神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

武装神姫 クロスロード 第41話

                武装神姫 クロスロード

                  第41話 「猛攻」

 あたしたちは飛翔し、サタナエルと対峙する。
 サタナエルは、左右を生き残った六体の使徒たちに守られるように悠然と宙に浮いてい
た。
 目指す敵は目の前! ほんとうならすぐにでも攻撃に転じるべきだったけど、改めて相
対したサタナエルの圧倒的な威圧感に気をされ、あたしたちは誰一人動けなかった。
『……奴は、何処にいる』
 どうしたものかと考え込んでいると、うなるようなつぶやきが聞こえてきた。
 おどろき振り向くと、レスティーアが左右に鋭い視線を送っている。
『……何処だ、アイギス!』
 ようやくあたしは、サタナエルを護衛する使徒たちの中にレスティーアの仇敵であるア
イギスの姿がないことに気がついた。
 いつの間にか、ひとり非常口の前まで移動している片桐のそばにも見あたらなかった。
「アイギスでしたらここにはいませんよ」
 回答は下からもたらされた。片桐はニヤケた笑みを浮かべながらあたしたちを見上げて
いる。
「彼女には別の用を頼んでいましてね……まさかここまで手間取るとは夢にも思わなかった
のですよ」
 いかにも人を喰ったような片桐の態度に、すぐ横からレスティーアの歯ぎしりの音が聞こ
えてきた。
「落ち着いて、レスティーア」
 いまにも片桐に飛びかからんとしていたレスティーアだったけど、姫宮先輩の声が聞こ
えるやその動きがぴたりと止まった。
「あなたの悔しさ、怒りは私にもよくわかる……でもね、あなたがここで私怨を晴らすた
めだけに独断専行を行えば、半年前のあの悲劇を繰り返すだけなのよ?」
 姫宮先輩の声音はどこまでも静かだったけど、それを耳にするやレスティーアは雷に打
たれたように硬直してしまう。
『姫……』
「あなたはもう、一人ではないの」
 先輩の声に、レスティーアはハッと顔を上げあたりを見回す。あたしたちと目が合うと
レスティーアはかすかにはにかんだような笑みを浮かべたが、すぐにいつもの厳しい表情
になるやサタナエルをにらみつける。
『さってと……』
 内心ホッとしながら、あたしは直面した難題を解決すべくあたまをめぐらせはじめた。
『まずは使徒たちを片づけるのが先決でござろうな』
 考えてることは同じみたいだった。ガーネットのつぶやきに、あたしは無言でうなずい
た。
『……その必要はない』
 荘厳な響きを込めた声に前を見る。サタナエルは左右に目配せしながら首を振った。左
右に散った使徒たちが、音もなく後退を始める。
『どういうつもり?』
『言ったとおりだ。茶番はもう終わり……貴様等の相手など私ひとりで充分』
 サタナエルはゆっくりと前へ進む。バイザー越しに見える瞳には憎悪の炎がゆらめいて
いる。
『まずは貴様等から』
 サタナエルがレスティーアたちを順に見ながら押し殺すようにつぶやく。
『そして──最後に貴様だ!』
 サタナエルは真っ正面からあたしを見据えると、吐き捨てるように言い放った。
『どうやら余計な“モノ”が混じっているようだが関係ない! 今度こそ欠片も残さず消
し去ってくれる。』
 “モノ”扱いされ、カッとなったあたしだったけど、背中から聞こえたレスティーアの
声になんとか踏みとどまる。
『欠片も残さず消えるのはきさまの方だ!』
 サタナエルめがけて、三条のビームが突き進む。一瞬おくれてもう一条のビームの束が
サタナエルに吸い込まれていく。
『……<エデン>』
 必殺の一撃になるかと思われたレスティーアとリベルターの攻撃。でも、それは瞬時に
展開されたフィールドにより、いとも簡単に弾かれてしまった。
『ぉおおおおおッ! ぺィイイイン ナッコォオオオオオッ!!』
 呆気にとられ硬直してしまったレスティーアたちの横をすり抜け、リューネが雄叫びと
ともにサタナエルめがけて殴りかかった。
『なっ!?』
 サタナエルの頬めがけて叩き込まれるはずだったリューネの剛拳も、やはりフィールド
の前にはばまれサタナエルまでとどかない。
『やはりあのフィールドをなんとかせねば、こちらの攻撃は利かんようでござるな』
 さっき自分の必殺剣がフィールドの前に無力と知ったガーネットが、冷静にサタナエル
の能力を分析しながらつぶやく。
『何を悠長なことを! このままでは無駄に時間に浪費するだけでしてよ?』
 なおもフィールド越しにサタナエルを殴り続けていたリューネが血相変えてガーネットに
噛みつく。
『なぁに、時間は取らせんさ』
 鬱陶しそうにリューネをちらりと見ながら、サタナエルが憮然としながら言い放つと同
時に、サタナエルの背後で爆発が起きる。
 それが巨大なブースターから放たれた光球だと気づいた時には、サタナエルの巨体が
急上昇をはじめた。
 呆気にとられているあたしたちから距離をとると、サタナエルは急制動をかけその場で
停止した。
 サタナエルの全身を覆っていたフィールドが音もなく消える。
『今よっ!』
 我に返ったあたしが叫ぶと、みんな四方からサタナエルを攻撃すべく一斉に動き出した。
『ルーシィは美佐緒たちを守って!』
 どうしていいかわからず、おろおろとあたりを見回していたルーシィに声をかける。
 ようやく自分が何をすべきか気づいたルーシィは、ビームライフルを肩に担ぐと一目散
に走りはじめた。
『<フェザー>』
 サタナエルがささやくようにつぶやくと、翼状のパーツの一部が大きく開いた。その奥
に見える小さな影がせり出し、射出体勢に入る。
『……ガンポッド』
 あたしの横で、レスティーアがうめくようにつぶやいたのが合図だったかのように、ガ
ンポッドは一斉に射出された。
 我に返ったあたしたちは、弾かれるように左右に散った。レスティーアとリベルター
は果敢に狙撃をはじめるが、ガンポッドの数はざっと見ても五十はくだらない。
 数基のガンポッドがビームの光の中に消えたが、まさに「焼け石に水」状態だった。
『くっ……何ッ!?』
 回避運動を試みながら、なおも狙撃を続けるレスティーアに数条のビームが襲いかかる
が、強化腕の片方を失いながら、かろうじて不意打ちをかわす。
 内心胸をなで下ろしながら視線をめぐらせると、加虐的な笑みを浮かべたサタナエルが
こっちを見ていた。その巨躯に収められた砲口から光が溢れている。
『来るでござる!』
 ガーネットの叫びと同時に、数条のビームがあたしたちめがけて放たれた。
 どちらか片方だけなら、まだなんとかなったかもしれない。でもガンポットとビーム砲、
この両方を同時にかわす術はあたしたちにはなかった。
『ぐっ!』
『きゃああああ!』
 レスティーアとリベルターは飛来するガンポッドをかろうじてかわすも、ビームの直撃
を受けてしまう。
『がっ!』
『ああ!?』
 ガーネットとリューネはビームをかわすことには成功したけど、ガンポッドの四方から
攻撃にその身をさらしてしまう。
『みんなッ!!』
 身に纏っていた武装をまき散らし、白煙を全身からたなびかせながらリューネたち四人
は力なく落ちていく。
 あわててみんなのあとを追おうとしたが、背後からせまる無機質な殺気に反射的に振り
返る。目の前にガンポッドが迫っていた。
 でも、なぜかガンポッドの群は目と鼻の先でガンポッドは動きを止めてしまう。
『なんのつもりよ!』
 音もなく宙に浮くガンポッド越しに、無言であたしを見ているサタナエルに誰何する。
『言ったはずだ、貴様は楽に殺さんとな……今、おもしろい考えが浮かんだのだ』
 サタナエルは重々しくつぶやくと、あたしを取り囲んでいたガンポッドが一斉に動き出
した。
 襲いかかるガンポッドの群、反射的に身構えるが、ガンポッドはあたしを避けるように
動くと猛スピードで背後に流れ去っていく。
『己の非力さを呪い絶望に身をよじれ──貴様を破壊するのはその後だ』
 抑揚のないサタナエルのつぶやきに、彼女のねらいがなんなのかあたしは気がついた。
『美佐緒、逃げて!』
 ガンポッドはくいと鎌首をもたげ、獲物をねらう蛇のような動きで背後の美佐緒たちに
襲いかかる。
いち早く気づいた姫宮先輩が美佐緒の手を取り安全な場所に避難させようと動きだし、
その足下ではルーシィが懸命にガンポッドを打ち落とそうとしていた。
 あたしも必死に後を追うが、ガンポッドとの距離は一向に縮まらない。

                 だめだ、間に合わない!


           『<ライトニング・フェザ───────ッ!>』



 心臓を鷲掴みにされたような痛みが胸を走る。その時、絶望が胸を覆い顔を伏せた瞬間、
凛とした声が響き渡った。

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ちょっと野暮用がありまして……

そ~、…………。

お、お久しぶりでございます。
そろそろみなさんの記憶の彼方に葬られた頃でございましょうか? 忘却の男、シロでございます。

タイトルにも書きましたが、実は最近、とあることにチャレンジしており、すっかりブログの更新をさぼっておりました。

そちらの用が済んでからブログの再開を、と思ってましたが、このままだと年内一杯ぐらいかかりそうなので少々予定を変更することにしました。

まったく更新の無い、こんなブログを辛抱強く見に来て下さっている方に申し訳ないですからね(汗)。

といっても、ネタ自体ほとんどないので、少し書き溜めてある神姫SSの掲載ぐらいしかできませんが……。

今取り組んでいることが終われば、そちらもこのブログで発表する予定です。
最近は文字ばかりの内容ですが、もうしばらくお付き合いください。



閑話休題。

いや~熱いですねぇ、『ガンダムビルドファイターズトライ』!

設定も変わったのもそうですが、実はトライのキャラがあまり私の好みではなかったため正直不安でしたが、そんなモノは第1話を観て吹き飛んでしまいました。

いや~、みんな生き生きとして、じつにイイ感じですね。

それにしても、1話を観ていて格闘技一筋に生きてきた少年、カミキ・セカイがどうやってビルドバーニングガンダムを製作するか楽しみにしてたんですがね。

優勝トロフィーの底がガパッと開き☞中からドムが出てきて☞さらにその中からビルドバーニングガンダム出てくる!

まさか、こんな風に主人公とガンプラが出会うことになるとは夢にも思いませんでしたよ(笑)。

最初は「え~、こんなのご都合主義的じゃねぇの?」と思ったんですが、よく考えてみると、ビルドバーニングガンダムってセカイ専用に用意されていた物ではなく、セイがレイジと再開を果たした時のためにレイジ専用機として作ったガンプラだったんですかね?

それなら格闘主体となっているのも頷けます(じっさい、レイジも『ファイターズ』終盤では、拳ひとつで戦ってますしね)。


まあ、何はともあれ『ガンダムビルドファイターズトライ』、これからも目が離せそうにありません。

今取り組んでいることも、ますますモチベーションがUPしそうです(笑)。

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武装神姫 クロスロード 第40話

                    武装神姫 クロスロード
 
                  第40話 「ライドオン」




                      ── うっ!? ──

 意識の覚醒とともに全身を襲ったのは、耐えがたいまでの痛み。そして、あたしの目に飛び
込んできたのは、辺り一面火の海と化した家の中だった。
 壁も廊下も──ううん、家そのものが灼熱の舌に舐めとられ断末魔の悲鳴を上げている。
 その光景はまさに地獄そのものだった。

 でも、身体中を熱波と痛みになめ回されながらも、身体はあたしの意志とは無関係に
前進を続けた。
 目の前の床に倒れ伏した人影に向かって……

『……シャ、シャーリー……』
 あたしの口が、あの名前をつぶやく。

『ご、ごめん、シャーリー、ボク……』
 たったひとつ残った右腕を精一杯伸ばすが、今のあたしには人影までの距離はあまりに
も遠かった。

 力無く地に落ちる指先、あたしの頬を伝わる涙は熱のせいですぐに乾いてしまう。

『ふふふ……あーはっはっはッ!』

 突然背後で哄笑が響きわたる。反射的に背後を振り返る。廊下の端に転がっているの
は──あたしの下半身。

 哄笑の主は、その遙か高みからあたしを見下ろしていた。

                     サタナエル……

『何が神姫だ。“神なる姫”だ! この程度の力しか持たぬガラクタが私に取って代わろう
などとかたはら痛いわ!!』

 あたしの心に、憎しみや悔しさといった感情が流れ込んでくる。でも、もう身体が動か
ない。荒れ狂う炎の中で、サタナエルはいつまでも笑い続けている。

 

          そして、あたしの意識は再び闇の中に落ちていった……
             

                         ※


『……う、ここ…は?』
 ゆっくりと瞼を開くと、そこは薄闇に包まれていた。
『まったく、目が覚めてもまだ闇の中なんて──ん?』
 あたしは頬に妙な感触を覚え、反射的に指で頬をなぞる。

                    濡れていた。

 黒光りする鋼の指についた液体を見ながら、あたしはポツリとつぶやいた。
『涙……そっか、あれはトロンの……』
 あたしはこのとき、すべてを理解していた。

『トロンちゃん! 気がついたんだね?』
 あたしの思考を断ち切るように、いきなりルーシィが飛びついてきた。
『ちょっとルーシィ、落ち着いてって』
 涙でぐしょぐしょになった顔で頬ずりしてくるルーシィにちょっぴり辟易しながらも、
ようやくあたしは現状を思い出した。
 頭上では、ガーネットたちが乱戦の真っ最中だ。
『あ、あの、トロン…ちゃん?』
 ルーシィは、あたしを見下ろしキョトンとしている。
『ありがと、ルーシィ。ひとりでトロンを守ってくれてたんだね』
『へ? は?』
 大きく見開かれたルーシィの瞳に映ってるのは、まごうことなきトロンだ。
 とうぜんルーシィには今の状況は理解できないだろう。あたしは苦笑しながらルーシィ
のあたまを撫でてあげた。
『時間がないからくわしい話はあと! それより援護の方、頼むわよ?』
 身を起こしながら手短に用件だけ言うと、あたしは“黒き翼”をはばたかせ、飛翔した。


 しばらくして、遙か下からルーシィの悲鳴にも似た叫びが聞こえてきた。


『……たたた、たいへんじゃ───ッ! トロンちゃんがナンか変ッ!!』




           ……これじゃあ、援護は期待できないわね……

                        ※ 


                   何……この感じ?

 あたしは違和感にまゆをひそめた。妙に身体が重かった。少なくとも、トロンの特訓
につきあいネイキッドを動かしていたときはこんな感じはなかった。
 前方で行われてる戦いの喧噪に我に返る。

           いまはそんなこと気にしている場合じゃない!

 いったん戦いの場を見下ろすぐらい上昇すると、そのまま逆落としに降下する。
 あたしは、使徒のひとりに向かって右手を突き出す
『えっと、こう…かな、わっ!?』
 右手の肘に装備されていたアンカーガンが、ガスの噴出とともにいきおいよく射出される。
 あてずっぽうだったけど、運よくアンカーガンは使徒の持つビームガンを弾きとばすと、
そのままレスティーアたちの間をすり抜ける。
『トロン!?』
『貴様は!』
 レスティーアたちの声を背中で聞きながら、あたし降下を続け床に着地する。
 頭上に感じた殺気に我に返る。振り仰ぐと銃を失った使徒がビームソードを振りかざし
ながら一直線に突っこんで来る。
 突っ立ったまま自分を見上げるあたしをいぶかしながらもも、手にしたビームソードを
振りおろす。
『なっ?』
 ビームソードはその高熱の刃で深々と切り裂いていた。

                   自らの立つ、床を……

『どこを狙ってるの?』
『うおっ!?』
 何が起きたか理解できない使徒は、耳元で聞こえた声におどろくと、後ろに跳びすさっ
た。
『ば、馬鹿な! きさま、いったい何をした?』
 あたしはなにも答えず無言で手招きした。
 怒りに顔を朱に染めた使徒が切りかかってくるが、その軌道はあたしの手刀によって反
らされ、むなしく髪留めを切り裂いたにすぎなかった。
 驚愕にゆがむ使徒には何が起こったのか理解できなかったろう。
 手首を極められ、自らの身体で虚空に弧を描いた時も、そのまま破片をまき散らしなが
ら床にたたきつけられた瞬間ですら……

 完全に機能を停止させてしまった仲間を目の当たりにしても、使徒たちは固まってしま
ったかのように微動だにしない。
 そんな使徒たちの間を縫うように、レスティーアたちがあたしの横に降り立った。
『トロン、きさま──大丈夫なのか?』
『うん、なんとかね。それよりレスティーア、他のみんなはどうしたの?』
 使徒の攻撃で片方の髪留めが吹き飛んでしまい、乱れた髪が視界をさえぎり鬱陶しかっ
たので、あたしは残った髪留めで薄紫色の髪を頭の後ろでまとめながらたずねたが、
いつまでたってもレスティーアからの返事はなかった。
 いぶかしげに顔を上げると、レスティーアの手のひらがひたいに押し当てられる。
『……どこもおかしいとこなんてなんて無いわよ?』
 にぎったレスティーアの手首を、ひたいからはずしながら話しかけるがレスティーアの
まなざしは困惑の色を深めるばかりだ。
『いや、どうみてもおかしいだろう?』
『おかしくなんかないって! よく見てレスティーア、あたしよ、あたし!!』
 自分を指さしながら詰め寄ると、レスティーアは訝しげに見ていたが、ようやく気がつ
いたみたいだった。
『ま、まさか、一ノ瀬どの?』
 レスティーアが惚けたような顔をしたのは、ほんのわずかな間だった。すぐに厳しい表
情を浮かべると、今度は彼女が詰め寄ってきた。
『なんという無茶なことを、危険すぎます!』
『今のあたしと使徒の戦いを見てなかったの?』
 さも心外といわんばかりに顔をしかめてそう言うと、レスティーアは押し黙ってしまう。
『わかってる。あたしが今まで経験してきたことと、神姫たちの戦いがまるで異質だと
いうことぐらい。でもね、いまはそんなこといってる時じゃない。みんなで力を合わせな
けきゃ、あいつは──サタナエルはたおせない!』
 一気にまくして、あたしが息継ぎをしている間もレスティーアはだまってあたしを見つ
めるだけだった。
『わかりました、一ノ瀬どの』
 大きなため息とともに、レスティーアはそう言った。あたしはレスティーアの肩を軽く叩
くとそろって姫宮先輩の足下に駆け寄った。
『すみません、遅くなって』
 だいたい予想はついたけど、案の定返事はなかった。
 頭上を仰ぐと、姫宮先輩は目をまん丸くしてあたしを見下ろしている。
「せんぱぁああああいッ」
 不本意だが、あたしの現状にいっぱつで気づいたヤツもいたみたいだ。美佐緒は地響き
をあげながら走り寄ると、あたしを抱き上げ頬ずりをはじめる。
『ちょ、ちょっと美佐緒、落ち着いて……』
「いや~ん、せんぱいったらさらにちっちゃくなって可愛い! もうこのままぺろぺろし
た──げほ!?」
 あたしの右ストレートが頬にめり込み、美佐緒はもんどりうって倒れ込む。
「せんぱいったら、ひどいです~」
『うるさい! PBぶち込まれなかったことに感謝しろ!!』
 頬を押さえながらブーたれる美佐緒を一喝していると、背後から遠慮がちに話しかけら
れる。
『……そのリアクション……』
『ほんとうに、隣どのでござるか?』
 振り向きながら重々しくうなずくあたしに、リベルターとガーネットが顔を見合わせる。
『まったく。そこまで自虐嗜好のある方だとは存じませんでしたわ。それ以上小さくなっ
てどうするつもりですの、隣さん?』
『ちっちゃいって、言うな────ッ!』
 あきれ果てたといわんばかりの顔で話しかけるリューネに、あたしは中指を突き立てな
がらツッコむ。
『隣どの、落ち着くでござるよ』
 ガーネットの声に我に返ると、あたしは数度深呼吸を繰り返した。
『そうね、今やりゃなきゃならないのは……』
 

 そう言いながら前方に視線を向ける。あたしたちを見つめるサタナエルは、冷ややかな
笑みを浮かべていた。

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武装神姫 クロスロード 第39話

                 武装神姫 クロスロード

              第39話 「ふたつでひとつ」

 あたしはサタナエルから逃げ出すようにゆっくりと後ろに下がりだす。
 でも、決死の逃避行は背中に当たった壁のせいで数歩で終わりを迎えてしまった。
 とっさに左右に視線を向けるが、どちらに逃げようともサタナエルには想定内のことだ
ろう。きゅっと吊り上がったサタナエルの口元が、無言でそれを肯定している。

 眼孔のような砲口から光があふれだす。どうあがいても現状を打破できないことを悟っ
たあたしは、トロンを力一杯抱きしめサタナエルの攻撃からかばうようにしゃがみ込む。

『秘剣……刃狼ッ!!』

 振り仰いだ全員の瞳に、大気を切り裂く巨大な狼の姿が映しだされる。
 とっさにフィールドを展開させたサタナエルに、狼の咢がおそいかかった。
『ちっ!』
 ダメージこそ与えられなかったみたいだけど、サタナエルの巨体がはげしく揺さぶられる。
 天井の大穴から小さな人影が身をひるがえし、音もなくあたしの目の前に着地する。
『大丈夫でござるか、隣どの?』
「うん、なんとか……でも、トロンが大変なの!」
 あたしは、握りしめていたトロンを差し出す。ガーネットはひとしきりトロンを調べて
いたけど、やがて顔を上げる。
『これはいったい……何があったでござるか?』
「それがわからないのよ。サタナエルから昔の話を聞いたとたん、こんなんなっちゃって」
 身振り手振りを交えて事の顛末を説明するが、ガーネットはますます眉をひそめるばかりだった。
 しばらく黙り込んでいたが、奥の方からあたしを呼ぶ声が聞こえてきた。
 目を凝らして薄闇を擬視すると、階段の中程から美佐緒がおっかなびっくり顔を出して
いる。
「美佐緒!? あんたこそ大丈夫? どこも怪我してない?」
「はい」
 美佐緒の声に安堵し胸をなで下ろしていると、複数の足音が階段の方から聞こえてきた。
足音は、すぐに懐かしい人たちの姿へと変わった。
「みんな!」
 あたしはサタナエルをさけるように大きく迂回しながら階段の方へと向かった。
 不思議なことに、サタナエルは一瞬美佐緒たちを横目で見るが、興味がないといわんば
かりに微動だにしない。
「一ノ瀬くん、無事かい?」
 つかの間の再会を喜び合っていたけど、それもわずかなことだった。
「あたしなら平気です。でも、トロンが……」
 店長さんたちの目の前に、あたしはトロンを差し出した。
「!? いったい、これは……」
「わかりません。トロンの過去を聞いたとたん、こうなっちゃって……」
「なんだって、過去?」
「ええ、……店長さん、ひょっとしてトロンの過去を……」
 過去という単語に店長さんの表情がサッと変わった。あたしの問いかけにも答えようとしない。
「あの……」
『リンさまぁああああ!』
 場違いなほどの明るい声に、頭上を仰ぎ見る。レスティーアに抱き抱えられたルーシィがあた
しに手を振っている。
 爆撃機の爆弾よろしく、空中で投棄されたルーシィがあたしめがけて飛び込んできた。
 あわてて受け止めると、あたしはしっかりとルーシィを抱きしめた。
「ルーシィ! よかった、無事だったんだね?」
『はい、わたしはだいじょうぶです。リンさまこそ、お怪我はありませんか?』
 心配そうにあたしの全身に目をやるルーシィに、あたしは苦笑した。
 あたしたちの足下に着地したレスティーアにリューネ、そしてリベルター。多勢に無勢、
あれだけの使徒を相手にみんな大なり小なりダメージを受けているみたいだけど、とにも
かくにもみんなの無事な姿にあたしは心底安堵した。
『リンさま、トロンちゃんはどこです?』
 キョロキョロとあたりを見回すルーシィ。あたしは床に横たわったトロンを指さした。
『トロンさん?』
『そんな、バカな…』
 リューネとレスティーアとが信じられないという風にあたまを振る。
『うそ……トロンちゃん?』
 ルーシィはよろけながらトロンのそばにいくとしゃがみ込んでしまう。
『ねぇ、起きてよトロンちゃん』
 すがりつくように身体をゆさぶるが、トロンは目を覚まさない。
『ねぇってば、トロンちゃん!』
 さらに強くトロンをゆさぶるルーシィ。あわてて止めようとするが、背後からリベルタ
ーがルーシィの身体を抱き抱える。
『だいじょうぶよ、ルーシィ。トロンはシステムダウンをおこしているだけ、時期に目を
覚ますわ』
『ほんとうですか?』
 すがるように尋ねるルーシィに、リベルターは力強くうなずいてみせる。

「しかし、意外な展開ですねぇ」
 この戦いが始まってから傍観者の立場を貫き通していた片桐が、あたしたち一同をゆっ
くりとながめてからようやく口を開いた。
「サタナエル、現在稼働中の使徒の数は?」
『六体です』
 間髪入れずに答えるサタナエル。片桐はあごに手をやり考え込む。
「しかし、意外な展開ですねぇ」
「何が意外なのよ?」
 同じセリフをくりかえしながらまた考えこむ片桐に、あたしはいらだちを隠そうともせず
言い放った。
「いえね、<ナイン>のみなさんならいざ知らず、スペック的にも使徒たちがこちらの神姫
さんたちに負ける要素がみあたらないんですよ」
 片桐はそこで話を区切ると、ハンカチをとりだしメガネをふきはじめる。
「それなのに、現実は半数以上の使徒を失ってしまった……やっぱりこれって、意外な
展開だと思いませんか?」
「思わないわよ!」
 メガネをかけなおしながら尋ねてくる片桐に、あたしは歯をむき出して答えた。
 あたしの剣幕に片桐は肩をすくめるが、天井に向かって指を鳴らした。
 天井の穴から小さな影が姿を現し、片桐の周りに浮遊する。使徒たちはあきらかにおび
えていた。

                    そう、片桐に。

 ところが、当の本人はそれに気づいた素振りも見せなかった。
「まあ、いいでしょう。私がみたところ、みなさん青色吐息といった様子ですし、後はサ
タナエルにまかせましょう」
 片桐が話し終わると同時に、ゆっくりとサタナエルがあたしたちの前に進み出る。
 ガーネットの必殺剣ですら、サタナエルにダメージらしいダメージを与えることができなかった。

 ダメなものはダメ。あたしは気持ちを切り替えると、こんどはまわりを見渡した。
こっちはルーシィやレスティーアたち全員が、少なからずダメージを受けている。
 そりゃそうだろう。三倍近い数の差に加え、ただでさえ規格外の能力をあたえられた使
徒たちを相手に戦ったんだ、一人の犠牲もでていない現状は奇跡と思うべきだ。
『ふう、仕方がありませんわね』
 大きなため息をつくと、リューネが前にでる。
『落ち着けグリューネワルト』
 肩に置かれた手を、リューネは振り向きざまに払いのける。
『落ち着いたからといって、何か状況が変わりまして、レスティーアさん?』
『確かに……このままにらみ合っていても埒があかないでござる。ここは無茶を承知で敵
陣に切り込み、死中に活を求めるしかないでござるな』
 ガーネットは、籠手の留め具をきつく締めながらそう言うと、こっちに振り返った。
『拙者たちが突入したら、美佐緒どのたちはすぐにこの店から逃げるでござる』
 思いもしないガーネットの提案に美佐緒は狼狽するが、それはほんのわずかな間だった。
「な、何を言ってるの? ガーネットを置き去りにして逃げられるわけないでしょう!」
 声を荒げながら詰め寄る美佐緒。でも、ガーネットは顔色ひとつ変えない。
 ルーシィは、初めて見る美佐緒の真剣そのものの表情に、トロンを抱き抱えたまま唖
然としている。
『それでは拙者が困るでござるよ。美佐緒どのにもしもの事があったら、それこそ拙者
あの世でお館様に合わす顔がないでござる』
 ガーネットの悲壮な決意に気づいたのだろう。美佐緒は口ごもってしまうが、それは一
瞬のことだった。
「だめ! だめ、だめ、だめ!! 神姫とマスターは二つで一つなのよ? そんなの絶対
にだめッ!!」
 狂ったように頭を振り続ける美佐緒を、あたしは慌ててなだめすかした。

 そのとき、あたしの脳裏に美佐緒の声が木霊した。


                  神姫とマスターは二つで一つ


「そ、それよッ!」
 思わず叫んでしまったあたしを、美佐緒が涙でぐしょぐしょになった顔で見ている。
「店長さん、お願いがあるんです」
 わけがわからず怪訝な顔をする店長さんの耳元に、あたしは堰を切ったように話し出す。
「……な!? む、無茶だ! そんなこと……」
 そこまで話すと絶句してしまい、言葉が続かない店長さん。
「確かに無茶は承知です。うまくいっても現状を変えられるかはわからない。でも、もう
それしかしか手はありませんよ?」
 たたみかけるようにそう言うと、店長さんは追し黙ってしまった。
「一ノ瀬さん、いったい何を……」
 店長さんの表情から何かを察したのか、姫宮先輩が心配そうに話しかけてきた。
「もちろん、起死回生の策……とまではいかないけど、少しはこの状況は変えられると思
う……でも、そのためにはみんなの助けが必要なの!」
 いっきょにそうまくしたて軽い酸欠におちいったあたしを、レスティーアたちが怪訝そ
うに見つめている。
『何をお考えなのです、一ノ瀬どの?』
 大きく深呼吸を繰り返すあたしに、みんなを代表してレスティーアが話しかけてくる。
『隣さん、急いでください。ここは私たちが!』
 みんなの上げた疑問の声をさえぎるように、手にしたLC5レーザーライフルをかまえ
ながらリベルターが叫ぶ。
『リベルター、どこまでも愚かな奴──そこまでしてその出来損ないたちを庇う価値なぞ
どこにある?』
『あなたこそはまだ気づかないの? 神姫たちは出来損ないなんかじゃないわ!』
『馬鹿な……奴らのどこが我々より勝っているというのだ?』
 あからさまに侮蔑の表情を浮かべるサタナエル。それを見つめるリベルターの瞳が悲し
みにゆらぐ。
『そう、私たちは神姫たちより優れた存在かもしれない。でもそれは、性能だけの話……
彼女たちは私たちには無いものをもっているわ』
『何、だと?』
『それは、“可能性”よ』
 一語一語区切るように話すリベルター。サタナエルはうつむき黙ったままだ。でも、そ
れはすぐに場を揺るがすほどの哄笑へと変わった。
『アーハッハッハッハッハッ!! 何が“可能性”だ! 笑わせるな』
『……最初から完全な力を与えられたセンジュも紅御雷も最後までそれに気がつかなかった。
でも、神姫たちは無限に成長する“可能性”を持っている』
 淡々と話すリベルター。それは、以前店長さんが話してくれたことおなじだった。
『くだらん! そのような不確定要素で何ができ──何ッ!?』
 とつぜん放たれたビーム、サタナエルはフィールドを展開し間一髪でそれをさえぎる。
「レスティーア!」
 手にした銃を乱射しながらレスティーアが突進する。そのすぐ後ろにガーネットも続く。
 いきなりはじまった戦いに慌てて駆け寄ろうとすると、足下から氷点下級に冷めた声が
聞こえてきた。
『……貴女は、いつまでそんなところでボケッと突っ立ているつもりですの?』
「リューネ?」
『レスティーアさんたちは、貴女のために時間稼ぎをしていましてよ? 何か策があるの
なら、さっさと行ったらどうですの?』
『そ、そうです。こ、こ、ここはわたしたちにまかせてください! ……で、でも、なる
べく早く戻ってきてくださいね、リンさま?』
 リューネの横で、ビームガンを抱きしめながら涙目になったルーシィが哀願する。
『大丈夫です。ルーシィは、私とリューネで守ります!』
 ルーシィのそばに音もなく降り立つリベルター。
「ごめん、みんな。少しの間だけがんばって! 店長さん!!」
「わかった。急ごう」
 ようやく納得してくれた店長さんをうながすと、あたしたちはきびすを返して走り出す。





     この状況を打開できるかもしれないあの場所、地下室に向かって……

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期待と不安……

さてさて、あとひと月ちょっとではじまりますねぇ。

「ガンダムビルドファイターズトライ」

てっきり前作の続きかと思ってましたが、登場人物がほとんど一新されるとは思いもしませんでした。
世界観は引き継がれ、チナの実弟やラルさんなど前作のキャラやその身内は登場するようですが、ここまで思い切ったことをするとは驚きです。

はたしてこれらの試みが吉と出るか凶と出るか……。
タイトルにもしましたが、期待と不安が入り混じる毎日です(笑)。

それにしても、前作から七年後というとセイやチナも二十歳前後というとこですが、ストーリーに絡んでくるんでしょうか?


多少の不安感はありますが、待望の二期がはじまるとなれば否応なしにガンプラへのモチベも上がります。

CIMG1785.jpg

で、改造途中でほっぽり出していた☝を、ひさしぶりに引っ張り出してきました。

一期の放送が終わりモチベがガタッと落ちたというのが理由のひとつなんですが、どうも自分のイメージと違いが出てきたため半年以上も放置してました(汗)。

自分としては「狐」をイメージしたMSなんですが、どうも足がぶっとく見えるため、なんか狐に見えない!

今回は、ひさびさにモチベも上昇してきましたので、ここらへんを改修したいと思います。
とりあえず色々調べたところ、このMSに白羽の矢が立ちました。

CIMG1845.jpg

「ブレイヴ指揮官用試験機」!そう、「あえて言おう!」のあの人が乗ってたアレですね。

CIMG1847.jpg


フラックやイナクト(は違うかな?)の純粋な発展型であるこの機体、ガンダムシリーズ屈指のスレンダーなプロポーションは、イメージにぴったり!

CIMG1847 - コピー

特にこの脚部の形状は、かなりいいカンジです。
全体のバランスもありますし、最初は首以外を挿げ替えようと思いましたが思いのほか狐顔が大きかったため泣く泣く断念。結局膝から下のみ換装してみました。

CIMG1843.jpg

CIMG1844.jpg

……うん、こっちの方が細くていいかな?



なんか、かなりMSっぽさが無くなった感じもしますが(笑)。



とりあえず本体の方はこれで良し、っと。しかし、せっかく買ったブレイヴも膝から下しか流用できないとは勿体無い。
実は今回、この狐用に某所でばら売りのガンプラパーツを購入したのですが、あったんですよね、ブレイヴの脚部……。


あとはバラ売りで手に入れたパーツを使ってもう少し手を加えれば、とりあえず全体像が見えてきそうです。





このモチベが続いているうちに、完成するといいな(笑)。



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