神姫者の巣

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武装神姫 クロスロード 第37話


                  武装神姫 クロスロード

                   第37話 「激突」


 部屋に突入してくると同時に、使徒たちは一直線にこっちに向かってくる。ガーネット
とリューネはその動きに対応するかのように左右に展開し、上空のリベルターはいつで
も二人を援護できるように高さを保ったまま前進する。
 ガーネットたちの対応のすばやさに、トロンとルーシィは完全出遅れ取り残されてしま
った。
 慌ててみんなの後を追おうするが、トロンは肩をつかまれ反射的に振り返る。
『お前たちはここに残り、姫たちを守ってくれ』
 レスティーアはそう言うと、何か言い返そうとするトロンを残し、返事も聞かずガーネ
ットたちの後を追ってしまう。

「レスティーア、フォーメーションB1からB4を実行。状況しだいではフォーメーショ
ンC3、F2で対応して」
 端末に浮かぶ情報をめぐるましく見ながら、姫宮先輩の指示が矢継ぎ早に飛ぶ。
 リアユニットのブースターを轟かせ、レスティーアは手にした銃を乱射しながらガーネ
ットたちを追い抜き使徒たちのただ中に突き進む。
 一瞬気税を削がれた使徒たちはすぐにレスティーアを包囲纖滅しようとするがそううま
くはいかなかった。
 レスティーアは四方からの使徒の攻撃を避けながら、手にした銃で正面を狙い、同時に
強化腕の銃を使い側面や背後の使徒たちを同時に狙撃するという離れ業を見せていた。
 レスティーアの放つビームに身体を貫かれ、ニ体の使徒が閃光に包まれる。彼女の猛攻
を避けんと回避を試みた使徒がひとり、背後から襲いかかる光の束に飲み込まれ消滅する。
 頭上を見ると、リベルターがCL3レーザーライフルをかまえ眼下を見下ろしている。
『ペイィィィン ナッコォォォォオオオオオッ!!』
 場を震わす雄叫びに振り返ると、リューネの剛拳が使徒のお腹にめり込んでいた。しか
も、さらに背後の使徒まで巻き込み、そのまま一挙に壁めがけて叩きつけた。
 使徒の身体は二つに分かれ、そのまま落下していく。

 リューネたちの攻撃に動揺した使徒たちだが、すぐに高速で移動しながら除々に間合い
詰めてゆく。
『秘剣、刃狼───ッ!』
 だが、使徒たちの策は水泡に帰したみたいだった。ガーネットの放つ疾風の狼に全身を
切り刻まれ、数体の使徒が力なく地に落ちてゆく。
『……す、すごい』
 惚けた顔をしながら、ルーシィがあたしたち全員の心情を代弁するようにつぶやいた。
 たしかにレスティーアたちの獅子奮迅の戦いは、見事の一言につきた。
 でも、傍観者となったあたしたち全員がルーシィと同じ考えというわけではないみたい
だった。
「いつまで不手腐れてんのよ?」
 さっきから苦虫を噛みつぶしたような顔で眼前の戦いを見ていたトロンは、ふいに顔を
上げる。
『アレを見て、心穏やかでいられるわけないだろう? まったく! レスPたち、ボクと
戦ったときは手を抜いてたんだ!!』
「……それは違うわ」
 忌々しげにレスティーアたちを睨みつけていたトロンは、不満そうな顔であたしを見
上げた。
「たしかに今のレスティーアたちはあんたと初めて闘ったときより強い──それは間違い
のない事実だわ。でもね」
 あたしはいったん話を止めた。
「でも、トロンと戦ったとき、間違いなくレスティーアもガーネットもリューネもあの時持てる
力をすべて使い、全力で相対してくれた……それは彼女たちと直接拳を交えたあん
たが一番わかっているはずよ」
 トロンだって充分思い当たる節はあるはずだ。諭すようなあたしの口調に、トロンはだ
まってうつむいてしまう。
「それにしても……」
 ほんとうに今のレスティーアたちは強かった。

                     このままいけば……

「このままいけば、ガーネットたちが使徒をやっつけちゃいそうですね?」
 あたしの代わりに、美佐緒はにこにこしながらみんなに同意を求めている。
「残念だけど、そううまくはいかないと思う」
 姫宮先輩は端末に浮かぶ情報をめぐるましく追いながらつぶやく。
「たしかに、敵の策を逆手に取りこちらの奇襲は何とか成功したが多勢に無勢、いずれは
使徒たちも攻勢に転ずるだろう」
「そんな」
 さっきまでの楽観的な雰囲気はどこへやら、美佐緒の表情が一瞬に曇った。
『あっ!』
 ルーシィの声に一同は我に返った。ルーシィが指さす先では逆襲に移った使徒たちを前
にレスティーアたちが苦戦を強いられていた。
『あぶない、レスP!』
 数発の直撃を受け体勢を崩すレスティーアを見るや、トロンは後ろも見ずに駆け出した。
「ちょっと、トロン!?」
 慌ててトロンの後を追って走り出したあたしの耳に、インカムを通し“リベルター”の
途切れ途切れの声が木霊した。
『カ…ホウヨリ、コウ…エネル…ギータイ、セ…ッキン』
 次の瞬間、床から幾条もの光の柱が立ち上った。それが何か理解する前に、無数の亀裂
が床を覆い、いきなり足下がすっぽ抜けた。
 あとに残ったのは、宙に浮くような感覚だけだった。

                         ※

「痛っ!? ……痛っう~~~~」
 朦朧としていたあたしの意識は、突然身体を襲った痛みに一挙に覚醒した。
「げほっ、げほっ。な、何よこれ?」
 大きく息を吸い込もうとしたあたしは、口の中に入ってきた大量の埃や粉塵に盛大にむ
せ返った。
『げほっ! だ、大丈夫、リン?』
「う、うん、な、なんとか……あんたの方こそ、だいじょ……くしょん!!」
 声を出そうとしてだけでこのザマだ。とりあえず、互いの無事を確認できたので、あたしたち
は口を閉ざす。肩の上に、トロンが着地する感触があった。
 ようや視界が晴れてきて、あたしは現状を把握しようと辺りを見回していたが、ふと頭
を上げると思わず息をのんだ。天井にぽっかりと大穴が開いていた。
「な、何なの、あれ?」
 きれいな真円を見ながら、途切れていた記憶がよみがえる。

                 そうか、あたしはあそこから……

『どうやら、高出力のビームで打ち抜いたみたいだね』
 穴の縁にできた焼け焦げた跡を身ながら、トロンがつぶやく。あたしはようやく、二階
にいたとき足下から立ち上った光の柱の正体を知った。
 その時、かすかな人の気配を感じた。視線を前に向けると非常灯の照らす薄闇のなか、
かすかに人影が一つ見えた。
「片桐……」
 あたしは呻くようにつぶやくと、身を起こした。
「いや~、少々やりすぎちゃいましたかね?」
 口元をハンカチで押さえ、残った手で埃を払いながら片桐が笑う。
 あまりの痛みに、悲鳴を上げている身体を叱咤しながらあたしは身を起こした。
 反射的に片桐に飛びかかりそうになったが、トロンがいち早く気づき、服の襟を
思い切り引っ張る。

                      あたしは馬か?


 ムッとしてトロンをにらみつけるが、当の本人は気にした様子も見せず、前を指さす。
トロンの指し示す先に、大きな影が浮かんでいた。
 それ自体が発光しているかのように白いを燐光を纏った巨体。それは、片桐より頭一つ
分高い位置に浮かび、まるであたりを睥睨するかのようにあたしたちを見下ろしている。
「あれが……サタナエル?」
 うめくようにつぶやくあたしを見下ろしていたサタナエルの目が、わずかに細まった。
『ひさしぶりだな?』
「えっ?」
 よく響く凜とした声。でも、それは凍てつくような冷たさを伴っていた。
 思いもしなかったサタナエルの第一声に呆気にとられたけど、その言葉があたしに、向
けられたものではないことに気づいた。

                      「……トロン」

 あたしは、サタナエルの視線の先……肩の上を見ながら、ささやくようにつぶやいた。
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