神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

残念! またも空振り……

う~ん、なかなか出会いませんなぁ、ガンダムフェニーチェ……。

そろそろ再版かかってるかと思い出かけてみたのですが、巡りが悪いのかまたも空振りデシタ。

まぁ、焦らされてこそ恋の炎(?)は燃え上るというもの!
地道に待つことにいたしましょう。



さて、お目当てのブツこそ見つかりませんでしたが、BF関係はMGの戦国アストレイを筆頭に、
HGキュベレイパピヨン、ジムスナイパーK9とガンプラのリリースは順調に続いているようです。

そんな中で、あえて私が今回選んだ品はコチラ!

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巷では犬リュックの愛称で呼ばれる(今勝手に命名)「K9ドッグパック」

個人的には本体であるK9より存在感があったように思えます(笑)。


いきなり余談なんですがこのドッグパック、このように単体での発売でしたので、てっきりK9には付属してないのかとお思いきやちゃんと付いてるんですよね。
そうすると、このドッグパック自体を単体で発売する理由がないような気がするのですが……。

私みたいのがネタのために買って……。

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このように組み替えを楽しめというBANDAIのありがたい配慮なのでしょうか?


閑話休題、本題にもどりましょう。


このドッグパック、パーツ数はそう多くはありませんが設定に忠実な作りになっておりました。

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まずはバックパックモード。

ドッグパックの基本形態ともいうべきものですが、四肢を無理やり開いたその姿は
「イヌの開き」ともいうべきシロモノであり、お世辞にもカッコイイとはいえません。

やはりドッグパックといえばコレ!

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この自走モードではないでしょうか。

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スナイパーライフルを装備し戦場を疾駆する姿は愛嬌すら感じましたが、三代目メイジン・カワグチの駆るケンプファーアメイジングを今一歩のところまで追いつめるなど大活躍でした。


そしてドッグパックのキモといえばコレ!

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「ブラッドハウンド隊」のみなさん!(すげーピンボケでスミマセン)

まさかコレが付属するとは思いませんでしたので驚きました。しかも八体!(画像を見ると敵前逃亡したのか七人しかいませんが……)。

余談ですが少年時代「プラモ狂四朗」を見て育った私としては、この回は本当に見ていて楽しかったですね。
今後もこういったネタを披露してくれると嬉しいのですが。

ただ、このブラッドハウンド隊のみなさん、劇中と違い飛行ユニットもつけてませんし使いもしなかったライフルの類を構えてるんですよね。EXシリーズからでも流用してきたのかな?

さらにこのドッグパック、後ろ半分にあたる部分が分離するというギミックも再現されてました。

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しかもハッチが開き、この中にブラッドハウンドのみなさんが搭乗するとができるとか!
期待に胸を膨らませ、さっそく載せてみたんですが……あれ?

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三人でいっぱいだぞ? し、しかも奥にハマって取れないんですけど……。

憤慨しながら組み立て説明書をもう一度見てみるとこんな文が。

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なんてこったい、この兵員輸送車(?)、定員たったの三名なの?

ちなみに、一度搭乗したハウンドのみなさんも、ピンセットかなんか使わないと降車できないことを追記しておきます。



いや~、意味の分からない単体販売の「K9ドッグパック」でしたが、それでもなかなか楽しめました。



さて、そろそろガンプラ製作の続きに入ろうと思いますので、今回の記事はここらへんでお開きといたします。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。










ちなみに、ただいまこんなモノを作っております。

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武装神姫 クロスロード 第29話

                  武装神姫 クロスロード

              第29話  「決意」


 ここはDO IT内にある店長さんのプライベートルーム。姫宮先輩と別れた後、事の
顛末を説明するために店長さんの元を尋ねていた。
 あたしは片桐からのメッセージを伝えると、店長さんの様子をうかがった。
「そうか、彼に会ったのか……それにしても」
 あたしの前にあるソファーに深々と身を沈めた店長さんは、しばらくしてそう言った。
『そんな……サタナエルが生きていたなんて……』
 目の前の机の上で、顔を青ざめさせながらリベルターが、はっきりとわかるほど身体を
震わせている。
 かつて多大な犠牲を払って倒したはずの存在が生きていた。そして、それがまた彼女た
ちの前に立ちふさがる──リベルターの心情を思うと、あたしの気持ちは複雑だった。
「あ、あの、そんなに考え込まなくても……ほら、今度あの男が現れたら、あたしが責任
もって取り押さえますし」
 予想を超えて場に重くのしかかる空気に、慌てたあたしは努めて明るくふるまった。
「おそらくそれは無理だろう」
 思い直したようにこちらを向き、話し始める店長さん。
「それってどういう意味ですか?」
「少なくとも片桐は傍観者だ。戦いの場には姿を現すことはないだろう。今までがそうで
あったようにね」
「そ、そんな……」
 店長さんの言葉のから、片桐が接触してきたあの時が最初で最後のチャンスだったと知
り、あたしは歯ぎしりして悔しがった
「しかたがないよ、隣ちゃん。ぼくなんて、まだ片桐って人に一度もあったことないんだ
からさ」
「でも……って、あれ? 天堂さん、いたんですか?」
「ハハハ、い、いやだなぁ~、隣ちゃん。さっきから君の横に座ってたじゃないか?」
 キョトンとするあたしに、天堂さんは引きつった笑みを浮かべながら、必死になってい
る。

 というか、確かリューネは“ナイトメア”の時活躍した神姫だって聞いたけど、そのマ
スターが片桐に会ったこと無いなんて、どんだけ存在感ないんだ、この人?

『恵一郎の影が薄いのは、今に始まったことではありませんわ。それよりも解決しなくて
はならない問題があるのではなくて?』
 部屋の隅で膝を抱えてうずくまる天堂さんを尻目に、テーブルの上に身軽に飛び降りる
と、リューネはあたしたちをぐるりと見回しそう言った。
「確かにグリューネワルトくんの言うとおりだな。片桐が挑戦状を突きつけてきた以上、
我々も早急に対策を講じなければ」
 うなずきながらつぶやく店長さんだが、ふいにその視線がこちらに向けられた。
「だが、一ノ瀬くんたちは……」
「あんな男をのさばらせてはおけません。あたしたちも手伝い……」
『だめですっ!!』
 心配そうな表情を見せる店長さんに、あたしは胸を張って答えようとしたが、悲痛な叫
びにも似た声があたしの言葉をさえぎった。
「リベルター? な、何を言ってるの? このままじゃ」
『いやなんです。これ以上犠牲がでるのは……トロンたちにまでもしもの事があったら、
私たちはもう……』
 そう言いながら、両腕で身体を抱きしめながら崩れるようにしゃがみ込むリベルター。
あたしたちは、そんな彼女にかける言葉がみつからなかった。

                           ※

 目の前の大型スクリーンに、神姫同士の戦いが映し出されている。ランサメントのフィ
ールド内の地形が変わってしまうのでは、と思うほどの猛攻撃をかいくぐり、アークがト
ライクモードに変わると一挙に距離を詰める。
 すれ違いざまに襲いかかるアークのブレードを、ランサメントは間一髪で交わしてしま
う。
 ふたりの口元に笑みが浮かぶ。それは、互いを認めあった者の笑いだった。

 場の雰囲気が悪くなり、作戦会議はいったん中断し、あたしは気分転換のためにシュミ
レーターのあるコーナーに場所を移すと、眼前で繰り広げられる神姫同士の戦いを黙って
見ていた。

 あたしは最近、神姫バトルに対する考えを改めていた。
 以前は神姫バトルとは人間たちが神姫を使って行う見せ物だと思っていた。実際、そう
いう感覚で神姫を戦わせるマスターも多いと聞いている。
 でも、トロンが乗り越えてきた数々の戦いが、その考えが間違いだと教えてくれた。

               でも、今度の戦いは違う……

 片桐という男にとって、戦いはただの娯楽なのだ。それを止めることに、あたしは何の
疑問も感じなかった。
 でも、リベルターの言葉が、あたしの心に影を落としていた。そう、それを阻止するの
はあたしじゃない。実際、血を流すのはトロンたちだ。
     
                あたしはただ見ているだけ。

 その現実が、あたしの心に重くのしかかっていた。

「……はぁ」
「どうした。悩み事か、隣?」
「ええ。まあ、なんというか、って……お、和尚さん?」
 スクリーンから目をそらし、ため息をついていたあたしは、いきなり問いかけられ驚き
慌てて顔を上げる。
 いつの間に現れたのか、ベンチに腰掛けていたあたしの横に座り込み、和尚さんは
腕を組みながらスクリーンを見上げている。
「まったく、お前らしくもない。隙だらけではないか! 思わず後ろから喝(一撃)を入れ
ようかと思ったぞ」
 憮然と言い放つ和尚さん。

     和尚さんの剛拳が後頭部に直撃したらタダじゃ済まないんですけど……

 背筋を伝い流れ落ちる汗を気にしながら、あたしは内心胸を撫で下ろしていた。
 事情を話せば和尚さんのことだ。みずから先陣を切って戦いそうだが、相手はあの変態
野郎。どんな手を打ってくるかわかったもんじゃない。

 これ以上、今回の一件に他人を巻き込まないためにも、和尚さんに話すわけにはいかな
い。

 そう考えふけっていたあたしを、和尚さんは不思議そうに見ていた。
「えっと。あっ、そういえば今日は睦月と一緒じゃないんですか?」
 このままじゃヤバいと話をそらそうとするが、和尚さんは無言でベンチの一点を指さす。
そこにはあたしの横で鼻歌まじりでベンチの上を掃いている睦月の姿が。

            だ、だめだ! 睦月の気配にも気づかないなんて……

 ますます訝しげな顔を見せる和尚さんに、どうやって話を逸らそうかと頭を抱えている
と、どうやら睦月にゴミとみなされたのか箒で掃かれ目の前をコロコロと転がっていたト
ロンがムクリと起きあがる。
『気を利かせろBOーZU。リンは今日、アノ日なんダ』

「違う!!」
 大きく上げた腕を力一杯振り下ろしてから、あたしはトロンにツッコんだ。

      あっ、でも、そういうことにしといた方が、この場はごまかせたかも……

 こぶしを通して伝わる断末魔の痙攣を感じながらあたしはフッと思ったが、そんな考え
も鼓膜を破らんばかりの和尚さんの豪快な笑いに消し飛んでしまう。
「まったく、あいかわらずじゃのう。で、今回はどこの誰が争い事に巻き込まれたのじゃ?」
「え?」
 いきなり核心に触れられてしまったあたしは、小山のような身体を見上げる。
「お前がそんな浮かない顔をしとる時は、たいてい身近な者によからぬ事があった時と相
場が決まっとるからのう。また、美佐緒とかいう娘子の事か?」
「べ、別に美佐緒は関係ありません!」
 いきなり出てきた美佐緒の名前に、なぜかドキっとしながらあたしは大声で答える。
 気色ばむあたしを気にした素振りも見せず、和尚さんは天井を見上げた。
「ふふ、まあよい。それにしてもお前も成長せんのう。初めて剛三郎の奴に稽古をつけて
もらった日の事を忘れたか?」
 何気ない和尚さんの一言に、あたしは眉をひそめると無意識に左腕をさすっていた。
「……忘れるわけないじゃないですか。折られたんですよ……腕を」
『う、腕を……』
『折られタ?』
 ポツリとつぶやくあたしにトロンと、トロンの身体についたホコリを払っていたルーシ
ィが驚きあたしを見上げる。脳天気のかたまりみたいな睦月まで、呆気にとられたような
顔をしていた。
『……なんデ、リンのじいちゃんはそんな事したノ?』
 口調こそいつもの寝ぼけトロンのものだったが、その言外に激しい怒りのようなものが
感じられた。
「もう、ずっと昔の話よ。それにおじいちゃんの気持ちも今はよくわかるから」
 遠い目をしながら答えるあたしに、トロンが怪訝な表情をみせる。あたしは苦笑しなが
らトロンの頭をそっと撫でた。
『で、でも、痛くなったんですか、リンさま?』
「そりゃあ、痛かったわよ。最初は何が起きたのかまるでわからなかった。痛みで地面を
転げ回ってる時もね」
 あたしの答えに、ルーシィの両目にみるみる大粒の涙が浮かんでくる。今度はルーシィ
の頭を撫でさすった。
「おじいちゃんはね、あたしに教えたかったのよ。あの時感じた“痛み”や“怖さ”は、つね
に自分が受け、相手に与えるもの。力というものがいかに危険か、そして力は軽々しく
ふるってはいけないということを──それを忘れないために、おじいちゃんは一番最初
にあたしの身体に教えたのよ」
 遠くを見ながら話すあたしのスカートが引っ張られる。視線を移すと、トロンが無言で
さっきあたしに叩かれたためかあきらかにへコんだ頭を指さしている。
「ま、まあ、あたしも人間だし、我慢の限界ってもんがあるのよ」
 咳払いをしながら、露骨に視線をそらす。

            ていうか、あんたの場合は自業自得でしょう?

「それを覚えておるなら話は早かろう。おそらく今回は、そのオチビさんたちが関わって
おるのじゃろうが……」
 トロンとにらみあっていたあたしは、和尚さんの言葉に驚く。
「図星か?」
 歯をむき出すように笑う和尚さんに、あたしは素直にうなずいた。
「戦うのはトロンたち。でも、あたしには何もできない……ただ見ているだけ」
「それで良い」
「えっ?」
 唇を噛みしめつぶやくあたし声に、和尚さんの声が重なる
「戦って受ける傷は、何も身体に受けるものばかりでは無い。心に刻みつけられる傷もあ
るのじゃ。お前がオチビさんたちを信じるならば耐えろ、隣! それが今回のお前の戦い
じゃよ!」
 あたしは黙ってトロンとルーシィを見つめた。ふたりともあたしから視線を逸らさず、力強
くうなずいてくれた。

「……隣よ」
 和尚さんの声に、うなじにトリ肌が生じる。
 反射的に振り向くと、そこには音もなく立ち上がった和尚さんが放つ拳が視界一杯に広
がっていた。
 あたしはベンチに腰掛けたままの不自然な体勢だったけど、なんとか和尚さんの拳を捌
くと、右手で和尚さんの手首の関節を極めそのままベンチから倒れ込むように身体をひね
り込む。
 ふたりそろってベンチもろとも倒れた音はかなりのものだったろう。
 でも、周りの視線も気にする余裕はなかった。痛む身体に鞭を打ち、あたしは和尚さん
の手首の関節を極めたまますばやく起きあがる。
 あたしたちはしばらく無言でにらみ合っていたが、突然和尚さんが豪快に笑い出す。
「はっはっはっ! やはり迷いの無いお前は強いのう」
 心底楽しそうに笑う和尚さんに、あたしは静かに息を吐き出すと、ようやく手首の戒め
を解いた。
「もう! いったい何を考えてるんですか? こんな場所で!」
「どうじゃ。少しは吹っ切れたか?」
 和尚さんの言葉にあたしはハッとした。思わず向けた視線の先で、トロンたちと目があ
った。トロンは大きく肩をすくめてみせる。
「はい! ありがとうございます」
 迷いの晴れたあたしは、勢いよく立ち上がると深ぶかと和尚さんに向かって頭を下げた。

 そうだ、迷ったってしょうがない。あたしは戦うって決めたんだ。トロンたちと一緒に!

 あらためて決心した途端、身体の芯から沸き上がってくる何かを感じた。

 その時、あたしの頭にそっと手のひらが置かれると、慈しむように撫で始めた。
 大きくてごつごつした手。そして、その手のひらはとても暖かかった。

                 おじいちゃんの手のように……

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武装神姫 クロスロード 第28話

                  武装神姫 クロスロード

               第28話  「騎士の過去」



「はい、一ノ瀬さん」
 そう言って、姫宮先輩は缶コーヒーを差し出してきた。

 思いだすだけで胸くそ悪くなるが、片桐から貰ったお茶を飲んだせいであたしのお腹か
はタポンタポンいっていたのだが先輩の好意を無碍にするのもなんだったので、あたしは
微笑みながら缶を受け取った。
 きっと口元はひきつってたろうけど……

 姫宮先輩は無言であたしの座るベンチに腰掛けた。見上げれば白い雲がどこまでも続き、
遠くでは無邪気にかけまわる子供たちの姿が見える。
 片桐と別れたあと、てっきり喫茶店かファーストフードで話しをするのかと思ったが、姫宮
先輩が選んだ場所は近所の公園だった。
 最初はめんくらったが、考えてみれば今の精神状態を考えればこういった開放的な場所
の方が気分はよかった。

 黙って手にしたコーヒー缶に目をやる姫宮先輩。あたしたちの座っているベンチの端に
は、さっきから露骨に目をそらし黙り込んでいるトロンとレスティーアの姿が。
 まだふたりとも気持ちの整理がつかないのだろう。険悪なムードがふたりの周りを包ん
でいる。
 そして、なぜかふたりの間にはさまるようにルーシィが腰掛けかしこまっている。極度の
緊張からか顔中に脂汗を浮かべている様は、まるで二匹の大蛇に挟まれたカエルみたい
だった。

 このままリアル拷問みたいなシチュエーションが続いたらルーシィがシステムダウンで
も起こしそうだったので、あたしは思い切って先輩に話しかけた。
「あの、先輩。さっきは危ないところをありがとうございました。でも、どうしてあたし
があそこにいるってわかったんですか?」
 先輩もどう話し始めていいか考えあぐねていたのだろうか、はっとした表情でこちらを
向くと微笑んだ。
「ああ、その事? 実はルーシィから携帯にメールをもらったの。あなたが一人出かけて
しまったって、ね。あんな事が起こってまだ日も浅い。一ノ瀬さんがまた使徒にでも襲われた
らと思って、急いでレスティーアと後を追ったの。ルーシィから何度か連絡を受けて、ようや
く一ノ瀬さんに追いついたのよ」
「そうだったんですか……ありがとう、ルーシィ」
 感謝のこもったあたしの声に、ルーシィが妙にギクシャクとした動きで振り向く。
 張り付けたような笑みを浮かべるルーシィ。頭のてっぺんから一筋の煙が……

               い、いかん! もう限界みたい。

 慌ててルーシィを抱き上げるあたしに、緊張がほぐれてたのか姫宮先輩が口を開く。

「もう一ノ瀬さんは知っているだろうけど、半年前、あたしたちはある事件に巻き込まれ
たの」
 あたしは無言でうなずく。
「当時、片桐さんはエーアストの能力をテストするためか、神姫センターや個人経営の神
姫ショップに無差別に戦いを挑んできたの。そしてあの日、“彼女”は私たちの前に現れた」
 そこまで話すと、姫宮先輩は下唇を噛みしめた。
「あの時、DO ITに居合わせた神姫たちは力をあわせて戦った。そしてエーアストの
一体、“センジュ”を倒したの。でも、そのために払った犠牲は、あまりにも大きかったわ」
『……それト、レスPがこんなにむきになるのと何の関係があるノ?』
 黙って話に耳をかたむけていたトロンは、あいかわらずそっぽを向いたまま問いかける。
「レスティーアはね、その戦いで親友ともいっていいぐらいの存在を失ったの」
 あたしとトロンは同時にレスティーアに視線を向けた。
 レスティーアの表情はうつむきうかがいしれなかったけど、その両手は固く握りしめら
れていた。
「さっきの使徒との戦いで気がついているだろうけど、昔のレスティーアは、今とはまっ
たく違った戦い方をしていたの」

                      やっぱり……

 レスティーアのあの射撃の技量の高さは一朝一夕の訓練でできるものじゃない。
 さっきまで頭に浮かんでいた疑問が、瞬時に氷解した感じだった。

 でも、そうなるともうひとつの疑問が鎌首をもたげる。
『で、でも、どうしてレスティーアさんは銃を使った戦いをやめてしまったんですか? 
あんなに上手なの……ひっ!?』
 あたしの心中を代弁するように、オドオドとした口調でレスティーアに話しかけるルー
シィだったが、炎のような瞳で自分をにらみつけるレスティーアに気づき、慌ててトロン
の背に隠れてしまう。
『ルゥに八つ当たりしたっテ、しょうがないだロ?』
 レスティーアの迫力にもまるで動じる事もなくトロンがつぶやく。トロンの平静さに毒
気を抜かれたのか、レスティーアはがっくりと肩を落とし下を向いてしまう。
『すべては……私のせいだ』
 絞り出すようにつぶやくレスティーア。その声音にあたしたちの視線が集まる。
『私の傲慢さがノインの命を奪った。やみくもに力を求めた私をやつは何度も諫めた。
だが私はやつの忠告に耳を貸そうとはしなかった。そんな私をかばってやつは……』
 血を吐くように叫ぶレスティーア。その頬に涙がつたわり落ちる。
 はじめて見るレスティーアの涙。あたしはなんて声をかけていいかわからなかった。
「レスティーア。もうやめて!」
 両手でレスティーアを抱き上げる姫宮先輩。必死になってレスティーアを止めるが、堰
を切ったように彼女は話し続ける。
『いいえ、私の犯した罪はそれだけではありません! 私の愚かな行いが、姫とあの方と
の仲を引き裂いてしまった』
 真っ正面から先輩を見つめるレスティーア。そんな彼女を先輩は何も言わず、自分の胸
に押し当てた。
「もう、いいの。あなたのせいじゃないわ」
 しばらくレスティーアの頭をなでていた先輩が自分に言いきかせるかのように話しだす。

       あの方って、こないだDO ITで先輩と話してた人のこと? 

 レスティーアのセリフに、先日の店での場面が頭の中にフラッシュバックしたが、とて
もその事をたずねられるような雰囲気ではなかった。
 予想外の展開に、どうしたものかと頭をかかえていたあたしだが、今の雰囲気にもっと
も場違いなねぼけ声が話に割って入ってきた。
『ふ~ン。レスPもいろいろ大変だったんだネ。デ、これからどうする気なノ?』
『なん……だと?』
 トロンのセリフに、レスティーアが泣きはらした目を向ける。
『いヤ、だからサ。大事なのは過ぎちゃった過去じゃなくテ、これからどうするのかって
ことでショ?』
 言ってることは確かに正論だろう。でも、あまりにもレスティーアたちの心情を無視す
るかのようなトロンの発言にあたしが止めに入ろうとしたが、すでに手遅れだった。
 レスティーアは先輩の腕から音もなく飛び降りると、トロンの目の前に着地する。
『どうするか……だと? 決まっている! 私が斃す。使徒も、そして最後のエーアスト
もな!!』
『私? まさかレスP、ひとりで戦う気なノ?』
 けげんそうに眉を動かしレスティーアを見上げるトロン。その口調に揶揄の響きが含ま
れているのをレスティーアは敏感に感じ取り気色ばむ。
『そうだ。あんな連中、私ひとりで充分だ!』
 レスティーアの吹き付けんばかりの憤怒にも、トロンはまるで動じなかった。
『あのサ、アニメやマンガじゃあるまいシ、ひとりでなんとかできるわけないだロ? す
こし頭冷やしなヨ。ラジエーター用の水でも持ってこようカ?』
 やれやれと肩をすくめるトロン。レスティーアの顔色が、赤からドス黒く変わっていく。
それを見て、ルーシィが泣きそうな顔で交互にふたりの顔を見ている。

              おかしい。どうしたのトロンのやつ?

 あたしはトロンの態度に首をひねった。トロンがレスティーアをからかうような態度を
とるのは今に始まったことじゃない。
 でも、いくらトロンだってレスティーアの気持ちは痛いほどわかるはずだ。それなのに
何でレスティーアに追い打ちをかけるようなことばかり言うんだろうか?

 すがに姫宮先輩もトロンの態度に憤慨してるだろうと思ったが、先輩は少し哀しげな顔を
していたけど不思議と怒りの類はまるで感じなかった。
 あたしは目づかいに先輩を見ていたが、レスティーアの怒声におどろき振り向く。
『もういい! きさまのようないい加減なやつにこんな話しをしたところで理解できるは
ずがない! 我が誇りと名誉にかけて、私は一人でも戦う!』
 おこりのように身体を震わせそう叫ぶと、レスティーアはトロンに背を向けてしまう。
 黙ってレスティーアを見上げていたトロンだが、一瞬うつむくと静かに立ち上がり、レ
スティーアの肩にそっと手を乗せる。
 いぶかしげに振り向くレスティーア。その頬に手加減抜きのトロンのこぶしがめり込む。
 レスティーアにとってもまったく予期しないことだったのだろう。大きくバランスを崩
すと、ベンチの手すりにぶつかり、そのまま倒れ伏してしまう。
『そうやってなんでもひとりで背負い込んで、ひとりで無茶やって周りを巻き込んでいく
──結局は何も変わってないじゃないか』
 片手で拳をさすりながらつぶやくトロンを、口元をぬぐいながら顔を上げたレスティー
アが射るように睨みつける。

                交錯する、金と蒼の瞳。
 
 でもそれは、ほんのわずかな間だった。
『行こう、リン、ルゥ。もうここにいても時間の無駄だよ』
 トロンはそう言ってレスティーアに背を向ける。

 あたしは理解した。トロンは怒っていたんだ、悲しんでいたんだ。だからあんな辛辣な
言葉を使ったんだ。
 あれは、不器用なトロンなりの励ましの言葉。たぶん、姫宮先輩にはそれがわかってい
た。

 そのまま立ち去るかと思ったトロンだが、急に立ち止まってしまう。
『キミにとってボクたちは、名誉や誇り以下の存在だったんだね? 見損なったよ……レ
スティーア』
 背中を見せたまま誰にともなく話すトロン。
 その言葉に、かすかにレスティーアの身体が震え、がっくりとうなだれてしまう。でも
レスティーアは、あたしたちの方を見ようとはしなかった。

 あたしはトロンと抱き上げながら、ベンチを見た。レスティーアは両手をついたまま、
彫像のように動かない。
 そんなレスティーアを黙って見ていた先輩が、あたしたちの方に──ううん、たぶんト
ロンに対してだろう──頭を下げた。

 あたしも姫宮先輩に会釈すると、その場を離れた。心配そうに後ろを振り返るルーシィ
とは対照的にトロンは前を見つめたままだ。

 今あたしたちにできることはもうないだろう。

           そう、あとはレスティーア次第なのだから……

                         ※

「本当にいいの?」
 歩きながらバッグに向かってあたしは話しかける。しばらくして『何が?』と、不機嫌
そうな声が応じた。まだ気が高ぶっているのか、いつもの眠そうな雰囲気は微塵もない。
「わかってるでしょう? これはバトルじゃないのよ?」
『じゃあ、止める?』
 取り付く島もない話し方に、あたしは苦笑を浮かべる。
「そういうわけにもいかないわ。あいつだけは絶対に許せない」
 静かににつぶやくあたしの声に、しばらくしてトロンが応じた。その声音は、さっきより
いくぶん穏やかだった。
『……よかった。リンらしい答えで……』
 ほっとしたらしいトロンの声に、あたしはなおも話しかける。
「でも、トロン……」
『ボクの想いもリンと同じだよ』
 トロンはそう答えると、もう、あたしの問いかけには何も答えなかった。バッグに目をやる
と、ルーシィが身振り手振りでトロンが照れてると告げている。



 あたしはわずかに見える薄紫色の頭を見ながら、笑いをかみ殺すのに苦労してしまった。

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スケール詐称疑惑?














ガンダムフェニーチェ欲しいッ!!




はぁ、はぁ……はっ!?

取り乱しましてすみません(汗)。



ビルドファイターズの15話を見てからというもの、ガンダムフェニーチェが欲しくてたまらない男、シロでございます。



結局、先週の買い出しではフェニーチェを手に入れることはできなかったのですが、手ぶらで帰るのも癪だったので幾つかガンプラを購入してきました。
今回はそのへんの紹介をしたいと思います。


まずはコレ!

0001.jpg
「GPベース」

ガンプラバトルで使う、例のアレの形状をしたスタンドだそうで。

お恥ずかしい話ですが放映初期の話を取り損ねたせいで、同時進行で発売されていたプラモ関係も当時はあまり興味が湧かず、こんなのが製品化していたとはまるで知りませんでした。

さっそく箱を開けてみたんですが、あまりに少ない部品点数にしばし唖然。
まあ考えてみれば、たかがスタンドでMGやPG並にパーツ数が多い方がヤですしね(笑)。

気を取り直してパチ組みしてみましたが、10分と掛らずに完成。

0003.jpg

0004.jpg

本編にでてきたGPベースをそれほど見たわけではないですが、よく雰囲気出てるのではないでしょうか?

さっそくガンプラを飾ってみました。

0005.jpg

お試し感覚で買ってみたんですが、なんかイイカンジですな、コレ。
いちおうこの先もいくつか作ってみたいガンプラがあるもんで、その分だけ揃えてみるのもいいかも……。


ところで、私はパケ絵の横にある説明や参考写真を見るのも好きなもので、GPベースの箱もあちこち眺めているとちょっと気になることが……。

0002.jpg

この「000」って通し番号?

つまりこれは、シリーズ通して一番最初に発売されたのがスタンドってこと?

こういう暴挙にも近い真似をするとは、さすがBANDAI(笑)。



さて、気を取り直してお次に参りましょう。
冒頭にも書きましたが、この日はフェニーチェを探してあっちこっちの店を渡りあるいたのですが結果は空振りに終わりました。

ですが、代わりと言ってはなんですが、こんなものをみつけました。

0006.jpg
そう「ベアッガイⅢ」

フェニーチェほどではないですが結構人気があるのか品薄で、某所で1個だけ残っていた物を手に入れました。

さっそくパチパチ。

0007.jpg

スミ入れもしない超素組みですが、1時間ちょいで完成。
けっこうパーツ数が多く感じたのですが、非常に組みやすかったという印象を受けました。

0008.jpg

こういうプロポーションですのでたいして動くまいと思ってましたが、思いのほか可動域が広くてビックリ!
私はポーズ付けが下手なもので、気になる方は他のサイトのレビューを参考にしてください(投げやり……)。

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その辺に転がっていた、某太陽エンジンを付けてみた(しかも、ツインドライヴ)。

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この機体こそ、人類を導く……ベアッガイⅢだっ!!


おほん! 冗談はさておき……このベアッガイⅢの箱を手に取った時にふと気になることがあり、それを確かめるべく某家電量販店に引き返し、とあるものを手に入れました。

それがコレ。

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ベストコレクションシリーズ「アッガイ」

なんでこんなもん買ったかと申しますと、この二つの(ベ)アッガイ、スケール表示が同じなんですよね。

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両方とも1/144だそうです……。

もはや、光の屈折現象とかで誤魔化せられないレベル!


之は如何に?


さっそく原因解明のために組んでみました。

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…………

もう、コレを心底カッコイイと思いながら作っていた純真無垢なあの頃には戻れないんですね……。


まあ、せっかく組んだんだし、バレンタインに彼氏に送ったら、爆涙して喜びそうなチョコレート色なアッガイとベアッガイⅢを比べてみましょう。

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やはりどう見ても別モンですな(笑)。



いやまて、ベアッガイⅢはもともとオリジナルと比べても頭デカいし…あ!?

そういえば、ベアッガイⅢのキットの中にはオリジナルの頭が付属してたんですよね。

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イヤガラセのように、すべてのパーツがそろっているわけではないので完全な形にはできませんが、比較対象には十分使えるでしょう、さっそく頭を挿げ替えて、と。

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う~ん、 ドラミちゃん?


冗談はさておき、けっこうこのカラーも似合っているような……。
個人的には多少価格がUPしてもよかったので、このカラーでアッガイとのコンパチができると良かったですね。


じゃなくって、比較、比較!

0019.jpg

やっぱデカ!

やっぱり別モンですな、こりゃあ(汗)。

まあ、プロポーションやギミックを優先したためと好意的に解釈するしかないみたいですね(笑)。



さて、長々とくだらない長話にお付き合いいただきありがとうございました。
神姫メインと謳っている当ブログですが、ビルドファイターズの影響かしばらくはガンプラ関係に比重が高くなりそうですが今後もお付き合いいただければ幸いです。

では!





あ~あ、今度買い出しに出た時には手に入るといいな……フェニーチェ。

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武装神姫 クロスロード 第27話


                  武装神姫クロスロード

             第27話  「宴への招待」

「姫宮先輩! それに……」
 ルーシィが落としたハンディビームガンを構え、燃えるような炎を宿しアイギスを睨み
つけていたのはレスティーアだった。
『貴様は……そうか、あの時のサイフォスか』
 いぶかしげな表情で眼下のレスティーアを見つめるアイギス。
『やはり生きていたのか……アイギスッ!』
 その言葉が合図となったのか、猛烈な勢いでアイギスに攻撃を加えるレスティーア。
 アイギスは華麗な動きでレスティーアの銃撃を回避するが、すぐにその表情に焦りの色
が見え始めた。
 レスティーアの射撃はアイギスの動きを読んでおり、その身体に直撃を与え始めたのだ。
「そんな、なんでレスティーアが銃を……」
 目の前の光景が信じられず、つぶやきがもれる。
 確かにサイフォスはトロンたちストラーフと同様、接近戦の得意な神姫だが、銃の類を
使うサイフォスもいる。現にサイフォスのベーシックセットにも射撃武器(弩だけど)は
ふくまれていた。

 でも、なんでレスティーアはこれほどの腕を持ちながら、今までそれをバトルで使おう
としなかったの?

 眼前で繰り広げられる死闘を前に、あたしは頭のなかの疑問を解こうと必死になってい
たが、その答えは得られない。
 アイギスは間一髪で迫るビームをかわす。そんな彼女めがけて、思いもしない方向から
二本のビームソードが襲いかかる。
 身をよじりながらアイギスはその攻撃をかわす。驚きビームソードの飛来してきた方に
目をやる。苦痛に顔を歪めながら自分に笑いかけるトロンに気づき、バイザー越しにわず
かに見えた目を大きく見開く。
『「こんなもの」とはずいぶんな言いぐさだね。じゃあ目ン玉ひんむいてよく見るといい
よ。ボクの底力をね!』
 そこまで話すと、下弦の月のような笑みをみせるトロン。
 それを見たアイギスがトロンと距離をとろうとするが、自分を挟み込むようにワイヤー
が張っていることに気づく。
 ソウルテイカーの両肘に取り付けられたパーツが、猛烈な勢いでワイヤーを巻き込み始
める。
 反対側の建物に深久と食い込んだビームソードは、基部から鉤爪状のフックを壁面に食
い込ませ固定されており、その反動で、めり込んでいたトロンの身体が、大量のコンクー
ト片をまとわりつかせながら一挙に引っ張り出される。
アイギスは慌てて逃げようとするが間に合わず、トロンに抱きつかれるような形で動きを
封じられてしまう。
『くっ。だ、だが、飛行能力のない貴様では、この状況ではどうにもなるまい?』
 皮肉めいた笑みを浮かべ話しかける使徒だが、トロンは余裕の表情のままだ。
『ふふふ、そのことなら心配む、む、……ぶ、ぶぇっくしょん!
『ぶっ?  な、なんのつもりだ、貴様!』
 舞い散る粉塵に刺激されたのか、特大のくしゃみを一発放つトロン。ほぼゼロ距離から
唾やらハナ水の直撃を受けたアイギスが、顔を真っ赤にして激怒する。
 だが、ワイヤーは依然巻き込まれており、アイギスの怒声は背後の壁にたたきつけられ、
途中で止まってしまう。そんな使徒に、今度はトロンが激突する。
『いでっ! ……ふっ、ボクのくしゃみに気を取られたね──計画通り!』
 壁に激突した衝撃で、顔面衝突を起こしたトロンは慌てて顔を引き剥がすが、ハナ水だ
かなんだかが納豆のごとく糸を引くなか、まだ鼻がムズムズするのか、しきりに鼻を動か
しながら得意そうな顔になる。

             っていうか、今のくしゃみは絶対偶然だろ?

 緊迫感のかけらもない戦いに、脱力間に襲われながらあたしはとりあえず心の中でトロ
ンにツッコんだ。
『き、貴様。よくもこの私の顔に……』
 トロンに抱きしめられるような形で壁に押しつけられたアイギスが、呪詛のようにつぶ
やくと両腕に力を込める。
『な、何?』
 もともとノーマルのストラーフに比べてジェネレーターの出力が低いトロンだが、ソウ
ルテイカーのおかげでパワー不足は十分に補って──ううん、強化されていたはずだった。
 それなのに、トロンの両腕が音を立てて開き始める。
『どうだ? 貴様のようなただの神姫が、この私には勝てるわけがないっ!』
『……確かにね、す、すごいパワーだ。基本性能はキミの方が段違いに上だよ。でもね、
スペック=強さってわけじゃないんだよ?』
 両腕の間接から異様な軋み音を立てながら、諭すように使徒に話しかけるトロン。アイ
ギスのまゆがかすかに寄る。
『キミみたいに、最初っから完成された能力を与えられちゃうとわかんないかな? ボク
たち神姫は──成長する存在なのさ』
『成長……だと? ふん、如何に成長しようがたったひとりで何ができるというのだ?』
 あざ笑うアイギスを、なぜか寂しげに見つめるトロン。限界が近いのか、白煙を吹き始
めた両手で使徒の二の腕を鷲掴みにする。
『ひとりじゃないよ……今はねっ!』
 そう一声叫ぶと、トロンは両手を起点に身体を回転させ、ドロップキックよろしく両脚
をアイギスにたたきつける。
 トロンの踵が触れたあたりでPBによる爆発が起こる。
『がはっ? ……お、おのれっ!』
 トロンの蹴りとPBの攻撃は使徒をさらに背後の壁にめり込ます。アイギスは蹴りの反
動でとんぼを切って後方に逃れようとするトロンに追いすがろうとしたが数発のビームの
矢に身体を貫かれ、再び背後の壁にたたきつけられてしまう。
『……だから言ったのに、ひとりじゃないって』
 落下しながらぽつりとつぶやくトロン。けど、トロンももう余力がないのか、まったく
着地に対するリアクションをとろうとせず落ちるに任せている。
 慌てて走り出すあたしの横を、蒼い影が猛スピードで追い抜いた。
『トロンッ!』
間一髪のところでトロンをキャッチしたレスティーア。だけど、落下の勢いを完全に止
められるわけもなく、そのままバランスを崩すと、ふたりそろってゴミ袋の山に頭から突
っ込んでしまった。
 ふたりに駆け寄ろうとしたあたしの背後で、盛大な拍手が起こった。振り向いた先で片
桐が満面の笑みを浮かべている。
「すばらしい。実にすばらしい! どうやら私はとんでもない勘違いをしていたようです
ね」
 さっきまでのドス黒い雰囲気は影を潜め、まるでどこにでもいるような好青年といった
風情だ。
「やはり、一ノ瀬さんとトロンには是が非でもパーティーに出席してもらわねば」
『お、お待ちください主よ! このままでは私の気が…』
 心ここに在らずといった感じの片桐に、身体中から煙をあげながら食い下がるアイギス。
でも片桐と目が合うや黙り込んでしまう。
 ふたりのやり取りを見ながらあたしが近づこうとすると、アイギスがこちらにシールド
を向ける。気がつかなかったけどシールドには武器が内蔵されているらしく、二つの銃口
がこちらを睨んでいた。
「さて、そろそろお暇させてもらいますが、最後にひとつ聞きたいことがありましてね。
単刀直入にうかがいますが一ノ瀬さん、あなたは私のことを嫌っているようですが、私に
何か問題でもあるのですか?」
「な?」
 それはあたしにとって、あまりにも愚問だった。だが、からかわれているのかと目の前
の男と擬視するが、片桐は口元に笑みすら浮かべていたがその瞳は真剣そのものだった。
「あ、あんたは何を言っているの? 何も知らないリベルターの仲間をさらっておいて、
それを自分の私利私欲に使って! あんたのせいで、いったいどれだけの神姫やマスター
が悲しんだと思ってるの?」
 あたしの剣幕に、片桐は両手をふりながら後じさる。
「いえいえ、私が聞きたいのはそんなことではないんですよ、一ノ瀬さん。あなたの意見
は私の起こした結果に対するあなた個人の感想であり、私の知りたい回答とは違うんです
がね……だいたい、人は誰でも願望を持ちます。それを実行に移すことになんの不都合が
あるのか? 私が聞きたいのはそこなんですよ」
 無邪気な子供のように微笑み、そう話しかけてくる目の前の男を、あたしは酸素不足の
金魚のように口をパクパクとさせただ見上げるしかできなかった。

                  無自覚の悪意。


リューネの言ったとおりの男だった。最低最悪だ! この男は、自分の起こしてきた事
をゲームか何かのようにしか感じていないんだろうか?
 
                この男を野放しにできない。

「残念ですが、どうやら私の求める回答は得られないようですね。ですが、その表情から
するとパーティーには出席してもらえるようですね」
 一瞬かげった片桐の顔だったが、すぐに影をひそめあたしに話しかけてくる。
 あたしは血が出んばかりに両手を握りしめ、ゆっくりとうなずいた。
「では、二、三日中に私たちの方で招待にうかがいますので……」
 満足そうな片桐とは逆に、あたしは驚いた。
「な、何よそれって、対決の場所と時間をはっきりさせるんじゃないの? こんなの卑怯
よ!」
 これじゃあ、不意打ち闇討ちも可、ってことだ。こんなのあたしたちがあまりにも不利
すぎる。
 あたしが片桐に詰め寄ろうとすると、アイギスが無言であたしたちの間に割って入る。
「すみませんが、ホストは私ですのでね。こちらの指示に従ってもらいます。それに卑怯
とおっしゃいますが、今までのパーティーも同じ条件でしたよ?」
 にこやかに話す片桐を、折れ砕けんばかりに歯を食い締めながら睨みつけるあたしの態
度に了承したと判断したのか、片桐はおおげさに一礼すると、大通りめざして歩き始める。
その前に人影が歩み寄る。
「ひ、姫宮先輩!」
 無言で片桐の前に立ちふさがる姫宮先輩。その表情は今まで見たこともないほど険しか
った。
「姫宮? ああ、あなたですか。先日、といってももう半年になりますが、私の“センジ
ュ”がお世話になりました。で、今回のパーティー、あなたも出席していただけますか?」
 先輩の表情にも気にした素振りもみせない片桐の目を、先輩は真っ正面から見据える。
「今度こそ……終わらせます」
 先輩の言葉に片桐は満足そうにうなずくと、先輩を避け、再び歩き出す。
「そうそう、今度のパーティーの主役の名は“サタナエル”です。みなさんにお伝えくだ
さい」
 あたしたちに背を向けたまま片桐は片手を上げ、そう言った。その姿が通りに消え、ア
イギスもまたそれに続くかと思ったが、いきなりこちらに振り向いた。
『レスティーア、それにトロン。貴様たちの名は決して忘れぬ!』
 そうつぶやくと、その姿は人混みの中に消えていった。
「一ノ瀬さん。けがはない?」
 心配そうに走り寄ってくる姫宮先輩。あたしは先輩のけがというセリフでトロンの事を
思い出した。
「トロン、大丈夫?」
 ゴミ袋の山に向かって大声で呼びかけると、陰鬱そうな声が帰ってくる。
『……まあ、この臭いさえ我慢できればなんとか……ね』
 慌てて袋をかき分けると、たくあんの切れ端やらお茶っ葉で素敵にコーディネイトされ
たトロンとレスティーアが出てきた。
『まったく、きさまというやつは……』
 胸をなで下ろすあたしの前で、レスティーアがトロンを呆れたように見ている。
 トロンもそんなレスティーアに照れ笑いを浮かべる。
『おかげで助かったよ、レスP。それにしても驚いたね。“黒騎士”とか呼ばれたレスP
が、あんなに射撃がうまかったなんてさ』
 トロンは何気ないつもりで言ったんだろう。その言外にレスティーアへの感謝の気持ち
がこもっていたのはあたしにもわかった。でも、トロンの言葉にレスティーアは、はっと
したように自分の右手を見つめた。
 その手には、まだしっかりと銃が握られていた。レスティーアの表情がみるみる険しく
なる。
『レスP?』
『うるさい、黙れッ!!』
 突然レスティーアは手にした銃を投げ捨てると、トロンを乱暴に地面に投げ出した。
『痛て!?  くぅ~。 ど、どうしたっていうのさ、レスP!』
 おしりを撫でさすりながらトロンはレスティーアを呼ぶがレスティーアはふらふらと通
りの方に歩いていき、トロンの方を見ようともしなかった。
 レスティーアの豹変ぶりに声もなく立ち尽くしていたあたしの足下で、トロンが憤慨す
る。
『あれってどういうことなのさ、かおリン?』
 怒りに顔を朱に染めレスティーアを指さすトロンに、姫宮先輩がすまなそうな顔をした。
「ごめんなさい、トロン。……一ノ瀬さん、少し時間をもらえないかしら?」
 レスティーアの態度に、痛みも忘れまだ文句を言っているトロンをなぐさめていると、
姫宮先輩がそう話しかけてきた。
 正直、今の一件で頭がこんがらがっているあたしは少し考える時間がほしかったけど、
先輩の態度にそんな思いはどこかに消えてしまった。
 うなずくあたしに笑みを向けると、あたしたちはそろって通りへと向かう。


           その時、頭上から泣きそうな声が聞こえてきた

      『あ、あの~、わたしのこと忘れないでください。リンさま……』


                  ごめん、ルーシィ……

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