっ!」
『応ッ!』
 あたしの声にトロンの応じる声が重なる。
 トロンはすばやく自分の軸線を移動させると、ミーアのナイフの捌いた右手でそのまま
彼女の手首の関節を極めると、流れるような動きでミーアの体勢を崩す。
 関節を極められたミーアは激痛のために身体の自由がきかず、その動きにあわせて泳ぐ
ような素振りでトロンの横を通り過ぎる。そしてミーアの喉元に、トロンの左肘が深々と
食い込んだ。
『がはっ!』
 カウンター気味に炸裂したトロンの一撃に大きくのけぞったミーアだったが、その動き
は不自然な角度で止まってしまった。
 あたしは目を細めると、ミーアの足元に視線を移した。そこには彼女の足の甲を踏み拉
いたトロンの爪先があった。
 そして、後ろに倒れそうになりながら突然その重心バランスを崩されたミーアに、音も
無く踏み込むと、トロンの一撃がミーアの胸元に炸裂した。
 それは何のことはない両手を使った掌底打ちだった。“一重”で相手の攻撃を捌きながら
その動きを封じ、重心を崩された相手に追い討ちの攻撃を加える。
 合気道の基本に忠実なこの技は地味と言われればそれまでだが、実際にはかなり強力
な技だった。
この状態ではまず受身など取れるはずもなく、アスファルトに後頭部を強打したミーアは
機能停止に追い込まれてしまった。
 おじいちゃんから教えてもらったこの技は、つい数日前にライドシステムを使った特訓で
トロンに教えたばかりのものだった。
『さて、ボクとしては、後はこのまま眠れる黒ウサギさんにとどめを刺すだけなんだけど
……それでいいのかな?』
 ピクリとも動かないミーアの横にしゃがみ込み、その喉元にブーツから抜き取ったナイ
フの切っ先を当て、今年一番の邪悪な笑みを浮かべながらミーアのマスターの返事を待つ
トロン。
「わ、わかった。降参する」
 悔しそうな表情をしながらも即答するミーアのマスター。
 フィールド上にミーアの降伏を意味する電子音が鳴り響くと、トロンの勝利を祝福する
文字が電光掲示板に表示される。
                          ※
「おつかれ、トロン」
 にこやかに笑いかけるあたしに、バーチャルバトル用のモードに設定を変更されている
アクセスポッドに横たわっていたトロンが静かに起き上がると、おおきな伸びをひとつし
ながらあたしの方に顔を向け、軽くウインクをしてきた。
 
        こうして、今日もひとつの戦いに幕が下りたはず……だった。
 
「よっ! 一ノ瀬ちゃん!!」
「ぶっ!」
 トロンの待つアクセスポッドのほうに歩きかけたあたしの背後で、割れ鐘を鳴らしたよ
うな大声が轟き、あたしは背中に殴られたような衝撃を受けた。
「痛った~。……桜庭さん! もう少し加減してくださいって前にも言いましたよね?」
 あまりの馬鹿力によろめきながらも、あたしは肩の辺りを押さえながら振り向き、怒り
もあらわに声の主を睨みつけた。
「あっ? わ、悪ぃ、軽く肩を叩いたつもりだったんだけどよぉ」
 あたしの迫力に気をされたのか、後ずさりしながら頭を搔く桜庭さん。
「で、あたしに何か用でもあるんですか?」
 あれのどこが軽くよ? と思いながらつっけんどんに用件を聞くと、パッと桜庭さんが
破顔しながらこう言ってきた。
「お、おう、それだよ、それっ! これから俺とバトルしようぜ、一ノ瀬ちゃん」
「は? あ、あの……」
「この間、約束したじゃんかよ! おい、狐姫! 出て来いよ!」
 一方的に話を進める桜庭さんは、自分の胸ポケットに大声で話しかける。
『ほほほっ、ようやくわらわの出番かや?』
 桜庭さんのポケットから顔を出したのは、変な口調で話す、確か“蓮華”とか呼ばれる
狐型の神姫だった。
 
     あまりの一方的な展開に、あたしもトロンもただ唖然とするしかなかった。
 

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わんだふるな登場人物たち その1

                □ 一ノ瀬 隣(いちのせ となり)

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ツリ目、ミニマム、ナインぺタと、三拍子そろった通好みの容姿を持つ高校二年生、17歳。
性格は直情的で頭に血が上りやすいが、情に厚い一面も併せ持つ。

自分の容姿に多大なコンプレックスを持つため、なかなか他人に心を開けない不器用な面をもつが、一度心を開いた相手に対しては、なんだかんだといいながらも助力を惜しまない、情にほだされやすい性格の持ち主。

幼いころから祖父に武道の手ほどきを受けており、その実力は相当のものである。

以前から、神姫に対しては並々ならぬ執着をもっており、ようやく悪魔型神姫を手に入れるが、隣にとって不運だったのは、その神姫が本物の“悪魔”だったことだろう。

トロンからは『リン』の愛称で呼ばれる。

「ランドセルの似合う女子高生」の異名を持つ。(トロン談)








……え~、ようやく本ブログのメインである、SSの登場人物の紹介であります。
第一話掲載からはや半年。

なにゆえこんな時期になったかというと、SSのメインの登場人物は、オーナー、神姫ともに、立体化したい! という一念からでした。
ですが、作業は難航。特に、隣は悪相という設定なのでなかなかイメージにあうパーツが無く、初めての全面的なアイリぺとなりましが、これがまた……。


                    うまくいかないッ!


画像を見てもらえれば分かると思いますが、ガタガタです。
これでも、何度もやり直したんですが……あはは。

いっそ、文章だけでの解説とも思いましたが、いままでの作業が無駄になるのももったいないので、あえてさらすことに決めました。
まあ、何度も失敗を繰り返せば、いまよりマシになると信じましょう(笑)。

CIMG0644.jpg




さて、これでは設定紹介だか愚痴のコーナーだかわからないので、続きをば。
隣のボディですが、これはピンキーとかいうシリーズから流用してきました。腕のポーズを少し変え、塗装もやり直しています。
最初はSDタイプとして作っておりましたが、隣はかなり背が低い(140センチぐらい)ので、むしろ、リアルタイプでも通用するかも(笑)。

CIMG0638.jpg

あまり見せたくはないのですが、拡大画像。
いつも不機嫌そうな表情の隣ですが、べつに怒っているわけではなく、これがデフォルト状態だったりします。


CIMG0634.jpg

これだけではちとさびしいので、オマケ画像を。
SS26話で、トロンに特訓をほどこすべく、テスト用素体にライドオンした、「一ノ瀬 隣、神姫ver」。
それにしても、SDverではそれほど目立たなかったのに、神姫verでは妙に頭がデカくみえますなぁ。
ほわい?

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使用したのは、ばら売りしていたリルビエートの素体をリぺしたものです。
といっても、赤の部分を黒で塗装した程度ですが、けっこう劇中のイメージに近くなりました。

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それにしても、いままで3rd素体を使用した神姫を買ってはいましたが、あまり箱からだして遊ぶことものなかったので気づきませんでしたが、3rd素体って、胸デカいんですね? し、知らなかった……。

劇中では、素体の胸のないことに激怒していた隣ですが、これなら本人も陰で喜んでいたことでしょう。

CIMG0639.jpg

リアル状態では、完全な“平地”ですからね(笑)。



さて、第一回目のSS登場人物の紹介は、ここらでお開きにしたいと思います。
今回の隣は、アイリぺの未熟さや、髪の隙間も満足に埋められなかったなど、不満点も多いので、いずれは全面改修に着手したいと思います。

次回は、隣のパートナーにしてこのSSのもう一人の主人公、トロンの紹介を予定しております。



まあ、いまだに未完成なのですが(笑)。







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