神姫者の巣

神姫好きの、また~りとしたブログ

武装神姫 クロスロード 第42話

                  武装神姫 クロスロード

              第42話 「熾天使の来訪」


『<ライトニング・フェザ───ッ!>』

 反射的に振り仰ぐあたしの目に、美佐緒たちに襲いかかるガンポッドの上空から数知れ
ぬ光の羽根が雨のように降り注ぐ。
 光り輝く羽根が突き刺さると、ガンポッドは爆発を起こし、閃光が消えたあとにはあれ
ほどの数を誇ったガン・ポッドがすべて消えていた。
 カメラアイをズームさせると、吹き抜けになった天井すれすれのところに六枚の巨大な翼を
広げ、全身から淡い光を放つ一体の神姫が音もなく浮いていた。

『あの…神姫は……』

 その神姫を見た瞬間、あたしの脳裏に数年前の出来事が鮮明によみがっていた。

                          ※
 
「となりおねぇちゃ~ん。はやくはやくぅ!」
「ちょっとまってよ、美佐緒。いったいなんだっていうの?」 
 不機嫌さをかくそうともせず、乱暴に美佐緒の手を振り払うが当の本人はどこ吹く風だ。
「となりおねぇちゃんにあわせたい子がいるのぉ」
「会わせたい子? だれのことよ?」
「えへへ、……が~ねっとぉ!」
「ガーネット? 何よ、あんた犬でも飼ったの?」
「が~ねっとはいぬじゃないよぉ!」
 まゆを寄せながら尋ねると、美佐緒は不満そうに頬をふくらませる。 

                 まるで、焼き餅みたいね……
 
「わかったわよ。そのガーネットとかいうのに会えばいいんでしょう?」
「うん!」
 さっきとは、うって変わって満面の笑みを浮かべる美佐緒の頬をつつきながらあたしは
たずねた。
    
                 今は、つきたてのお餅みたい……

 美佐緒はうれしそうに笑うと、また両手であたしの手をひっぱりはじめた。 

 美佐緒にひっぱられるまま歩いていると、あたしたちは耳をふさぎたくなるほどの音を
立て、工事を続けるのビルの前を通りかかった。
「君たち、危ない!」
「へ?」
 いきなり背後からあびせかけられた大声に、おどろきあたしにしがみついている美佐緒。
その肩に手を置きながら振り返った。
 そこには、サラリーマン風のおじさんが顔をひきつらせながらあたしの頭の上を指さし
ている。
「となりおねぇちゃん、うえっ!」
 すぐとなりで美佐緒の悲鳴にも近い叫び声があがり、あたしはつられて空を見上げた。

                  あの黒いのって、なに?

 あたしたちめがけて一直線に落ちてくるソレが数本の鉄パイプだと気づいた瞬間、あた
しは反射的に美佐緒を押し倒し、その上に覆いかぶさっていた。
 路上にぶつかり音をたてる耳障りな金属音が止むと、あたしはかたく閉じていた目をそ
っとひらく。
 運がよかったのか、鉄パイプはあたしたちを避けるように落ちてきたみたいだった。
「美佐緒、だいじょうぶ? どこもケガしてない?」
 あたしは美佐緒の両肩をつかむと、軽くゆすってみた。
 はじめは焦点の合わなかった美佐緒の瞳が、ようやくあたしの姿を映しだすと、かすか
にうなずいた。
 美佐緒の無事に大きなため息をつこうとしたが、フと周りを見たとたん、あたしはでか
かったため息を飲み込んでしまった。
 目の前……ううん、周りに転がっていた鉄パイプは、どれもまっぷたつになって転がっ
ていた。
 異変に気づいた美佐緒としばらく顔を見合わせていたあたしは、ゆっくりと空を見上げ
た。

 そこには光り輝く六枚の翼を広げ、悠然と宙に浮かぶ人影があった。それはあたしたち
と比べてあまりにも小さかった。でも、あたしにはその人影の指先まではっきりと見えた。
「天使……」
 あたしの横で、美佐緒の惚けたような声が聞こえた。

               そう、その小さな人影はまさに天使だった。

 その人影が“神姫”と呼ばれる存在だったこと。そして、それがアーンヴァルという
天使型の神姫だとあたしが知ったのは、もう少し先のことだった……

                          ※

「隣ちゃん、聞こえるか?」
『ひゃっ!?』
 いきなり男の人の声が耳元で聞こえ、我に返ったあたしは空中で飛び上がった。
『この声………………まさか、須賀さんですか?』

 須賀 匠。そう、前にスーパーで出会ったアーンヴァル──リセルのマスター。

『どうして須賀さんがここに? というか、いまどこにいるんですか?』
「隣ちゃんのすぐそばさ」
『へ?』
 反射的に辺りを見回すが、須賀さんの姿はどこにも見えなかった。あたしの耳に
、須賀さんの含み笑いが木霊する。
「ごめんごめん。正確にはきみの本来の身体のそばだ。いま、この店の地下にいる」

            地下……ライドシステムが置かれた場所。

 まだ現状が把握できていないあたしは口を開くが、須賀さんに先手を打たれてしまう。
「くわしい話は後だ。まずはリセルと合流してサタナエルを……」
『ちょ、ちょっとまってください! じゃあ、あのアーンヴァルはリセルなんですか?』
 おもいっきり須賀さんの話の腰をへし折ってしまったけど、それはやむを得ないことだった。

      じゃあ、あの時、あたしと美佐緒を助けてくれたのはリセルだったの?

 おどろきとなつかしさ。様々な感情があたしの胸をよぎるが、感傷的になったのはほん
のつかの間、サタナエルのつぶやきがあたしを現実へと引き戻した。
『……生きていたのか、セラフ……』

                       セラフ?

 サタナエルの押し殺したようにようなつぶやきには、聞き覚えがあった。それは、以前
DO ITで姫宮先輩が話してくれた、アーンヴァルの名前……

『……隣さん』
 耳元でささやくように名を呼ばれ、おどろき振り返る。すぐそばに、はにかんだ笑みを
浮かべリセルがあたしと並び立つように浮いていた。
 あの左頬にある特徴的なほくろ。間違いなく目の前のアーンヴァルはあたしの知ってい
るリセルだった。
『え~と、あの……お怪我はありませんか?』
 無言で穴が開くほど見つめられ、リセルが困ったような顔で尋ねてきた。
『え? うん、なんとか……ていうか、あたしがわかるの?』
 端から見れば、いまのあたしはポニーテールにしたトロンにしか見えないはずだった。
『ええ、事情は店長さんから……』
「コングラッチレーション!!」
 場にそぐわない調子っぱずれの歓声が、リセルの声をさえぎる。声の主である片桐は、
感極まったといわんばかりにあたしたちを見上げている。
「いや~、素晴らしい! セラフ……まさか、あなたが生きていたとは、これはうれしい
誤算というやつでしたよ」
 片桐の態度に嘘偽りは感じなかった。まちがいなくあいつはリセルの無事を心から喜
んでいるみたいだった。ただ、それとは対照に、リセルの表情はみるみる曇っていく。  
「あなたが……あなたみたいな人がいたから、みんなが……」
 怒りのためだろうか、それ以上リセルの言葉は続かなかった。ただ握りしめた拳をふる
わせている。
 片桐は、そんなリセルを不思議そうに見上げている。
『隣さん、力を貸してください』
 前を向いたまま、リセルが話しかけてきた。
『それはこっちの台詞──でも……』
 リセルの問いに反射的に答えたけど、拭いきれない一抹の不安が語尾を小さくしていた。 
 あれだけの実力をほこったレスティーアたち四人を瞬時に倒してしまったサタナエル。

         あたしたち二人だけで、あのサタナエルを倒せるだろうか……

「せんぱい!」
 美佐緒の悲鳴にも近い金切り声に我に返る。目を覆わんばかりのビームの束が目の前に
迫っていた。
 反射的に目をふさぐが、いつまで待っても痛みはおろか熱さも感じない。
『え? リセルッ!?』
 恐る恐る目を開けると、目の前にリセルが立っていた。
四枚の翼が身体を覆うように前方に展開し、サタナエルのビームは翼の前でその動きを完
全に止めていた。
『そんな、あのビームを……』
 あたしのつぶやきが合図だといわんばかりに、四枚の翼が勢いよく開き、ビームは軌道を
反らされ新しい標的である天井や壁に光る牙を突き立てる。

「あのアーンヴァル……」
 下から、どこか放心したような美佐緒の声が聞こえてくる。

       ようやく美佐緒も思いだしたみたいだ。あたしたちの命の恩人を……

『……天使(セラフ)』
 あの時と同じセリフがあたしの耳朶を打つ。でもそれをつぶやいたのは美佐緒ではなか
った。
『ルーシィ?』
 手にしたビームライフルを力いっぱい抱きしめながら、ルーシィはリセルの姿に釘付け
だった。
『隣さん!』
 リセルは真っ正面からあたしの目を見ていた。あたしは無言でうなずいた。
『美佐緒、先輩、早く地下室に!』
 あたしの声に、姫宮先輩は美佐緒をつれてライドシステムのある地下室へと向かう。
 入り口で二人を迎え入れる須賀さんの姿を目にし、安堵のため息がでた。

『……行くよ、リセル!』
『はい!』

 あたしたちは、同時にサタナエルめがけて飛翔した。

    迷っていても仕方がない、いまはあたしにできることを全力でするだけ!

 そう思いながらも、あたしは無意識のうちにつぶやいていた。




                『トロン、あんたがいてくれたら……』

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いまさらですが……

今日は1月12日ですか……。
タイトルにも書きましたが、今更感はハンパないのですがケジメとしてまずは一発いきましょう!





新年あけましておめでとうございます!




おひさしぶりでございます。
前回の記事から3カ月以上経過ですか……ずいぶんと放置したものですね(汗)。

じつは去年の暮れから「ハーメルン」という小説投稿サイトに「ガンダムビルドファイターズ」の二次創作を投稿しはじめまして、新年の挨拶やブログ開設3周年の記事を書き忘れるほどに、そちらに掛りきりという毎日でした。

予定では年内で連載を終了し、年明けからこちらの活動を再開を……と思っていましたが、案の定というか現在も連載中というありさまです。
そんな折、先日ひさしぶりにマイブログをのぞいたら、いまだに当ブログを見に来て下さる方のおかげで来訪者数が10000を超えておりました。

いちまん! 自分としてはこの数字に達するのはまだ先のことだろうと思っておりましたので、喜びもひとしおです。
最近は更新も滞り気味のこのブログを見に来て下さる方々に、この場を借りてお礼いたします。

ありがとうございます。


さて、ひさしぶりにブログを更新しましたし神姫SSでも、と思いましたが、最近の記事は文字(SS)ばかりなんですよね。
新年最初の記事でこれは味気無いので、少々趣向を変えてみます。

前述のハーメルンは小説のほかに「挿絵」を投稿することができるという、おもしろい機能をもっています。
これから紹介しますのは、挿絵として投稿した作中で活躍するガンプラたちです。小説自体の内容に関して知ってる方は皆無でしょうから、単純に姿形をお楽しみください。





阿修羅01

以前こちらで紹介したことがありますが、まずは『阿修羅』。

阿修羅02

手持ちの武器やバルカンのような内蔵火器を一切持たず、3対6本の剛腕を使った近接格闘を好む。

阿修羅03

主人公のライバルが使い、作中で最強のガンプラとして君臨します。





gero01.jpg
お次はコイツ『ハイゴックN』

gero02.jpg
もとは完全に趣味で作ったモノですが、そのままお蔵入りももったいないので採用しました。

gero03.jpg
作中では咬ませ犬っぷりを如何なく発揮、華々しく散ってくれました(笑)。




aigisu01.jpg
さて、ここからは本邦初公開。
プラモ化されたMSのシールドは、すべて集めたと豪語する主人公の親友のガンプラ『アイギス』。

aigisu02.jpg
両肩とバックパックにサブアームを備え、両腕も使えば最大6種類のシールドを装備できる。

aigisu03.jpg
無類の防御力の高さを誇るガンプラだが、シールドを換装することによって機動性や攻撃力を上げることができ、汎用性の高さもピカイチである。





gaza01.jpg
続いてはガザ・Cをこよなく愛する、レギュラーキャラその一のガンプラ『ガザ・ノワール』

gaza02.jpg
左胸にもナックル・バスターを追加、両腕のバインダーにビームガンを備え、MS形態時でもガザ・C2機分の火力を誇る。

gaza03.jpg
さらにMA形態ではバックパックのギガ・キャノンを含めた一斉射撃ができ、作中でもトップクラスの火力を誇る。





oo01.jpg
続きましては、ヒロインに異常な執着を持つ幼馴染(♀)が操る異色のガンプラ『OO-F』(ダブルオー・フィメール)。

oo02.jpg
武装はソードタイプに変化する専用ビームガンと、ビームサーベルのみという軽装だが、小型軽量の機体に加え推進系を強化しているため、機動性に優れる。

oo03.jpg
チャームポイントはツインテール(笑)。





hq01.jpg
さて、取を務めますは主人公のガンプラ『Hi-νガンダムHQ』です。

hq02.jpg
最大の特徴はフィンファンネルを廃し、3種類、計13基ものオリジナルファンネルを搭載していること。

hq03.jpg
複数のファンネルを搭載したためのデッドウェイトを避けるため、下半身をOガンダムの物と交換し、RX-78を彷彿とさせる塗装を施しているため、ベースのHi-νガンダムとは異なった印象を見る者に与える。




さて、駆け足ではありますが、ここらへんで紹介を終わりにしたいと思います。

現在投稿中のSSでは、世界大会での優勝を目指すわけでもなく、とある町の片隅にある鄙びた玩具屋で、主人公たちは己の分身でもあるガンプラたちと日々ガンプラバトルに勤しんでおります。


ブログの完全復帰はもう少し先になりそうですが、去年よりはもう少し更新頻度を上げようとお思います。



最後になりましたが、今年もよろしくお願いいたします。





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武装神姫 クロスロード 第41話

                武装神姫 クロスロード

                  第41話 「猛攻」

 あたしたちは飛翔し、サタナエルと対峙する。
 サタナエルは、左右を生き残った六体の使徒たちに守られるように悠然と宙に浮いてい
た。
 目指す敵は目の前! ほんとうならすぐにでも攻撃に転じるべきだったけど、改めて相
対したサタナエルの圧倒的な威圧感に気をされ、あたしたちは誰一人動けなかった。
『……奴は、何処にいる』
 どうしたものかと考え込んでいると、うなるようなつぶやきが聞こえてきた。
 おどろき振り向くと、レスティーアが左右に鋭い視線を送っている。
『……何処だ、アイギス!』
 ようやくあたしは、サタナエルを護衛する使徒たちの中にレスティーアの仇敵であるア
イギスの姿がないことに気がついた。
 いつの間にか、ひとり非常口の前まで移動している片桐のそばにも見あたらなかった。
「アイギスでしたらここにはいませんよ」
 回答は下からもたらされた。片桐はニヤケた笑みを浮かべながらあたしたちを見上げて
いる。
「彼女には別の用を頼んでいましてね……まさかここまで手間取るとは夢にも思わなかった
のですよ」
 いかにも人を喰ったような片桐の態度に、すぐ横からレスティーアの歯ぎしりの音が聞こ
えてきた。
「落ち着いて、レスティーア」
 いまにも片桐に飛びかからんとしていたレスティーアだったけど、姫宮先輩の声が聞こ
えるやその動きがぴたりと止まった。
「あなたの悔しさ、怒りは私にもよくわかる……でもね、あなたがここで私怨を晴らすた
めだけに独断専行を行えば、半年前のあの悲劇を繰り返すだけなのよ?」
 姫宮先輩の声音はどこまでも静かだったけど、それを耳にするやレスティーアは雷に打
たれたように硬直してしまう。
『姫……』
「あなたはもう、一人ではないの」
 先輩の声に、レスティーアはハッと顔を上げあたりを見回す。あたしたちと目が合うと
レスティーアはかすかにはにかんだような笑みを浮かべたが、すぐにいつもの厳しい表情
になるやサタナエルをにらみつける。
『さってと……』
 内心ホッとしながら、あたしは直面した難題を解決すべくあたまをめぐらせはじめた。
『まずは使徒たちを片づけるのが先決でござろうな』
 考えてることは同じみたいだった。ガーネットのつぶやきに、あたしは無言でうなずい
た。
『……その必要はない』
 荘厳な響きを込めた声に前を見る。サタナエルは左右に目配せしながら首を振った。左
右に散った使徒たちが、音もなく後退を始める。
『どういうつもり?』
『言ったとおりだ。茶番はもう終わり……貴様等の相手など私ひとりで充分』
 サタナエルはゆっくりと前へ進む。バイザー越しに見える瞳には憎悪の炎がゆらめいて
いる。
『まずは貴様等から』
 サタナエルがレスティーアたちを順に見ながら押し殺すようにつぶやく。
『そして──最後に貴様だ!』
 サタナエルは真っ正面からあたしを見据えると、吐き捨てるように言い放った。
『どうやら余計な“モノ”が混じっているようだが関係ない! 今度こそ欠片も残さず消
し去ってくれる。』
 “モノ”扱いされ、カッとなったあたしだったけど、背中から聞こえたレスティーアの
声になんとか踏みとどまる。
『欠片も残さず消えるのはきさまの方だ!』
 サタナエルめがけて、三条のビームが突き進む。一瞬おくれてもう一条のビームの束が
サタナエルに吸い込まれていく。
『……<エデン>』
 必殺の一撃になるかと思われたレスティーアとリベルターの攻撃。でも、それは瞬時に
展開されたフィールドにより、いとも簡単に弾かれてしまった。
『ぉおおおおおッ! ぺィイイイン ナッコォオオオオオッ!!』
 呆気にとられ硬直してしまったレスティーアたちの横をすり抜け、リューネが雄叫びと
ともにサタナエルめがけて殴りかかった。
『なっ!?』
 サタナエルの頬めがけて叩き込まれるはずだったリューネの剛拳も、やはりフィールド
の前にはばまれサタナエルまでとどかない。
『やはりあのフィールドをなんとかせねば、こちらの攻撃は利かんようでござるな』
 さっき自分の必殺剣がフィールドの前に無力と知ったガーネットが、冷静にサタナエル
の能力を分析しながらつぶやく。
『何を悠長なことを! このままでは無駄に時間に浪費するだけでしてよ?』
 なおもフィールド越しにサタナエルを殴り続けていたリューネが血相変えてガーネットに
噛みつく。
『なぁに、時間は取らせんさ』
 鬱陶しそうにリューネをちらりと見ながら、サタナエルが憮然としながら言い放つと同
時に、サタナエルの背後で爆発が起きる。
 それが巨大なブースターから放たれた光球だと気づいた時には、サタナエルの巨体が
急上昇をはじめた。
 呆気にとられているあたしたちから距離をとると、サタナエルは急制動をかけその場で
停止した。
 サタナエルの全身を覆っていたフィールドが音もなく消える。
『今よっ!』
 我に返ったあたしが叫ぶと、みんな四方からサタナエルを攻撃すべく一斉に動き出した。
『ルーシィは美佐緒たちを守って!』
 どうしていいかわからず、おろおろとあたりを見回していたルーシィに声をかける。
 ようやく自分が何をすべきか気づいたルーシィは、ビームライフルを肩に担ぐと一目散
に走りはじめた。
『<フェザー>』
 サタナエルがささやくようにつぶやくと、翼状のパーツの一部が大きく開いた。その奥
に見える小さな影がせり出し、射出体勢に入る。
『……ガンポッド』
 あたしの横で、レスティーアがうめくようにつぶやいたのが合図だったかのように、ガ
ンポッドは一斉に射出された。
 我に返ったあたしたちは、弾かれるように左右に散った。レスティーアとリベルター
は果敢に狙撃をはじめるが、ガンポッドの数はざっと見ても五十はくだらない。
 数基のガンポッドがビームの光の中に消えたが、まさに「焼け石に水」状態だった。
『くっ……何ッ!?』
 回避運動を試みながら、なおも狙撃を続けるレスティーアに数条のビームが襲いかかる
が、強化腕の片方を失いながら、かろうじて不意打ちをかわす。
 内心胸をなで下ろしながら視線をめぐらせると、加虐的な笑みを浮かべたサタナエルが
こっちを見ていた。その巨躯に収められた砲口から光が溢れている。
『来るでござる!』
 ガーネットの叫びと同時に、数条のビームがあたしたちめがけて放たれた。
 どちらか片方だけなら、まだなんとかなったかもしれない。でもガンポットとビーム砲、
この両方を同時にかわす術はあたしたちにはなかった。
『ぐっ!』
『きゃああああ!』
 レスティーアとリベルターは飛来するガンポッドをかろうじてかわすも、ビームの直撃
を受けてしまう。
『がっ!』
『ああ!?』
 ガーネットとリューネはビームをかわすことには成功したけど、ガンポッドの四方から
攻撃にその身をさらしてしまう。
『みんなッ!!』
 身に纏っていた武装をまき散らし、白煙を全身からたなびかせながらリューネたち四人
は力なく落ちていく。
 あわててみんなのあとを追おうとしたが、背後からせまる無機質な殺気に反射的に振り
返る。目の前にガンポッドが迫っていた。
 でも、なぜかガンポッドの群は目と鼻の先でガンポッドは動きを止めてしまう。
『なんのつもりよ!』
 音もなく宙に浮くガンポッド越しに、無言であたしを見ているサタナエルに誰何する。
『言ったはずだ、貴様は楽に殺さんとな……今、おもしろい考えが浮かんだのだ』
 サタナエルは重々しくつぶやくと、あたしを取り囲んでいたガンポッドが一斉に動き出
した。
 襲いかかるガンポッドの群、反射的に身構えるが、ガンポッドはあたしを避けるように
動くと猛スピードで背後に流れ去っていく。
『己の非力さを呪い絶望に身をよじれ──貴様を破壊するのはその後だ』
 抑揚のないサタナエルのつぶやきに、彼女のねらいがなんなのかあたしは気がついた。
『美佐緒、逃げて!』
 ガンポッドはくいと鎌首をもたげ、獲物をねらう蛇のような動きで背後の美佐緒たちに
襲いかかる。
いち早く気づいた姫宮先輩が美佐緒の手を取り安全な場所に避難させようと動きだし、
その足下ではルーシィが懸命にガンポッドを打ち落とそうとしていた。
 あたしも必死に後を追うが、ガンポッドとの距離は一向に縮まらない。

                 だめだ、間に合わない!


           『<ライトニング・フェザ───────ッ!>』



 心臓を鷲掴みにされたような痛みが胸を走る。その時、絶望が胸を覆い顔を伏せた瞬間、
凛とした声が響き渡った。

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ちょっと野暮用がありまして……

そ~、…………。

お、お久しぶりでございます。
そろそろみなさんの記憶の彼方に葬られた頃でございましょうか? 忘却の男、シロでございます。

タイトルにも書きましたが、実は最近、とあることにチャレンジしており、すっかりブログの更新をさぼっておりました。

そちらの用が済んでからブログの再開を、と思ってましたが、このままだと年内一杯ぐらいかかりそうなので少々予定を変更することにしました。

まったく更新の無い、こんなブログを辛抱強く見に来て下さっている方に申し訳ないですからね(汗)。

といっても、ネタ自体ほとんどないので、少し書き溜めてある神姫SSの掲載ぐらいしかできませんが……。

今取り組んでいることが終われば、そちらもこのブログで発表する予定です。
最近は文字ばかりの内容ですが、もうしばらくお付き合いください。



閑話休題。

いや~熱いですねぇ、『ガンダムビルドファイターズトライ』!

設定も変わったのもそうですが、実はトライのキャラがあまり私の好みではなかったため正直不安でしたが、そんなモノは第1話を観て吹き飛んでしまいました。

いや~、みんな生き生きとして、じつにイイ感じですね。

それにしても、1話を観ていて格闘技一筋に生きてきた少年、カミキ・セカイがどうやってビルドバーニングガンダムを製作するか楽しみにしてたんですがね。

優勝トロフィーの底がガパッと開き☞中からドムが出てきて☞さらにその中からビルドバーニングガンダム出てくる!

まさか、こんな風に主人公とガンプラが出会うことになるとは夢にも思いませんでしたよ(笑)。

最初は「え~、こんなのご都合主義的じゃねぇの?」と思ったんですが、よく考えてみると、ビルドバーニングガンダムってセカイ専用に用意されていた物ではなく、セイがレイジと再開を果たした時のためにレイジ専用機として作ったガンプラだったんですかね?

それなら格闘主体となっているのも頷けます(じっさい、レイジも『ファイターズ』終盤では、拳ひとつで戦ってますしね)。


まあ、何はともあれ『ガンダムビルドファイターズトライ』、これからも目が離せそうにありません。

今取り組んでいることも、ますますモチベーションがUPしそうです(笑)。

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武装神姫 クロスロード 第40話

                    武装神姫 クロスロード
 
                  第40話 「ライドオン」




                      ── うっ!? ──

 意識の覚醒とともに全身を襲ったのは、耐えがたいまでの痛み。そして、あたしの目に飛び
込んできたのは、辺り一面火の海と化した家の中だった。
 壁も廊下も──ううん、家そのものが灼熱の舌に舐めとられ断末魔の悲鳴を上げている。
 その光景はまさに地獄そのものだった。

 でも、身体中を熱波と痛みになめ回されながらも、身体はあたしの意志とは無関係に
前進を続けた。
 目の前の床に倒れ伏した人影に向かって……

『……シャ、シャーリー……』
 あたしの口が、あの名前をつぶやく。

『ご、ごめん、シャーリー、ボク……』
 たったひとつ残った右腕を精一杯伸ばすが、今のあたしには人影までの距離はあまりに
も遠かった。

 力無く地に落ちる指先、あたしの頬を伝わる涙は熱のせいですぐに乾いてしまう。

『ふふふ……あーはっはっはッ!』

 突然背後で哄笑が響きわたる。反射的に背後を振り返る。廊下の端に転がっているの
は──あたしの下半身。

 哄笑の主は、その遙か高みからあたしを見下ろしていた。

                     サタナエル……

『何が神姫だ。“神なる姫”だ! この程度の力しか持たぬガラクタが私に取って代わろう
などとかたはら痛いわ!!』

 あたしの心に、憎しみや悔しさといった感情が流れ込んでくる。でも、もう身体が動か
ない。荒れ狂う炎の中で、サタナエルはいつまでも笑い続けている。

 

          そして、あたしの意識は再び闇の中に落ちていった……
             

                         ※


『……う、ここ…は?』
 ゆっくりと瞼を開くと、そこは薄闇に包まれていた。
『まったく、目が覚めてもまだ闇の中なんて──ん?』
 あたしは頬に妙な感触を覚え、反射的に指で頬をなぞる。

                    濡れていた。

 黒光りする鋼の指についた液体を見ながら、あたしはポツリとつぶやいた。
『涙……そっか、あれはトロンの……』
 あたしはこのとき、すべてを理解していた。

『トロンちゃん! 気がついたんだね?』
 あたしの思考を断ち切るように、いきなりルーシィが飛びついてきた。
『ちょっとルーシィ、落ち着いてって』
 涙でぐしょぐしょになった顔で頬ずりしてくるルーシィにちょっぴり辟易しながらも、
ようやくあたしは現状を思い出した。
 頭上では、ガーネットたちが乱戦の真っ最中だ。
『あ、あの、トロン…ちゃん?』
 ルーシィは、あたしを見下ろしキョトンとしている。
『ありがと、ルーシィ。ひとりでトロンを守ってくれてたんだね』
『へ? は?』
 大きく見開かれたルーシィの瞳に映ってるのは、まごうことなきトロンだ。
 とうぜんルーシィには今の状況は理解できないだろう。あたしは苦笑しながらルーシィ
のあたまを撫でてあげた。
『時間がないからくわしい話はあと! それより援護の方、頼むわよ?』
 身を起こしながら手短に用件だけ言うと、あたしは“黒き翼”をはばたかせ、飛翔した。


 しばらくして、遙か下からルーシィの悲鳴にも似た叫びが聞こえてきた。


『……たたた、たいへんじゃ───ッ! トロンちゃんがナンか変ッ!!』




           ……これじゃあ、援護は期待できないわね……

                        ※ 


                   何……この感じ?

 あたしは違和感にまゆをひそめた。妙に身体が重かった。少なくとも、トロンの特訓
につきあいネイキッドを動かしていたときはこんな感じはなかった。
 前方で行われてる戦いの喧噪に我に返る。

           いまはそんなこと気にしている場合じゃない!

 いったん戦いの場を見下ろすぐらい上昇すると、そのまま逆落としに降下する。
 あたしは、使徒のひとりに向かって右手を突き出す
『えっと、こう…かな、わっ!?』
 右手の肘に装備されていたアンカーガンが、ガスの噴出とともにいきおいよく射出される。
 あてずっぽうだったけど、運よくアンカーガンは使徒の持つビームガンを弾きとばすと、
そのままレスティーアたちの間をすり抜ける。
『トロン!?』
『貴様は!』
 レスティーアたちの声を背中で聞きながら、あたし降下を続け床に着地する。
 頭上に感じた殺気に我に返る。振り仰ぐと銃を失った使徒がビームソードを振りかざし
ながら一直線に突っこんで来る。
 突っ立ったまま自分を見上げるあたしをいぶかしながらもも、手にしたビームソードを
振りおろす。
『なっ?』
 ビームソードはその高熱の刃で深々と切り裂いていた。

                   自らの立つ、床を……

『どこを狙ってるの?』
『うおっ!?』
 何が起きたか理解できない使徒は、耳元で聞こえた声におどろくと、後ろに跳びすさっ
た。
『ば、馬鹿な! きさま、いったい何をした?』
 あたしはなにも答えず無言で手招きした。
 怒りに顔を朱に染めた使徒が切りかかってくるが、その軌道はあたしの手刀によって反
らされ、むなしく髪留めを切り裂いたにすぎなかった。
 驚愕にゆがむ使徒には何が起こったのか理解できなかったろう。
 手首を極められ、自らの身体で虚空に弧を描いた時も、そのまま破片をまき散らしなが
ら床にたたきつけられた瞬間ですら……

 完全に機能を停止させてしまった仲間を目の当たりにしても、使徒たちは固まってしま
ったかのように微動だにしない。
 そんな使徒たちの間を縫うように、レスティーアたちがあたしの横に降り立った。
『トロン、きさま──大丈夫なのか?』
『うん、なんとかね。それよりレスティーア、他のみんなはどうしたの?』
 使徒の攻撃で片方の髪留めが吹き飛んでしまい、乱れた髪が視界をさえぎり鬱陶しかっ
たので、あたしは残った髪留めで薄紫色の髪を頭の後ろでまとめながらたずねたが、
いつまでたってもレスティーアからの返事はなかった。
 いぶかしげに顔を上げると、レスティーアの手のひらがひたいに押し当てられる。
『……どこもおかしいとこなんてなんて無いわよ?』
 にぎったレスティーアの手首を、ひたいからはずしながら話しかけるがレスティーアの
まなざしは困惑の色を深めるばかりだ。
『いや、どうみてもおかしいだろう?』
『おかしくなんかないって! よく見てレスティーア、あたしよ、あたし!!』
 自分を指さしながら詰め寄ると、レスティーアは訝しげに見ていたが、ようやく気がつ
いたみたいだった。
『ま、まさか、一ノ瀬どの?』
 レスティーアが惚けたような顔をしたのは、ほんのわずかな間だった。すぐに厳しい表
情を浮かべると、今度は彼女が詰め寄ってきた。
『なんという無茶なことを、危険すぎます!』
『今のあたしと使徒の戦いを見てなかったの?』
 さも心外といわんばかりに顔をしかめてそう言うと、レスティーアは押し黙ってしまう。
『わかってる。あたしが今まで経験してきたことと、神姫たちの戦いがまるで異質だと
いうことぐらい。でもね、いまはそんなこといってる時じゃない。みんなで力を合わせな
けきゃ、あいつは──サタナエルはたおせない!』
 一気にまくして、あたしが息継ぎをしている間もレスティーアはだまってあたしを見つ
めるだけだった。
『わかりました、一ノ瀬どの』
 大きなため息とともに、レスティーアはそう言った。あたしはレスティーアの肩を軽く叩
くとそろって姫宮先輩の足下に駆け寄った。
『すみません、遅くなって』
 だいたい予想はついたけど、案の定返事はなかった。
 頭上を仰ぐと、姫宮先輩は目をまん丸くしてあたしを見下ろしている。
「せんぱぁああああいッ」
 不本意だが、あたしの現状にいっぱつで気づいたヤツもいたみたいだ。美佐緒は地響き
をあげながら走り寄ると、あたしを抱き上げ頬ずりをはじめる。
『ちょ、ちょっと美佐緒、落ち着いて……』
「いや~ん、せんぱいったらさらにちっちゃくなって可愛い! もうこのままぺろぺろし
た──げほ!?」
 あたしの右ストレートが頬にめり込み、美佐緒はもんどりうって倒れ込む。
「せんぱいったら、ひどいです~」
『うるさい! PBぶち込まれなかったことに感謝しろ!!』
 頬を押さえながらブーたれる美佐緒を一喝していると、背後から遠慮がちに話しかけら
れる。
『……そのリアクション……』
『ほんとうに、隣どのでござるか?』
 振り向きながら重々しくうなずくあたしに、リベルターとガーネットが顔を見合わせる。
『まったく。そこまで自虐嗜好のある方だとは存じませんでしたわ。それ以上小さくなっ
てどうするつもりですの、隣さん?』
『ちっちゃいって、言うな────ッ!』
 あきれ果てたといわんばかりの顔で話しかけるリューネに、あたしは中指を突き立てな
がらツッコむ。
『隣どの、落ち着くでござるよ』
 ガーネットの声に我に返ると、あたしは数度深呼吸を繰り返した。
『そうね、今やりゃなきゃならないのは……』
 

 そう言いながら前方に視線を向ける。あたしたちを見つめるサタナエルは、冷ややかな
笑みを浮かべていた。

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