神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

武装神姫 クロスロード 第32話


                   武装神姫 クロスロード

                  第32話 「邂逅」

 驚き振り返ると街路灯の淡い光に映し出され。ひとりの女が立っていた。
 整った顔立ちだがその肌は妙に青白く、腰まで伸びた艶やかな黒髪はともかく、その身
に纏った衣服はブーツも含め黒一色だった。
 無言で互いを擬視していたが、聞こえてきた声はどちらのものでもなかった。
『貴様は──清桐あさぎ!』
 使徒のうめくような声に、目の前の“奇妙な黒女”の名前はわかった。
「隣ちゃん、ケガはないかい?」
 慌てて走り寄ってくる天堂さんが、あたしの無事を確認すると安堵の表情を浮かべる。
 でもあたしは目の前の女性、清桐さんから目を離す事ができなかった。危機を救っても
らった事には感謝しているけどさっきの物言いといい、何かひっかかる感じがしたからだ
った。
 睨みつけるようなあたしの視線に気にした素振りも見せず、清桐さんは顔を上げると小
さくうなずいた。
 それが合図だったのか、トロンと使徒たちの間に割って入った黒い人影、見たこともな
いタイプの神姫が使徒めがけて突き進む。
 使徒とは対照的に、清桐さんの神姫は全身を黒いゴシックドレスで包んでいた。
 もっとも、本来布で形作られるはずのドレスも、頭部から伸びた巨大なツインテールも
すべて鈍い鋼の輝きを放っていた。
 突然頭上で始まった戦いに、顔を見合わせ困惑の表情を浮かべるトロンとリューネを急
いで呼び戻した。
 リューネは使徒の猛攻から逃げ、あたしのバッグの中に避難していたルーシィの横にト
ロンを降ろすと、自分は天堂さんの肩の上へと戻っていく。
 ふたりとも一言も発しなかったけど、不満そうなのは顔を見れば一目瞭然だった。
「……あんたたち、あの神姫を知ってる?」
『わたしのデータベースには、該当する機体はありません』
『右に同じ』
 ささやくように尋ねるあたしに、ことに調べていたのだろう。ふたりが速答する。横を
見ると天堂さんも首を振っている。
「知らなくて当然ね。あの子は“ローゼッタ・シュバルツハール”。M・M社の誇る最新鋭
試作モデルよ」
 指で黒髪をいじりながら清桐さんは得意気な顔をするが、それよりどこかで聞いたよう
な名前が気になった。
「M・M社って……あんた、片桐の仲間なの!?」
 掴みかからんばかりの剣幕で問いつめると、清桐さんは心外といった風な顔をする。
「仲間? 私たちは仲間をこんな酷い目にあわせたりしないわ」
 そう言って清桐さんは上を指さす。つられて顔を上げるとものすごい勢いで何かが落ち
てきた。
 間一髪でよけると、ソレはアスファルトに叩きつけられ動きを止めた。
 出来損ないの粘土細工のように歪み、あらぬ方向に四肢を向けて無惨な姿を晒している
のは間違いなく使徒だった。しかも……
『く、くくくくくく、くび!』
 あたしの考えをルーシィが代弁してくれた。落下してきた使徒の身体には、首が無かっ
た。
 無言で夜空を見上げるあたしを、片手に使徒の頭をぶら下げた清桐さんの神姫が無表情
に見下ろしていた。
「惨い」
 あたしの横で、嫌悪に顔をゆがめながら天堂さんがつぶやく。
「惨い? 何を暢気な……」
 清桐さんはそう言って指を鳴らす。あたしたちの足下に丸いものが落ちてきた。それは
堅い音を響かせながら路上で跳ねると、てんで好き勝手な方に転がっていく。

                  そう、使徒の首が……

「敵を倒さなければ、あなたたちがそうなるのよ?」
 彼女はそう言うと、使徒の頭をあごで指した。
「でもこれで理解できたでしょう? これは遊びじゃないってね。片桐の事は私にまかせ
て、お嬢ちゃんたちはお家に帰りなさい」
 優しく諭すように話しかてくけるが、その一語一句はどう考えたって人を小馬鹿にして
るようにしか聞こえない。
『とぅるるるるる! とぅるるるるる!』
 カチンときたあたしが、清桐さんに詰め寄ろうとすると、いきなりバッグの中から奇声
が聞こえた。
 あたしが視線を向けると、バッグから顔だけ出したルーシィが唇を突き出し、呼び出し
音を熱演している。
 トロンが怖いものでも見るような目で後ずさるなか、これってマナーモードにできない
のかな、などと考えながらルーシィの鼻を軽く押す。
『一ノ瀬くんかい? 私だ!』

 ……やっぱりこのサービス、解約しよう。虚ろな目をしながらダンディボイスで話すル
ーシィはイヤだ!

 そんな事を考えていたあたしだが、店長さんの会話の続きに頭から冷水をかけられたよ
うな気分になった。
『すぐに店に戻ってくれないか? 使徒が……』
 そこまで話すと、いきなり電話が切れてしまった。
「ど、どうしたの、ルーシィ?」
『この電話は、現在電波の届きにくい……』
「だ──っ! なんなのよこれ?」
 よくわかない状況に、あたしは慌てふためく。
「と、とにかく急いで戻らないと!」
『……罠、だね』
 DO ITへのきびすを返しかけたあたしの動きを、トロンの冷静な声が止める。
「わ、罠?」
『どう考えてもね。だいたい最初っから電波を遮断しときゃいいものを、わざわざ要点だ
け伝えて後は妨害なんて、出来過ぎでしょ?』
 トロンの諭すような声に、あたしは横を見た。天堂さんとリューネもうなずいていた。
「そ、そうかもしれないけど、このままってわけにはいかないでしょう? DO ITに
は今、店長さんとリベルターしかいないのよ?」
 ふたりの実力はまったく未知数だったけど、多勢に無勢。使徒が大挙して押し寄せて来
たらどうなるかわかったもんじゃない。
 あたしが声を枯らしながら説得すると、天堂さんが顔を上げた。
「確かに隣ちゃんの言うとおりかもしれない──行こう!」
 力強く言い切る天堂さんの迫力に、トロンとリューネが渋々とうなずく。
 やれやれといった顔で頭を振る清桐さんを横目に、あたしたちは元来た道をたどり始め
る。
『!? リンッ!』
「隣ちゃん、下ッ!」
「へ?」
 全力疾走を始めたあたしに、トロンと天童さんが悲鳴に近い声を上げる。そのただなら
様子に足を止め下を向く。
 足下には、さっきと変わらぬ格好で使徒が横たわっていた。唯一の違いは、使徒の全身
から白煙が上がっていることだった。
 何が起こったか理解できず棒立ちになっていると、目の前が真っ白な光に覆われ、あた
しはものすごい勢いで弾き飛ばされた。

            そして、あたしの意識は闇に沈んでいった。

                        ※

 かすかな呼び声にあたしは目を覚ました。どうやら気を失っていたみたいだった。
 なんとか身体が動かそうともがくが、自由がきかない。まだ意識がもうろうとしている
あたしの耳に、声が聞こえる。
「だ、だい…じょうぶかい? と…なりちゃん……」
 あえぐように途切れ途切れで話しかけてくる声が天堂さんのものだと気づくと、もやが
かかっていたようなあたしの意識は、一気に覚醒した。
 身体が動かないわけだった。あたしは天童さんに覆い被されるようにして地面に押し倒
れていたんだ。
 いつもなら、絶叫とともに天堂さんの頬に拳を叩き込んでいるところだったけど、数セ
ンチ先にある天堂さんの顔を見てあたしは息を飲んだ。
 天童さんの眼鏡には無数のヒビが入り、額からは鮮血がしたたっていた。
「て、天堂さん……」
 必死で天堂さんの身体から這いでると、あたしは絶句してしまった。
 天童さんの背中は血で染まっていた。ようやくあたしは、天堂さんが爆発した使徒から
身を挺してかばってくれた事実に気がついた。
『リンさま!』
『リン、どこもケガはない?』
 バッグの中からせき込みながらトロンとルーシィが尋ねてくるが、あたしの耳には届い
ていなかった。
「天堂さん、しっかりしてください、天堂さんっ!」
 荒々しく身体を揺さぶり続けるあたしに、天堂さんは力無く困ったような笑みをうかべ
るが、頭の中が真っ白になったあたしはそのことに気がつかない。
「何をやってるの? 止めなさいっ!」
 怒声とともに頬が鳴り、ようやくあたしは我に返った。
 清桐さんは、あたしを押し退けるようにして天堂さんの傷の具合を調べ始めるが、すぐ
に安堵の息を吐く。
「大丈夫。破片で少し背中を切っただけみたいね……あなた、泣いてるの?」
 そう言って不思議そうな顔をする清桐さん。慌てて頬に手をやると、濡れていた。
「こ、これは驚いたから……あ、あたし、泣いてなんかいません!」

           何であたし、こんなに取り乱してるんだろう?

 身振り手振りを交え、自分でも滑稽に思えるほど言い訳を続けながら、あたしはそんな
ことを考えていた。
「そう」
 一言だけ発して、清桐さんは口を閉ざしてしまうが、その口元には柔和な笑みが浮かん
でいた。
「それならあなたは先を急ぎなさい。心配しなくてもいいわ。彼は私が病院に連れていく
から」
 それだけ言うと、清桐さんは軽々と天童さんを抱きかかえ、歩き始める。
「ちょ、ちょっと待ってください! 清桐さん、あなたいったい何者なんですか?」
 いまさらながら、最大の疑問を清桐さんお背中に投げかけると、呆れたような響きを含
んだ回答があった。
「私がM・M社の試作神姫を持っていると知っても、まだわからないの?」
『なるほど。つまりキミはM・M社の人間ってことか』
 目を細めながらトロンがつぶやく。
「ご名答。私はM・M社のセキュリティー部門に所属しているの。ここまで説明すれば、
私がなぜ片桐を追っているか理解してもらえるわね?」
 あたしたちに背を向け、路地裏に進みながらも清桐さんの歩みは止まらない。
「そっか。あの人は裏切り者である片桐を追っかけていたのね」
『ようやく気づいたようですわね?』
「うん、……って、リューネ! あんたこんなところで何してるのよ? 天童さんについ
ていってあげなくていいの?」
 ひとり納得し小さくうなずいていたあたしは、いつの間にか肩の上に乗り、呆れ顔で話
しかけてきたリューネに気づき飛び上がらんばかりに驚いた。
『わたくしは医者ではありませんわ。一緒についていったところで何ができるというんで
すの、隣さん?』
「そ、それはそうだけど……」
 吐き捨てるように言い放つリューネにあたしは口ごもってしまったが、血が出るほど唇
をかみしめ前を見ている彼女に気づき、リューネの本心が痛いほどにわかった。
「リューネの言うとおりだ……急ぐんだ隣ちゃん。ぼくも…すぐに後を追うから……」
 荒い息の下で、天堂さんは気丈に振る舞う。

     あたしはうなずくと、リューネを抱き上げDOITへの道を急いだ。

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武装神姫 クロスロード 第31話


                   武装神姫 クロスロード

              第31話    「乱戦」

『うわっ!?』
『きゃあああ!』
 文字通り、降り注ぐようなビームの雨に、トロンとルーシィが右往左往しながら逃げ回
る。最初こそ善戦していたトロンたちだったが、使徒たちはすぐに反撃を開始した。
 見事なフォーメーションに翻弄され、トロンたちは防戦一方になっていく。
「こんちくしょー! 降りてきて戦いなさいよ。この卑怯者っ!」
 今のところ、まったく役にたたないあたしは、無駄とは知りながらも足下の小石を拾う
と、使徒めがけて力いっぱい投げつける。
 放物線を描いてひょろひょろと到達した小石を、大げさな動作でよける使徒たち。かす
かに含み笑いが聞こえた。 
 完全に人をなめた態度に頭にきたあたしは、ゴミ捨て場にポツンと置かれた大型のテレビ
を両手で頭上高く持ち上げた。
『……まったく、そんな物で使徒を倒せるわけがないですわ』
 あたしの形相に気をされたのか、わずかにひるんだ使徒たちだったが、頭上から聞こえた
呆れ声に驚き振り仰ぐ。
 そこには、両腕を組みながら使徒たちを見下ろすリューネの姿があった。
『キンちゃん!』
 トロンのうれしそうな声に、空中で器用にずっこけるリューネ。
『そ、その呼び方は止めてくださいって言ったはずですよ、トロンさん!』
「今はそんなこと言い合ってる場合じゃないぞ、リューネ!」

               いたんですか、天堂さん?

 いつの間にか横でリューネに指示を出し始めた天堂さんに出かかった言葉を、あたしは
なんとか飲み込んだ。

             こんな時に、またいじけられたら困るしね。

 リューネは使徒の攻撃を優雅な動きでかわしながら、『わかっていますわ!』と不服そ
うにつぶやくと、猛烈な勢いで使徒めがけて突っ込んだ。
 リューネは驚き硬直した使徒の頭部を鷲掴みにすると、地面めがけて急降下を始めた。
あたしの目の前で、使徒が路面に叩きつけられる。飛び散るアスファルトの破片。
『トロンさん。ルーシィさん。あなたたちのノルマですわ』
 リューネはそう言うと、あたしたちの返事も聞かずスラスターの咆哮とともに使徒めが
けて上昇を開始した。
 星のまたたく夜空で、二対一の不利を感じさせない動きでリューネが戦い始めたのを、
あたしは惚けた顔で見ていた。

  グリューネワルトくんは、使徒やエーアストたちと戦うために造られた神姫なんだ。
 
 店長さんの言っていた言葉の意味を、あたしはようやく理解した。それにしても、リ
ューネを造ったのって、いったいどんな人なの?

『あのさあ、いつまでそんなもの持ち上げてるの?』
「え? ……あっ!」
 足元でトロンの呆れ声が聞こえ、あたしはまだテレビを持ち上げたままなのに気がつい
た。
『そんなもの投げるより、もっといいものがあると思うんだけどね』
「いいものって……それより使徒はどうしたの? 」
 テレビを元の場所に置きながら尋ねると、トロンは無言で前方を指さす。そこにはアス
ファルトに深々とめり込んだ使徒の姿が。
 ルーシィがビームガンの先っぽで恐る恐る突ついているが、ピクリとも動かない。
『まったくキンちゃんのやつ、なにが『ノルマですわ』だよ? あいつとっくの昔に機能
停止してるよ。』
 リューネにしてみれば他意はなく、思いやりのつもりだったのかもしれないが、トロン
はそうは思わなかったようだ。
 いくら基本性能や装備に差があるとわかっていても、トロンがあれだけ苦戦した使徒を
一瞬で倒してしまったんだ。
 プライドを傷つけられたトロンが、不満を隠そうともしないのも仕方のないことなのだ
ろう。
「いじけてる場合じゃないでしょう? まだ戦いは続いてんのよ! それより、さっき投
げるのにいいものがあるって言ってたけど何をよ?」
 気持ちは痛いほどわかるが、状況が状況だ。心を鬼にしてトロンを問いつめる。トロン
も充分理解してたのだろう。あたしを見上げると大きく息を吐き出した。
『……ボクだよ』
「へ?」 
『リンの力で、ボクをあそこまで投げてって言ってるの!』
 トロンの指さす先には、使徒と戦うリューネの姿があった。
「そ、そんなの無茶よ。近づく前に、あんた穴だらけよ?」
『大丈夫だって! 使徒たちはキンちゃんに気をとられてる。今ならやれるよ』
 なおも反論しようとするあたしを制するように両手を上げ、時間がないと言わん
ばかりにあたしを急かすトロン。
「まったく。さっきは小石だって届かなかったのよ? いったいどうする気なの?」
『それに関しては、ボクに秘策あり!』
 トロンを持ち上げながら眉をひそめるあたしに、トロンは不敵な笑みを浮かべる。

         とにかく他に打つ手もないし、今はトロンを信じるしかないか……

 あたしは身体を丸め、ボールのようになったトロンを握りしめると、ひときわ輝く星め
ざしてかざす。
「おじいちゃん、あたしはやるぜッ!」
『……リン。そんなカビの生えたアニメネタはいいって』
「う、うっさいわね。ちょっと気分出しただけよ!」
 右手から聞こえた絶対零度なツッコミに、あたしは顔を真っ赤にしながら投球フォーム
をとった。
『……あのさあ』
 高々と足を上げ、今まさにトロンを投げようとした時に突然トロンが話しかけてきた。
「何よっ、こんな時に?」
『リンのエグれ胸!』
「………………」


「何だとぉおおおッ、バカ悪魔ぁあああッ!!」



 奇跡が起きた。怒りのアフターバーナーに点火したあたしの身体がその瞬間、肉体の限
界を超えたのだ。
 まちがいなく、普段の五割増しぐらいになったあたしの筋力から繰り出されたトロンが
黒い弾丸と化して闇夜を切り裂く。
「バカ野郎────ッ! 二度と戻ってくんなぁ!!」
 あたしは怒りに身体を震わせながら、芥子粒みたいになったトロンに罵声を浴びせる。

                  そのまま星になっちまえ!

 あたしは夜空にそうお願いしていたが、驚いたのはリューネたちの方だったろう。怒声
とともに唸りを上げて迫りくる鋼の球に気づき、慌てて回避を始めた。
 あたしの怒りが物理学の壁を越えたのか、さらに加速を続けるトロンがリューネたちの
間をすり抜ける。
 さっきまで聞こえた戦いの喧噪がうそのように静まり、リューネたちはそろって、なお
も上昇を続けるトロンを見上げている。
『トロン……さん?』
 カクンとあごの落ちたリューネが、ようやく口を開く。
『馬鹿かあいつは? あれでは自滅ではないか』
 嘲笑しながら使徒がつぶやく。
 あたしもまったく同感だが、あのバカ悪魔がこのまま成層圏まで行ってくれるとは到底
思えない。

『ふふふ、ところがぎっちょん!』

                     ほらね……

 インカムから聞こえた忌まわしい悪魔のつぶやきに、おもわずため息をつく。
 まだ飽きずに回転を続ける黒球から、いきなり光の矢が二本、使徒めがけて放たれる。
それが肘のビームソードだと気づいたのは、散開しようと動き始めた使徒の身体を貫いた
後だった。
 苦痛に顔を歪める使徒が刺さったビームソードを引き抜くよりも早く、トロンはソード
につながったワイヤーを巻き取り始める。
 衝突といった方がいいような勢いで、トロンと使徒が空中でひとつになる。
『会いたかったよ、ダーリン♪』
 トロンは使徒をしっかりと抱きしめると、ニタリと笑った。いきなり抱きつかれた使徒
はバランスを崩し、ふたりはもつれるように落下を始めた。
『き、貴様、気でも狂ったのか? このままではふたりそろって……』
『いいや。残念だけど、地面と熱烈な口づけをするのはキミだけさ』
 トロンはそう言うと、唇を耳元までめくり上げた。
 使徒の顔が恐怖に歪む。
 トロンはそんな使徒の表情に満足そうな顔になると、ソウルテイカーの指先からビーム
ソードを発生させ、使徒の背中から生えた巨大な翼を切裂いた。
 何か言おうとした使徒を、乱暴に足蹴にするトロン。
 悲鳴の尾を引きながら落ちていく使徒を、氷のような瞳でトロンは見下ろしている。でも
状況は最悪だ。加速のついた使徒はさらに落下を続けるが、飛べないトロンだって同じ結果
をたどるだけだ。
「あのバカ、なに考えてるのよ?」
 さすがにこのままじゃヤバいと思ったあたしは大急ぎで走り始めた。
『ボクなら心配ないよ、リン』
 落下地点に走り寄るあたしのインカムに、世にも脳天気な声が響く。トロンは上空めが
けてアンカーガンを打ち出した。
「何も打ち込むものもない空中にアンカーなんて打ってどうするつもりなのよ?」
 だが、虚空めがけて突き進むビームソードの柄を、一本の細腕がむんずと握りしめた。
『ありがと、キンちゃん』
『……まったく。貴女は何を考えていますの?』
 トロンの体重プラス落下の勢いを、身体をわずかに揺らしただけで軽々と受け止めるな
がら、リューネが心底呆れたといった表情を作る。
 顔をしかめるリューネを見上げ、トロンが苦笑する。
 その時、ふたりを見上げるあたしの目の前を猛烈な勢いで使徒が通り過ぎる。
 続いて何かが地面に叩きつけられる轟音が響き、あたしはそっと足下に視線を向けたが
その惨状に、すぐに顔をそむけてしまった。
 無言でトロンを見上げるあたしの視界の端に、白い影が写る。
「ふたりとも、危ない!」
 頭上を見上げるトロンたちの瞳に、ブレードを構え逆落としに襲いかかる最後の使徒の
姿が飛び込んでくる。
 リューネは反撃を試みるが、トロンを支えているため間に合わない。
 だが、リューネめがけて降り降ろされた刃は、かん高い音とともに弾かれてしまった。
 唖然とするリューネと使徒の間に、忽然と黒い影が立ちふさがった。


                  「まったく、とんだ茶番ね」


           あたしの背後から、嘲りを含んだ女の声が聞こえた。

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ボクたちビルドファイターズ その2


さてさて、前回の記事で紹介したハイゴッグですが。

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あの後、突貫作業で塗装を行った結果ようやく完成しました。

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名付けて「ハイゴックN」です。

正面から見るとホントにただのハイゴッグなんですが、背面にちょっと手を加えてみました。

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まず背部のパーツを持ち上げ……。

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次にアンテナ状のパーツを引上げて……。

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最後に手足の向きを変えることによって……。

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このように「ビーストモード」とも呼べる状態に変形できます。

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後ろから見ると、空気椅子をしているハイゴッグみたいでマヌケですな(笑)。

もとはハイゴッグを後ろから見ていた時、背中の形状がカエルみたいに見えたのが改造のきっかけでした。
塗装もまんま「ツノのついたカエル」をイメージしています。





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こんな奇妙な姿のガンプラを目の前にしたら、対戦相手はさぞ拍子抜けするでしょうね。
ですが、その一瞬の隙を突き……。

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カエルの舌を彷彿とさせるヒートロッドで相手の自由を奪います。

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あとはひたすら口の中のヒートファングで対戦相手のガンプラをかみ砕き、丸呑みにしてしまいます。





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ビーストモードでは搭載された火器の類が一切使えない(基本、移動は四足歩行のため両手のビームキャノンもつかえないでしょう)など、あいかわらず偏った設定に加え、中身ががらんどうなど、ほんらいなら有り得ない存在ですが「ビルドファイターズ」の世界観や設定ならこういったMSもアリかなぁ、などと思っております。




最後になりましたがこの「ハイゴックN」。「ハイゴックエヌ」ではなく「ハイゴックン」とお呼びください(笑)。



では!













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燃え上れ…ガンプラァアアア!!




ふん、ふん、ふ~ん♪  …っと、これは失礼しました。ちょっと向こうの世界に行っておりました。


最近は、先日購入したコレ☟ばっかり聴いております。

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「ガンダムビルドファイターズ オリジナルサウンドトラック」

いやぁ、じつに素晴らしい!

OPやEDに加え、本編で使用されたBGMの数々が収録され聴き応え抜群です。
とくにユウキ・タツヤのテーマ曲ともいえる「紅の彗星」は、第六話「戦う理由」でのビルドストライクとザクアメイジングのバトルを思い起こさせ、何度聞き直したことか……。



個人的にあまりハズレのBGMがなかったこのCD、ジャケット裏側の曲名の一覧もなかなか笑えました。

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☝のように、ひと目ですぐに曲が思い浮かぶタイトルもありますが……。


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とか……。

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みたいなのとか……。

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のように、パッと見なんの曲だか思い浮かばないもの多かったです(笑)。






さて、ここ数日このサウンドトラックを繰り返し聴いていたせいか、ガンプラ熱は増加の一途をたどっておりました。
で、せっかく上がったモチベを無駄にするのももったいなかったので、コツコツとこんなモノ☟を作ってみました。




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……ハイ、投石の類はご遠慮ください。



一見すると、なんの変哲もないハイゴッグにしか見えませんが、ちょっとしたマヌケギミックを仕込んであります。
残すは塗装だけですので、明日からの連休でなんとか完製したらお披露目をしたいと思います。




では!

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はぁ、 終わっちゃった……

ひと月経過か……。

おひさしぶりです、シロでございます。
ここ一カ月ばかりの間、仕事の関係ですっかり更新をさぼっておりました(汗)。

基本的には盆暮れ正月(+長期連休)以外は楽な職場だったのですが、このたび部署が変わり仕事の内容も大幅に変更になり、ひたすらテンパっておりました。

給料が多少UPしたのはうれしいですが、それなりにシンドイです……。


閑話休題。



さて、タイトルにも書きましたが……終わっちゃいましたね「ガンダムビルドファイターズ」。

ここんところ唯一楽しみにしていたアニメだけに終わってしまったのは残念至極ですが、いや~、最終回は熱かった!
30分という限られた時間の中でじつにうまくまとまっていました。
特にラストのくだりはホロリときましたよ。

なにより「噛ませ犬」かとも思っていたラルさんが大活躍!!
愛機「グフR35」を駆り、モックの大軍を珍庵和尚とのタッグで迎え撃つシーンは激熱でした。

余談ですが、「グフR35」の「R35」ってラルさんの歳を指してるんですかね?


ひょっとしたら、このまま「アリアン編」に突入かとも思いましたが、やはりそううまくはいかなかったようです(苦笑)。

あっという間の半年でしたが、楽しかった!
なにより第一次ガンプラブーム以来、ひさしぶりに「ガンプラを作りたい!」という気持ちにさせてくれたこの作品に出会えてよかったです。


  Thanks 「ガンダムビルドファイターズ」!!













と、文字ばっかりで終わるのもアレなので、立体モノの画像なぞUPしたいと思います。
作業自体は今回のゴタゴタが起こる前のものなんですが……。

122.jpg

もともとは私の好きな狐(というより狐の面)をモチーフにしたMSを作るつもりでしたが、ここでとんでもない勘違いをしてしまいました。
「狐面のMSといえばバウンド・ドッグ。よっしゃ、コレをベースにするべか?」と思ったのですが……。

バウンド・ドッグってプラモ化されてなかったんですね?

これは誤算でした(泣)。MIAならバウンド・ドッグも発売されてますが、お値段もさることながら厳密にはプラモじゃないですし……。

けっきょく、他に狐っぽい顔のMSはないかと調べた結果☝の画像のようにキュベレイにたどり着きました。

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どうせならもったいなから本体も流用しちゃえ! と勢い込んで作ったのが☝のブツですが、なんか違う……。

CIMG1778.jpg

胸部をかなり幅詰めしたり、パーツの取り付け位置を変更したりもしましたが妙にゴツイ!
自分のなかで「狐=細身」というイメージが頭から離れず、けっきょく☝のタイプは保留ということにしました。

けっきょく首から下は一から作り直し、現在はこんな☟カンジになってます。

CIMG1785.jpg

今度はガザCをベースにしてみました。こっちのほうが細身かつ元のイメージでもあるバウンド・ドッグに近いような気がするのですが如何でしょうかね? 



もうしばらく仕事の方のゴタゴタが続きそうですが、暇をみつけてコツコツとやっていきたいと思います。



では!

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