神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

期待と不安……

さてさて、あとひと月ちょっとではじまりますねぇ。

「ガンダムビルドファイターズトライ」

てっきり前作の続きかと思ってましたが、登場人物がほとんど一新されるとは思いもしませんでした。
世界観は引き継がれ、チナの実弟やラルさんなど前作のキャラやその身内は登場するようですが、ここまで思い切ったことをするとは驚きです。

はたしてこれらの試みが吉と出るか凶と出るか……。
タイトルにもしましたが、期待と不安が入り混じる毎日です(笑)。

それにしても、前作から七年後というとセイやチナも二十歳前後というとこですが、ストーリーに絡んでくるんでしょうか?


多少の不安感はありますが、待望の二期がはじまるとなれば否応なしにガンプラへのモチベも上がります。

CIMG1785.jpg

で、改造途中でほっぽり出していた☝を、ひさしぶりに引っ張り出してきました。

一期の放送が終わりモチベがガタッと落ちたというのが理由のひとつなんですが、どうも自分のイメージと違いが出てきたため半年以上も放置してました(汗)。

自分としては「狐」をイメージしたMSなんですが、どうも足がぶっとく見えるため、なんか狐に見えない!

今回は、ひさびさにモチベも上昇してきましたので、ここらへんを改修したいと思います。
とりあえず色々調べたところ、このMSに白羽の矢が立ちました。

CIMG1845.jpg

「ブレイヴ指揮官用試験機」!そう、「あえて言おう!」のあの人が乗ってたアレですね。

CIMG1847.jpg


フラックやイナクト(は違うかな?)の純粋な発展型であるこの機体、ガンダムシリーズ屈指のスレンダーなプロポーションは、イメージにぴったり!

CIMG1847 - コピー

特にこの脚部の形状は、かなりいいカンジです。
全体のバランスもありますし、最初は首以外を挿げ替えようと思いましたが思いのほか狐顔が大きかったため泣く泣く断念。結局膝から下のみ換装してみました。

CIMG1843.jpg

CIMG1844.jpg

……うん、こっちの方が細くていいかな?



なんか、かなりMSっぽさが無くなった感じもしますが(笑)。



とりあえず本体の方はこれで良し、っと。しかし、せっかく買ったブレイヴも膝から下しか流用できないとは勿体無い。
実は今回、この狐用に某所でばら売りのガンプラパーツを購入したのですが、あったんですよね、ブレイヴの脚部……。


あとはバラ売りで手に入れたパーツを使ってもう少し手を加えれば、とりあえず全体像が見えてきそうです。





このモチベが続いているうちに、完成するといいな(笑)。



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武装神姫 クロスロード 第38話



                 武装神姫 クロスロード

                第38話 「過去」

「トロン、あんた──アイツのこと知っているの?」
『……いや』
 あたしの問いかけに、つぶやくような否定の声。でも、その声に何か違和感を感じ、あ
たしは首を回した。
「どうしたの?」
『なんでも…ないさ』
 トロンはあたしの方を見ようともせず、明らかに苦痛に耐えるような顔をしながらそう答え
なおも宙天を食い入るように見ている。

 トロンの態度は気になったけど、いまは目の前の片桐たちから目を離せない。

「いかがです、一ノ瀬さん?」
「何がよ?」
 まるで、何かに酔ったような口調で片桐が話しかけてくるが、あたしの唸るような声音
に、みるみる片桐の顔が青ざめていく。
「いえいえ、このサタナエルのことですよ。どうですこの姿。まさに美の結晶だとは思い
ませんか?」
「……べつに!」
 きっぱり言い切るあたしに、片桐がかなしそうな顔をする。ハンカチを目に当てながら、
いかにその考えが間違っているか滔々と語り出すが、あたしはまったく取り合わなかった。
 それは、さっきから頭上で聞こえる音のせいだった。

                みんなが戦ってる!

 ようやく視界が開け、あたしは目だけを四方に向けた。
 誰もいない──どうやら、一階に落下したのはあたしとトロンだけみたいだった。

          というより、あたしたちだけ……誘われた?

「……トロン。何とかこいつらをやり過ごして、姫宮先輩たちと合流するわよ」
「上にいるみなさんのお相手は使徒たちが勤めます。お二人がそんなに慌てることはあり
ませんよ」
 耳ざとくこあたしたちの会話を聞きつけた片桐が、図々しく話に割って入ってきた。
「それに、こちらにいるサタナエルがどうしても話をしたいと申しましてね」
 片桐がちらりと背後に目配せすると、サタナエルが音もなく進み出る。

 間近で見るサタナエルは、見れば見るほど奇妙な形をしていた。最大の特徴は、見た
ところ手足と思われるパーツが見あたらないことだった。
 全体は複雑な箱状のパーツで構成され、中央に埋め込まれるようにサタナエルが座して
いる。神姫たちの武装がその身に纏うタイプなのに対して、サタナエルのそれはまるで
乗り物のように見えた。
 本体の左右からは翼を思わせるようなパーツが張り出し、背後には聖人をモチーフに
した絵画に見られるような後光を連想させる巨大なリング状の物体が取り付けられていた。

             その姿は、見ようによっては天使にも見えた。

                  ただし、異形の天使……
 
 サタナエルはトロンを見つめたまま微動だにしなかった。
 バイザーからかすかにのぞくサタナエルの瞳は、懐かしさと激しい怒りの炎をふくんだ
奇妙な光を宿していた。
『ボクに何か用があるなら、さっさと済ませてくれないかな? こう見えてもけっこう忙
しいんでね』
 真っ向からサタナエルをにらみつけたままトロンは言い放つが、その口調にはいつもの
迫力がまるで感じられなかった。
 いぶかしげに肩に視線を走らせると、トロンはあたまに手をやり何かに耐えるような顔
をしている。
「どうしたの? どこか具合でも悪いの?」
 あたしの問いかけにも応えず、トロンは唇を噛みしめサタナエルを睨みつけている。
『……その人を喰ったような口調、少しも変わらんな』
 サタナエルの口元がわずかにほころぶ。だがそれは、何かを堪えているようにも見えた。
 サタナエルの声を耳にするや、なぜかトロンは両手であたまを押さえうつむいてしまう。
『私を覚えていないのか?』
 どこかさみしそうにサタナエルはつぶやく、でもそれはほんの一瞬のことだった。
『だが私は決して忘れない』
 豹変したサタナエルの口調に、トロンは思わず顔を上げる。その表情は、今まで一度も
見たことがないほど困惑に覆われていた。
 サタナエルはゆっくりと首を巡らし、そんなトロンを見つめていたが、やがてその唇が
ゆっくりと動いた。



                   『なあ、ルシエル……』


 サタエルのつぶやきにトロンの身体が硬直する。
『な、なんのことだ? ボクの名前は……』
『ルシエル──貴様の本当の名だ』
『ちがう! ボクはトロンだ!!』
 トロンの絶叫にも似た叫びが、室内に木霊する。
『やはり、あのダメージで記憶を失っているのか……だが、私は決して忘れん。この身
体に傷をつけた出来損ないのガラクタの名をな!』
 完全に戦意を失い。狂ったように頭を振り続けるトロンをながめていたサタナエルの唇
が、いびつな形にゆがむ。
 それは、悪童がとんでもないいたずらを思いついた時の顔だった。
『それでいいのか、ルシエル? ミス・アーミティッジが今の貴様を見たらどう思うかな?』
 握り潰さんばかりいきおいで頭に手をやっていたトロンの動きがピタリと止まった。
『……アーミ…ティッジ……』
 虚空を見つめながつぶやくトロン。サタナエルはその巨体をゆっくりと旋回させトロンと
対峙すると、身を乗り出し観察するかのようにトロンの顔をのぞき込む。 
『そう、アーミテッィジだ』
『アーミテッィジ………………シャーリー!?』
 トロンの身体がおこりにかかったように震え出す。
『う、うわぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!』
 両手で頭を抱え、これ以上はないほどカッと目を見開くと、トロンは声も限りに叫びだ
した。

 怒り、悲しみ、憎しみ、悔恨……それは、あたしが生まれて一度も聞いたことない魂を
引き裂くような叫びだった。

「どうしたの、トロンッ!」
 あまりのことに硬直していたあたしの身体は、トロンの叫びでようやく自由になった。
 両手で耳をふさぎながらトロンに話しかけるが、あたしの声はまるでトロンにはとどい
てはいないみたいだった。
 無限に続くかと思われたトロンの叫び。でも、それは始まりと同じように唐突に終わる。
糸が切れた人形のように全身の力がぬけ、トロンはいきなり地上めがけて落下した。
「トロンッ!!」
 反射的に身体が動き、足が地を蹴る。衝突寸前のトロンをかろうじてキャッチした。
 トロンを受け止めたところまではよかったけど、バランスをくずしたあたしは、盛大に
床を転がる羽目になった。
「痛てて……トロン、どうしちゃったの? しっかりして!」
 手のひらのトロンを激しく揺さぶるが、両目を開き脱力したかのように四肢を投げ出し
たまま、トロンはピクリとも動かなかった。
「あんたたち、トロンに何したのよッ!」
 すぐそばに浮かんだままのサタナエルと片桐をにらみつけながら、あたしは激しく誰何
した。
『別に何も、……ただ私は真実を伝えただけだ』
「真実?」
『そう。主の命すらすら守れなかった、哀れなガラクタの物語をな』  
 そう言いながら、嘲笑するサタナエル。あたしの頭に一気に血が上る。
「お前ッ!!」
 こぶしをにぎりしめると、あたしは立ち上がった。
 一瞬、気圧されたような表情を浮かべたサタナエルだが、怒りに身体を震わせるあた
しを見るや口元に苦笑が浮かぶ。
 サタナエルの武装の各所が開き、無骨な形のビーム砲がせり出してくる。
 いくらなんでも、ビームより早く動くなんて不可能だ。
 現実を突きつけられ硬直するあたしに、ゆっくりと砲身が動き照準を合わせる。
「くっ!」 



     あたしはトロンをかばうように抱きしめる以外に、為す術がなかった。

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武装神姫 クロスロード 第37話


                  武装神姫 クロスロード

                   第37話 「激突」


 部屋に突入してくると同時に、使徒たちは一直線にこっちに向かってくる。ガーネット
とリューネはその動きに対応するかのように左右に展開し、上空のリベルターはいつで
も二人を援護できるように高さを保ったまま前進する。
 ガーネットたちの対応のすばやさに、トロンとルーシィは完全出遅れ取り残されてしま
った。
 慌ててみんなの後を追おうするが、トロンは肩をつかまれ反射的に振り返る。
『お前たちはここに残り、姫たちを守ってくれ』
 レスティーアはそう言うと、何か言い返そうとするトロンを残し、返事も聞かずガーネ
ットたちの後を追ってしまう。

「レスティーア、フォーメーションB1からB4を実行。状況しだいではフォーメーショ
ンC3、F2で対応して」
 端末に浮かぶ情報をめぐるましく見ながら、姫宮先輩の指示が矢継ぎ早に飛ぶ。
 リアユニットのブースターを轟かせ、レスティーアは手にした銃を乱射しながらガーネ
ットたちを追い抜き使徒たちのただ中に突き進む。
 一瞬気税を削がれた使徒たちはすぐにレスティーアを包囲纖滅しようとするがそううま
くはいかなかった。
 レスティーアは四方からの使徒の攻撃を避けながら、手にした銃で正面を狙い、同時に
強化腕の銃を使い側面や背後の使徒たちを同時に狙撃するという離れ業を見せていた。
 レスティーアの放つビームに身体を貫かれ、ニ体の使徒が閃光に包まれる。彼女の猛攻
を避けんと回避を試みた使徒がひとり、背後から襲いかかる光の束に飲み込まれ消滅する。
 頭上を見ると、リベルターがCL3レーザーライフルをかまえ眼下を見下ろしている。
『ペイィィィン ナッコォォォォオオオオオッ!!』
 場を震わす雄叫びに振り返ると、リューネの剛拳が使徒のお腹にめり込んでいた。しか
も、さらに背後の使徒まで巻き込み、そのまま一挙に壁めがけて叩きつけた。
 使徒の身体は二つに分かれ、そのまま落下していく。

 リューネたちの攻撃に動揺した使徒たちだが、すぐに高速で移動しながら除々に間合い
詰めてゆく。
『秘剣、刃狼───ッ!』
 だが、使徒たちの策は水泡に帰したみたいだった。ガーネットの放つ疾風の狼に全身を
切り刻まれ、数体の使徒が力なく地に落ちてゆく。
『……す、すごい』
 惚けた顔をしながら、ルーシィがあたしたち全員の心情を代弁するようにつぶやいた。
 たしかにレスティーアたちの獅子奮迅の戦いは、見事の一言につきた。
 でも、傍観者となったあたしたち全員がルーシィと同じ考えというわけではないみたい
だった。
「いつまで不手腐れてんのよ?」
 さっきから苦虫を噛みつぶしたような顔で眼前の戦いを見ていたトロンは、ふいに顔を
上げる。
『アレを見て、心穏やかでいられるわけないだろう? まったく! レスPたち、ボクと
戦ったときは手を抜いてたんだ!!』
「……それは違うわ」
 忌々しげにレスティーアたちを睨みつけていたトロンは、不満そうな顔であたしを見
上げた。
「たしかに今のレスティーアたちはあんたと初めて闘ったときより強い──それは間違い
のない事実だわ。でもね」
 あたしはいったん話を止めた。
「でも、トロンと戦ったとき、間違いなくレスティーアもガーネットもリューネもあの時持てる
力をすべて使い、全力で相対してくれた……それは彼女たちと直接拳を交えたあん
たが一番わかっているはずよ」
 トロンだって充分思い当たる節はあるはずだ。諭すようなあたしの口調に、トロンはだ
まってうつむいてしまう。
「それにしても……」
 ほんとうに今のレスティーアたちは強かった。

                     このままいけば……

「このままいけば、ガーネットたちが使徒をやっつけちゃいそうですね?」
 あたしの代わりに、美佐緒はにこにこしながらみんなに同意を求めている。
「残念だけど、そううまくはいかないと思う」
 姫宮先輩は端末に浮かぶ情報をめぐるましく追いながらつぶやく。
「たしかに、敵の策を逆手に取りこちらの奇襲は何とか成功したが多勢に無勢、いずれは
使徒たちも攻勢に転ずるだろう」
「そんな」
 さっきまでの楽観的な雰囲気はどこへやら、美佐緒の表情が一瞬に曇った。
『あっ!』
 ルーシィの声に一同は我に返った。ルーシィが指さす先では逆襲に移った使徒たちを前
にレスティーアたちが苦戦を強いられていた。
『あぶない、レスP!』
 数発の直撃を受け体勢を崩すレスティーアを見るや、トロンは後ろも見ずに駆け出した。
「ちょっと、トロン!?」
 慌ててトロンの後を追って走り出したあたしの耳に、インカムを通し“リベルター”の
途切れ途切れの声が木霊した。
『カ…ホウヨリ、コウ…エネル…ギータイ、セ…ッキン』
 次の瞬間、床から幾条もの光の柱が立ち上った。それが何か理解する前に、無数の亀裂
が床を覆い、いきなり足下がすっぽ抜けた。
 あとに残ったのは、宙に浮くような感覚だけだった。

                         ※

「痛っ!? ……痛っう~~~~」
 朦朧としていたあたしの意識は、突然身体を襲った痛みに一挙に覚醒した。
「げほっ、げほっ。な、何よこれ?」
 大きく息を吸い込もうとしたあたしは、口の中に入ってきた大量の埃や粉塵に盛大にむ
せ返った。
『げほっ! だ、大丈夫、リン?』
「う、うん、な、なんとか……あんたの方こそ、だいじょ……くしょん!!」
 声を出そうとしてだけでこのザマだ。とりあえず、互いの無事を確認できたので、あたしたち
は口を閉ざす。肩の上に、トロンが着地する感触があった。
 ようや視界が晴れてきて、あたしは現状を把握しようと辺りを見回していたが、ふと頭
を上げると思わず息をのんだ。天井にぽっかりと大穴が開いていた。
「な、何なの、あれ?」
 きれいな真円を見ながら、途切れていた記憶がよみがえる。

                 そうか、あたしはあそこから……

『どうやら、高出力のビームで打ち抜いたみたいだね』
 穴の縁にできた焼け焦げた跡を身ながら、トロンがつぶやく。あたしはようやく、二階
にいたとき足下から立ち上った光の柱の正体を知った。
 その時、かすかな人の気配を感じた。視線を前に向けると非常灯の照らす薄闇のなか、
かすかに人影が一つ見えた。
「片桐……」
 あたしは呻くようにつぶやくと、身を起こした。
「いや~、少々やりすぎちゃいましたかね?」
 口元をハンカチで押さえ、残った手で埃を払いながら片桐が笑う。
 あまりの痛みに、悲鳴を上げている身体を叱咤しながらあたしは身を起こした。
 反射的に片桐に飛びかかりそうになったが、トロンがいち早く気づき、服の襟を
思い切り引っ張る。

                      あたしは馬か?


 ムッとしてトロンをにらみつけるが、当の本人は気にした様子も見せず、前を指さす。
トロンの指し示す先に、大きな影が浮かんでいた。
 それ自体が発光しているかのように白いを燐光を纏った巨体。それは、片桐より頭一つ
分高い位置に浮かび、まるであたりを睥睨するかのようにあたしたちを見下ろしている。
「あれが……サタナエル?」
 うめくようにつぶやくあたしを見下ろしていたサタナエルの目が、わずかに細まった。
『ひさしぶりだな?』
「えっ?」
 よく響く凜とした声。でも、それは凍てつくような冷たさを伴っていた。
 思いもしなかったサタナエルの第一声に呆気にとられたけど、その言葉があたしに、向
けられたものではないことに気づいた。

                      「……トロン」

 あたしは、サタナエルの視線の先……肩の上を見ながら、ささやくようにつぶやいた。

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武装神姫 クロスロード 第36話

                武装神姫 クロスロード

          第36話   「宴のはじまり」

「リベルター。熱源の数は?」
『カク…ニンシタ、ソウス…ウハ、十六…デス』
 店長さんの問いに、“リベルター”の冷静な声が重なる。
「じゅ、十六? 使徒って、まだそんなにいたの?」
『イエ…。シトト…オモワ…レルハンノウ…ハ、十五デ…ス。ノ…コリノ…ヒトツハ、モ
ット…キョダ…イナ…』
『サタナエル!』
 “リベルター”の報告を、もうひとりのリベルターがさえぎる。片桐は言っていた。こ
のパーティーの主役の名を……

『それともうひとつ……人の気配を感じるでござる』
“リベルター”の声に相づちを打ちながら、じっと目を閉じていたガーネットが静かにつ
ぶやく。
「ブラボ───ッ! この混沌とした光景。実にすばらしぃッ!!」
 いきなり階下から、割れんばかりの拍手とともに、感極まったと言わんばかりの声が響
く。あたしは、その声を聞いたとたん、無意識に走り出していた。
「一ノ瀬さん!」
 いきなり横から、あたしに多い被さるように姫宮先輩がしがみついてくる。
「は、離してください! 先輩だって聞こえたでしょう? 片桐のやつが下に来てるんですよ?」
 必死に引き剥がそうとするが、姫宮先輩のどこにそんな力があるのか、あたしの身体は
ぴくりとも動かない。なおもあたしがもがくと、先輩はあたしの襟元を鷲掴みにした。
「だからこそ冷静になって! 彼の挑発にのっては駄目!!」
 そう言いながら、先輩は何度もあたしの身体を揺する。その剣幕に、ようやくあたしは
身体の力を抜くと、大きく息を吐いた。
「すみません、つい……」
 先輩はあたしの声になにも答えなかったが、優しくうなずいてくれた。
『まったく。リンは本当にイノシシ属性だね』
 特大のため息をつきながらトロンが歩いてきた。その背中には、一対の漆黒の翼が動作
確認のためだろうか、交互に羽ばたきを繰り返している。
 いつもだったら売り言葉に買い言葉。たちまち舌戦が始まるところだが、さすがに今回
はあたしの方が分が悪かった。しゅんとうなだれるあたしを見ていたトロンが、姫宮先輩
を見上げる。
『ありがとう、かおリン』
 先輩はかすかに微笑んだ。
「で、肝心の作戦はどうするんですか? このままみんな一緒に戦うとか?」
 美佐緒の心配そうな声で、一同が我に返る。
『だが……使徒の数はこちらの倍以上でござる。一点集中を計ろうものなら……』
『さぞ、いい的になるでしょうね』
 ガーネットのつぶやきに、肩をすくめながらリューネが相づちを打つ。
『ならば、いっそこちらも散開し、使徒を各個撃破するしかないのではないか?』
『そ、それじゃあ、リンさまたちもバラバラになっちゃうじゃないですか! そしたらわ
たし、どうすればいいんですか?』
 レスティーアの提案に、ルーシィが真っ青になりながら反論する。
「はい!  あたしに名案がある!」
 思考のループに陥った一同の視線が、あたしに集中する。
『……何、名案って?』



             ── リンに期待はしてないよ ──



 あたしを見つめるトロンの目が、そう語っていた。

 ムッとしながらも拳をにぎりしめ、あたしは一ノ瀬家に代々伝わる格言を叫んでいた。

「おじいちゃんが言ってた。“迷ったら、殴れ”って!」



              何ともいえないヤな空気が、場を覆った。



『ハイハイ、そうだね。……ところでリン。悪いんだけど、ボクたち今立て込んでてね。
話が済むまで向こうに行っててくれないかな?』
 トロンのヤツは、悪魔のくせに天使のような笑みを口元にたたえ、まるで笑っていない
瞳であたしを見ながら部屋の隅の方を指さす。
 あたしは再び円陣を組んで話を始めたみんなを黙って見ていたが、やがて背を向けると、
トボトボと歩き出す。
「……何よ、あの態度! あたしだって一生懸命考えてるのよ?」
 あたしはしゃがみ込むと、壁に向かって呪詛のごとくつぶやきはじめる。

 しばらくすると、下から片桐の困ったような声が聞こえてきた。
「むぅ、誰も来ませんね~。私が来たと知れば、単細胞の一ノ瀬さんあたりなら意の一番
に降りて来ると思ったのですが……良識ある他の方に止められたのですかね?」


                うっせーよ、メガネ!


 一から十まで当たっているだけに反論もままならず、あたしは壁に向かってツッコんだ。
「仕方ありませんね。私のスピーチは端折って、パーティーを始めるとしますか……では、
イッツ、ショータイムッ!」
 片桐の声が店内に響きわたる。同時に、あたしの背に悪寒が走った。
 階下から人とは異なる気配が複数、あたしたちめがけて高速で移動してくる。

 その小さな気配とは不釣り合いなほど、明確な殺意をともなって。

『みんな気をつけて、使徒だ!』
 トロンの注意を促す叫びが終わる前に、ことにトロンの左右にガーネットとリューネが
並び立ち、その背後にはレスティーアとルーシィがトロンたちを援護すべく手にした銃を
かまえる。
 火力と機動性に優れた武装を持つリベルターは、攻撃、援護両方に対応できるように、
天井すれすれの位置で待機している。
 あたしたちは、トロンたちの邪魔にならないように部屋の隅に移動するが美佐緒は彫像
のように立ち尽くしたままだ。
「後ろに下がって!」
 場に張りつめた空気のせいだろう、いつもの脳天気さは影を潜め、青ざめている美佐緒
を強引に押しやる。
 すばやく配置につき息を殺して唯一の出入り口であるドアをにらみつけるが、待てど暮
らせど使徒たちは部屋に進入してくる気配すらみせなかった。
「レスティーア、聞こえる?」
 どうしたものかと思案していると、背後からささやき声が聞こえてきた。振り返ると、
姫宮先輩が手にした小型の情報端末をのぞき込みながらインカムに話しかけている。
「ドアの向こう側に使徒の反応があるわ。先制攻撃を…」
『御意!』
 姫宮先輩のささやくようなつぶやきに、凛とした声が応える。
『はぁ? 何言ってんのレス…おわッ!?』
 背後で聞こえた声にトロンはいぶかしげに振り返るが、その鼻先を黒光りにした長身の
銃が通り過ぎ肝をつぶす。
『待ち伏せとはくだらん戦術だ』
 レスティーアは吐き捨てるようにつぶやくと、両の強化腕が握りしめるビームキヤノン
と手にしたビームライフルを前方に向ける。
『きさま等すべて……纖滅する!』
 レスティーアが手にした銃が、一斉に火を噴いた。
 三条の光の束が一つになり、前方のドアを貫く。ドアの向こうから小さな悲鳴と、あき
らかに動揺に包まれた気配が伝わってくる。
「……まずは、一人」
 淡々と事務的につぶやく姫宮先輩。いつもとあまりにちがう雰囲気に、あたしは呆然と
先輩を見上げていた。
『ずいぶん長い間お休みになっていたようですけど、腕の方はさほど鈍っていないようで
すわね、<黒騎士>さん?』
『無駄口をたたいている場合か!』
 肩越しに振り返り、少し揶揄したように話しかけるリューネを、レスティーアは氷のよ
うな声で一括する。
『……来るでござる!』
 ガーネットの声を耳にするや、全員の視線が一点集中する。直後にドアを突き破った使
徒たちが、大量の木片とともに部屋になだれ込んできた。


                   こうして宴ははじまった……

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